Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

AdSense for Real Media

2006-06-30 10:13:47 | Weblog
昨日聞いたグーグルKKの村上社長の講演では,広告ビジネスモデルの話が興味深かった。同社は,AdSenseを雑誌やラジオなど既存のマスメディアに導入し,空き枠を取引していく実験を行なっている(AdSense for Magazine, AdSense for Radio, ...)。いうまでもなく検索への連動とかクリックスルーとかが(普通に考えると…)あり得ない世界だから,これまでの技術がどこまで活かせるかわからない。あくまで実験だと村上氏は強調していた。

Google がネットの世界からリアルの世界に進出してきた感がある(ただし広告入稿システム自体はネットにつながっている)。ロングテールの尻尾の部分が,着実に吸収されていく。村上氏は,電博のような既存の広告会社と競合しないことをしきりに強調していた。しかしその一方で,頭から尻尾,尻尾から頭への広告が無視できないという話,また Google にとって広告とは検索の結果としての情報でしかないという話は,まさに広告ビジネスの「フラット化」を示唆している。

こうした変化は広告業界の構図を変化させるだろうが,既存の大手広告会社には脅威ばかりでなく,機会があると思う。Google が見事に自己規定しているように,既存の広告会社は Google がやらないこと,できないことを規定し,追求していけばよい。それは何か…。
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Community of Knowledge

2006-06-29 11:45:44 | Weblog
90年代後半といえば,協調フィルタリングの元祖といえる Firefly が脚光を浴びていた時代だ。Gershoff and West (1998) はそういう時代に発表された,Community of Knowledge という概念に注目した「ささやかな」論文である。

標準的意味でのリコメンデーションの問題は,個人の選好をいかに予測できるかに帰着する。彼らは他者の総合評価に含まれる,属性に帰属する部分を差し引いた「残差」がいかに予測において有効な役割を果たすかを簡単な分析で示した。他者の選好の残差というゴミのなかから,属性という意識化された知識ではカバーしきれないものを発見したといえようか。

著者の一人Westの博士論文は,消費者言語と選好形成の関係を扱ったもので,ぼくは非常にインスパイアされた。彼女はそういう観点から,エージェントやリコメンの問題にも斬り込んでいる。

Community of Knowledge という概念は,当時,ふつうに語られていたのだろうか? 時代の趨勢を見ると,Knowledge of Community という側面が強まっているように思う。「みんなの意見」は案外正しい,とか。このへんについて,8月中旬までに原稿にしなくては…。
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21世紀のマーケティングとは?

2006-06-28 19:06:10 | Weblog
7月24日,日本マーケティング協会のセミナーでその答えを聞けるのなら,3.5万円の参加費は惜しくないだろう。しかしながら,その日ぼくはゼミ合宿。今年度末の卒論・修論という,見方によってはもっと深刻な問題について,学生とともに考える。
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准教授と助教

2006-06-28 18:44:07 | Weblog
学校教育法が改正され,来年4月から助教授は「准教授」と呼ばれるようになる。また,「助教」という変な日本語の職種が誕生する。従来の助手のうち,教育を担当できる者は「助教」になる。また,大学によっては講師をなくし,それを助教にすることもできる(講師を置くかどうかは大学次第で,一般には,教授-准教授-助教というラインになる)。

それは単なる呼称変更ではなく,テニュア・トラック制の導入や任期制の拡大へとつながる動きの第一章でしかない。テニュア制になれば,講師または助教で採用された後,たとえば5年以内に准教授に昇進できなければ,職を失うことになる。実際どこまでやるかどうかは別にして,一流大学ほどそれがやりやすいことは確かだ。そこでテニュアが取れない者,取れそうにないとあきらめた者が,他に流れていくことになる。

米国流システムの導入で日本の大学はどう変わるのだろうか? 多極化すればいいが,単に二極化していくだけではないのか? テニュアを取ったあと,「上がってしまった」教授をそのままにしておいてよいのか?

ちなみにぼくは講師として採用され,4年目の夏を迎える。新制度が導入されていたならば,そろそろ首元がスースーする頃である。緊張感があるのは悪くはないが・・・。
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6~7月予定

2006-06-27 15:11:58 | Weblog
6月は今週で終わる。木金は東京での打ち合わせでつぶれるので,土日に「広告の短期効果」と「階層帰属意識と消費」の脱稿を目指す。

7月に入るといきなり「入試」と期末試験の採点。それらが終われば余裕が出るので,積み残してきた懸案事項に着手しなくてはならない。たとえば「インフルエンサー」サーベイ,「クリエイティブ・ライフ」執筆など・・・他にもいろいろあって,どこまでできるか。

最終週はゼミ合宿を経て,7月29日のシンポジウム。マーケティングへ応用する立場から,agent-based modeling について考えてきたことを吐露するつもり(・・・とはいえ同席するパネルの顔ぶれに戦々恐々)。

最大の敵は暑さ,眠気,・・・。
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大学の季節性

2006-06-26 16:56:36 | Weblog
1月に Amazon に発注し,5月に届いた図書は,期をまたいでいるため科研費で処理できない。ちなみに科研費の今年分はまだ使えない(使うには面倒臭い手続きがいる)。校費の一部もまだ未定・・・あるのかないのかすら不明。毎年度,最初3~4ヶ月間は予算が使えず,最後の1~2ヶ月もそうだから,これらの研究費を使って活動できる期間は限られるのだ。

留学から一時帰国中の大西さんは,休みが4ヶ月あると言っていた。また,アメリカでは大学教員の給料は10ヶ月?分しか払われない,と聞いたことがある。どこの国でも大学には「季節性」があって,のべつまくなし同じ条件で活動できるわけではないということだ。そうしたサイクルを頭に入れて行動できるようになればいいが,諸手続きは何度聞いても覚えられない。
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JIMS@摂南大学 2日目

2006-06-25 18:47:58 | Weblog
松村さんの Influence Diffusion Model は反響が大きかった。「主だった人」はみんな聞きに来てる感じだった。この学会でも,ブログなどネット上のコミュニケーションを扱った研究が急増している。そうしたなか,一日の長を見せつけた感がある。座長として鼻高々。松村さん,ありがとう。

あと目立ったのが,社会ネットワーク分析の応用が増えてきたことだ(佐藤さん,濱岡さん,熊倉さん…)。中西先生がコメントで,この手法は柔軟であることの代償として,恣意性が入り込むと指摘していた。

芳賀さんの代役で報告した「広告の短期効果」は聴衆がまばらだった(ただ聴いてほしかった人が,何人かいてくれたことが救いだ)。裏番組の「コミュニケーション構造と広告効果」に相当流れたのだろう。ハンドアウトを見たところ,中島望さんが,消費者間ネットワークの特性(strong tie/weak tie)とコミュニケーション効果の関係をシミュレーションで調べている。ぼく自身興味のある話でもある。
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JIMS@摂南大学 初日

2006-06-25 08:04:10 | Weblog
京阪電車に乗ると,昔,正月のたびに寝屋川に住む伯父のところに行っていた頃を思い出した。摂南大はその寝屋川市駅からバスで15分ほどのところにある。

JIMSの初日は,まず早稲田大学の豊田先生によるチュートリアル。話のメインは,変数に非正規性があることが,むしろ因果性の把握(x→yなのかy→xなのか)に役立つという話。シミュレーションの結果からも,この手法の強力さはわかるが,なぜそんなことができるのか,直観的にはよくわからない。3次,4次のモーメントの持つ情報が鍵なのだが,ふだん平均と(共)分散しか考えていない頭には,ピンとこない。いずれにしろ豊田さんのような高名な先生とじっくり(しかも非学問的馬鹿話を含め)お話しできることが,この学会の魅力の一つであろう。

若手セッションも例年以上に面白かった。特にブログを使ったキャンペーンの話をした,日経Rの佐藤さん,イオンの井関さんからは,今度ゆっくり話を聞くことにした。

懇親会では片平先生や山本さんと久しぶりに話ができた。JIMSとJACSは,メンバーがかなり重なるにもかかわらず,雰囲気が少し違う。個人的には,JIMSのほうが居心地いいかな。
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