Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

在外研究、終わりました。

2017-04-01 19:19:03 | Weblog
米国での在外研究(サバティカル)を終え、帰国しました。最初の1年間はニューヨーク市立大学(CUNY)、次の1年間はニューヨーク大学(NYU)にお世話になりました。長いようで短く、短いようで長かった2年間でした。心残りはありますが、それでも充実した期間だったということです。

米国で新たに始まった研究の1つが、期間限定戦略の研究です。日本のビール市場に季節限定ブランドが多数導入されていることにNYUの石原昌和さんが興味を持ち、共同研究が始まりました。昨年6月 Marketing Science Conference で発表したあとも、いくつかの方向で発展しています。

消費者の選好は個人間で異なるだけでなく、個人内でも異なるはずです。たとえばビールの場合、日常的な飲用に合わせた購買もあれば、特別なイベントに合わせた購買もあります。このような、各消費者のなかにある購買モードの違いを、購買履歴データから推測する研究を進めています。

新たな共同研究者も加わり、研究結果を今年の MS Conference で発表する予定です。期間限定の効果についても、消費者の(限定)合理的な意思決定を明示的にモデル化することを目指しています。どちらも渡米前には全く想像していませんでしたが、在外研究によって実現した研究です。

もう1つは、新ブランドの導入と失敗、それらを伴う市場の進化に関する研究です。これまた在外研究前には想定していなかった研究の可能性が見えてきました。現段階では共同研究者の名前などプロジェクトの詳細は伏しておきますが、スケールの大きな研究になると期待しています。

この2年間、以前から日本で進めてきた研究についても成果がありました。金融業のサービス研究については、サンディエゴNYの学会で発表しました。『プロ野球「熱狂」の科学』を共著で出版しましたが、カープの優勝と重なったので、メディアの取材を受けたのは貴重な経験になりました。

京都大学の青山秀明さん、兵庫県立大学の藤原義久さんには二度もNYに来ていただき(また私の帰国時にお会いし)、マーケティングデータに複素ヒルベルト主成分分析(時系列データへの探索的分析手法)を適用する研究がかなり進展しました。論文完成まであと数歩のところです。

他方、在外研究を始めたときに高らかに目標に掲げたプロジェクトのなかには、想定したようには進められなかったものがいくつか(いくつも?)あります。関係者の皆様には大変申し訳ないことです。自分としても重要課題と位置づけているだけに、少しでも早く完遂させるつもりです。

今回の在外研究では多くの方々にお世話になりました。なかでも受け入れの労をとっていただいたCUNYの高田博和先生、NYUの石原昌和先生にはいくらお礼を申し上げても足りないぐらいです。共同研究も含め、今後も交流は続きます。そこで少しでもお礼ができればと思っています。

それ以外にも、多数につきお名前は挙げられませんが、NY在住の、あるいはNYを訪れた友人・知人との交流は大変思い出深いものでした。そして、今回の在外研究を許していただいた明治大学の関係者の皆様、授業・ゼミの代講をしていただいた桑島由芙さんにも大変感謝しております。
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