Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

殴り殴られる~カープが強かった時代

2009-01-28 23:56:32 | Weblog
理知的でクールなスポーツライターとして知られる二宮清純氏は,熱烈なカープファンでもある。TV界のカープファンとしては故筑紫哲也氏や久米宏氏が有名だが,二宮氏はジャーナリストとしての活動で,カープファンであることをあからさまに出すわけではない。しかし,二宮氏は近年「東京カープ会」なるイベントを主催している(しかも東中野で! 最近そのことを知って愕然とした)。昨年末に開かれた東京カープ会の様子が彼のサイトで紹介されている。ゲストとして招かれたのは,事前に告知されていた川口和久氏に加え,「あの」長嶋清幸氏と,今年からカープに移籍する石井啄朗選手だ。

そこでのトークの概要はすでに何人かのブロガーによって伝えられているが(「東京カープ会」で検索すれば,続々出てくる),何といっても長嶋氏の発言が最も注目されたようだ。一言でいえば,彼が在籍した頃のカープは「殴り殴られる」世界だったということ。無名の選手として出発し,激しいパッションで這い上がってきた男たちが,強いカープを支えてきた。高橋慶彦しかり,長嶋清幸しかり,正田耕三しかり・・・ 彼らは摩擦をいとわない。うまくいけば切磋琢磨して全体が強くなるが,両雄並び立たずという状況になれば,チーム内に留まれない。そうして個性的な戦士たちは去っていった。

なかでも,広島球団にOB扱いされていないという(本人の弁)長嶋氏は,ヨシヒコとともに「殴り殴られる」世界の先頭を切っていたようだ。だが,誰が真のOBかを決めるのは球団を運営する企業ではなく,ファンなのだ。ファンが球団の最大の資産であることは,典型例として,阪神タイガースを見れば明白だろう。ぼくは1986年,神宮球場でこの目で見た,リーグ優勝を決めた長嶋清幸の初回満塁ホームランを忘れない。それで十分なのである。

昨日,日中はつくばで非常勤。夜,新丸ビルで開かれたパーティへ。そのあと,数人で同じビルの7階に行く。おしゃれなヴァーチャル有楽町ガード下,といった不思議な空間。閉店時間も遅い。丸の内の変容ぶりはすごい。ここには,かつてリアルのガード下で繰り広げられた,サラリーマンの「殴り殴られる」世界は存在しそうにない。