日曜の朝,関空を発ち,同じ日の夕方,CDG空港に着く(といっても機内に12時間)。電車に乗りホテルを訪れると,予約は承っていないといきなりの先制パンチ! 予想通りネットへのアクセスができないのはともかく,冷蔵庫も,空調も,シャンプーもない(1泊朝85ユーロ・・・1.4万円ほどなのだが・・・)。蒸し暑けりゃ窓を開ければ何とかなる・・・パリはエコロジカルな街なのか。
今回の訪問先
エコール・ポリテクニークは,いわずと知れたフランスの超一流理工系大学である。本体はいま郊外に移っているが,カルチェラタン界隈にも一部が残り,イノベーション・マネジメントの研究グループはそこにいる。彼らと日本から4人,米国から1人が加わり「クルマ」プロジェクトの打ち合わせ。結局,月と火の2日間を費やした。観光の時間はなかったが,そうしたいという気持ちにならかったので,それはそれでよい。
ぼくを除き,みんな製品開発やイノベーション・マネジメントに関する第一線の研究者だ。自分がそこにいることは,それこそ人生の不思議というしかない。最後の夜,二軒目でビールを飲みながら,当プロジェクトのリーダーはマーケティングの人間の参画が必要だったと語る。その期待に応えているかどうかはともかく,自分自身にとってこれは全く新たな経験であり,そこから何かが得られることは確かなように思える。ただ,それが何であるか,まだはっきりと表現できない。
水曜の午前中は,
GERPISAを聴講した。自動車産業の研究者たちが集う会議。マネジメント研究者とレギュラシオン的な人々が混じる,フランスらしい不思議な集まりだ。国際学会風なのだが,議長はひたすらフランス語でしゃべる。それをフランス語なまりの英語の同時通訳を通して聞くという妙な体験をした。
午後にはCDG空港に向かい,その翌日の午後,成田に着いた。東回りの旅はきつい。機内の最初の数時間は,エコノミーの席にうまく身体が納まらず,地獄のような思いをした。「教授になったらビジネスクラスで出張できる」・・・なんてことになれば,もっと頑張って論文を書くだろうか・・・いやいや,日本では教授もエコノミーの運賃しか支給されない。自腹を切れるほど豊かでなければ,この苦痛に耐え抜くか,長距離の出張を控えるかのどちらかの選択肢しかない。