Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

3rd Day @Singapore

2007-06-30 11:13:22 | Weblog
「ロングテール」関係の発表を聞きに行くと,キャンセルされていた。4件中3件がキャンセルというセッションだった。あともう1セッションでこの学会は終わる。マーケティングだけで何百という発表があるということに,かつてなら興奮を覚えたのだろうけど,いまや眩暈,疲れを感じる(まるでデパートのなかを歩いているときのような・・・買物好きの人はそんな感覚はないだろうが)。

この何百という発表のうち,最終的にどこかのジャーナルに掲載されるのは何%くらいだろうか・・・そう考えると,さらに気が重くなる。Journal of Marketing も Journal of Marketing Research も年6回発行になるというが・・・。若手研究者にとって,世界の水準を知り,最先端の流れを把握しておくことは重要だと思うが,先の短い自分の場合は,足元を見直したほうがよさそうだ。

2nd Day @Singapore

2007-06-29 16:29:56 | Weblog
今朝はまず Multiple Category Choice のセッションを聞く。洗剤と柔軟剤とか,関連する領域での選択の代替-補完関係を扱っており,ぼくの関心があるロングテール的世界とはあまりに違う。明日のセッションに,タイトルにロングテールが入った発表があるが,どうだろう・・・。

そのあと社会ネットワークやクチコミ関係のセッションに出る。山本-松尾組の発表は,内容はもちろん流暢な英語と堂々たるプレゼンで素晴らしかった。このあとも,ネットワークや影響関係のセッションを渡り歩く予定。この領域の研究が急増しているのは明らか。もちろん,他にも山ほどテーマはある。

世界的な研究競争に勝つことを目指す生き方もあれば,誰も踏み入れていない未踏の領域を目指す生き方もある。どっちにしても大変なことだ。

Mktg. Science Conference@Singapore

2007-06-28 17:50:28 | Weblog
昨日はちゃんと起床でき,無事バスで成田へ。隣に座ったフィンランドの若者はAISTに3ヶ月いたという。夜,Raffles で松尾さん,山本さんに会って晩飯に行くが,そこでAISTが産総研だということに気づく。Raffles の部屋はすばらしく,LAN設備もあったが,1日1500円ぐらいチャージされると知って断念。いま,学会の会場にある無線LANからアクセスしている(あと20分で追い出される・・・)。

自分の発表は終了。思うようにしゃべれず,近年まれに見るひどい出来だったが,まあこれが実力だという気もする。明らかに退屈そうな聞き手,同情気味の聞き手・・・気を取り直して再来週のIMPSに臨むことにしよう。他のセッションは,クチコミやネットワークを扱ったものを中心に聞いたが,なかなか素晴らしい研究もある。にしても13分の1だから,全貌はほとんどわからない。

ドクトラル・コンソーシアムに参加した大西さんによると,百人以上の参加者がいたという。つまり,マーケティング・サイエンスとその関連領域の博士課程の学生が,世界に少なくともそれぐらいはいるということだ(本当はその何倍も・・・気が遠くなる・・・)。ウェブメールの受信箱を開くと,現実に引き戻されるメールがいっぱい届いている。あと1日半か・・・。

欧州共同体でも電子商取引でもないEC

2007-06-26 23:32:11 | Weblog
午前中はテスト。登録者が180人,ふだんの出席者が100人強ぐらいなので,120~130と予想していたが,登録者のほとんど来ている。授業に出なくても点が取れると甘く見られたということか。例年に比べやさしい問題しか出していないので,彼らの予想は正確だったかもしれない・・・と思うものの,採点してみないとわからない。

午後は期限が迫った原稿を片付ける。そして夕方,同僚の原田さんの案内で,同じ研究科・別の専攻の星野先生の研究室へ。初めてお会いするが,エンタテイメント・コンピューティング(EC)の若き第一人者であることは事前に知っていた。自律キャラクターエージェントが相互にストーリーを創発するシステム,オンラインゲームと融合した英会話学習システム,そして最近数々の賞を受賞したシャボン玉に映像と音響を連動させたシステム・・・いろいろなデモを拝見。

工学というより芸術系の香りが漂うきれいな研究室。向かい側の部屋で学生たちが作業しているが,われわれの研究室とは違うし,より工学的な研究室とも違う雰囲気・・・。原田さんと,ゲームやエンタテイメントに関する経済学,経営学,マーケティングの研究動向について意見交換し,星野さんもそれを聞いていた。ぼくの「クリエイティブ」研究についても話が及ぶ。

ここから急にコラボが生まれるとは思わないが,こういう素晴らしき同僚たちがいるという誇りとともに,将来に向けて何かできないかという,喜びに満ちた感覚を感じる。しかし・・・明日早朝に部屋を出て成田に向かわなくてはならないのに,全く荷造りしていない。シンガポールを舐めたらいかん。

兄・姉のほうがIQが高い?

2007-06-26 07:50:28 | Weblog
「兄や姉の方が弟、妹よりもIQが高い」ことを示す研究結果が Science に発表されたことを「大竹文雄のブログ」で知る。そこで引用されている朝日の記事によると,幼少期に兄・姉をなくした第2子のIQはそうでない場合に比べてそう低くないため,後天的な要因によると考えられる。たとえば「年長の子どもは、弟や妹の家庭教師役を務めることが多いためだろう」という推測が紹介されている。

24万人の調査というから,よほどおかしな統計分析が行われていない限り,事実としてそういう傾向があるのだろう。しかし,その理由は,第1子が第2子の面倒を見るから,というのは本当だろうか。それは一人っ子の場合と比較してみればわかるはず。原文を読むと書いてあるのだろうか。

長男・長女のほうがしっかりしている,という「経験則」(俗説?)をよく聞く。親の関心が幼少期に弟・妹に向かうので,自立を促されると。ならば,IQではなく,EQやCQ(クリエイティブ力)でいえば,次男・次女のほうが優れているのではないか・・・全くの憶測だが。もっとも,こうした議論が多少とも説得力を持つのは,兄弟が多い時代であろう。

パリとシンガポールの狭間

2007-06-25 23:12:22 | Weblog
「年のせい」という言い訳をしたくないが,体内時計がなかなか正常化しない。今朝,早めに学校に行って仕事するはずが,目覚ましを止めたあとの「一瞬の」うたたねが災いして,朝の会議に遅刻。午後は,明日の試験問題を作るだけで終わってしまった・・・。情けなくなる一日だった。

今週水曜には,シンガポールに旅立つ。結局,JIMSで報告した内容のまま・・・わずかな改良をしている時間もない。着いた日の翌日発表があるが,パワポの英訳すら済んでいない。明日は明日で締め切りの迫った仕事があるから,シンガポールへの7時間の飛行時間中にやるしかない。

シンガポールから帰ったら「クルマ」調査票の仕上げとともに,××業務の準備・・・翌週の月曜に××の本番がある(ミスを犯すとヤバい業務だ)。そして火曜にはIMPSでの発表がある。JIMSとシンガポールと全く同じ内容にしたくはないが・・・。そこで,基本的に「死のロード」は終わる。

そのあとは月末に向けて,JWEIN に向けて複雑ネットワーク上の情報伝播シミュレーションがある。それも含め,「書く」ことのウェイトを高めていく必要がある。何万回も書いてきたが,数ある在庫のどれから着手するか・・・「完成度」からいうと,「ワイン」と「クリエイティブ」が双璧だが。

クロスセリングの深層

2007-06-24 22:53:29 | Weblog

昨日のDM学会で,クロスセリングの研究が不足しているというRust and Chung の議論を紹介したところ,より詳しいことを聞きたいと質問された企業の方がいた。確かに意外に聞こえるかもしれない。「紙おむつとビール」の神話以来,マーケットバスケット分析はデータマイニングの花であったし,アマゾンのリコメンにはぼく自身,しばしば助けられている。だが,現実には・・・このあたりは,ECの現場でも依然としてかなり重要な問題のようだ。

マーケティングサイエンスが,アイテム/カテゴリ横断的な選好を考えてこなかったわけではない。ただ,ぼくが知る範囲の研究は,既存の選択モデルの境界を少しずつ,あるいは恐る恐る拡張しようとするもので(科学としては正しい態度だろうが),ロングテール的状況にはとても対応できないように思われる。この大きなギャップは,選択理論を発展させる重要な契機になるかもしれない。

ぼく自身はこれまで,カテゴリを限定したうえで選好の「個人内」差異と「個人間」差異がどう変化するか,といったことに関心があった。ワインのテイスティング実験では,個人内の選好が一貫性を増していく条件を探ることができた。その一方で,個人間の差異の変化については全く補捉できなかった(選好の個人間異質性はマーケティングサイエンスのマントラであり,その形成過程や変化にについて何かわかれば画期的であるはずだが)。だが,もう一つ「カテゴリ間」という次元についても考えようとしている。破綻への道かもしれないが・・・。


DM学会@筑波大

2007-06-23 23:25:41 | Weblog

初めて参加してまず驚いたのが,開催地がつくばなのに,120人近い参加者があったこと。そして,そのほとんどが実務家で,しかも比較的若い人が多いこと。予想外の雰囲気のなかで,ロングテールについて思うことをしゃべった。講演直後の質問は…なし。ところが,そのあと何人もの人から声をかけてもらい,いろいろ有難い申し出を受けた。懇親会でもそれが途切れることなく続く。他の学会では,これほどのことはなかった気がする。

その一方で,流通研究の碩学,小山先生から鋭い助言をいただく。テールを構成する製品は単なるニッチというより,実は歴史的なロングセラーではないかと。その例証と,注目すべき企業を教えていただく。著書で名前を知るだけの重鎮とはふつう接しにくいものだが,この小さな学会では,権威主義と無縁の空気があるようだ。他にもびっくりするような方と名刺交換(*)した。

*正確には自分の名刺は切らしており,いただいただけ。

DM学会では産学協同が大前提で,アクティブな「産」の人々が学会を引っ張っている。それに対して「学」が何を貢献できるか。ロングテール研究の先には,消費者選好の動的変化というミクロ的課題と,CRMあるいはS&Rマーケティングの一般化というマクロ的課題がある。自分でも決着をつけなくてはならないテーマだ。


ロングテールを支える論理

2007-06-22 23:32:07 | Weblog
CRMで優良顧客といえば,長く,多く,深く買ってくれる顧客だ。その「深く」の部分にロングテール型ビジネスモデルが貢献する。「多く」買う消費者ほど「深く」マニアックな品揃えを求め,その要求に応えることができれば「長い」関係が続く。

・・・当たり前に聞こえるかもしれないが,まだ証明されているわけではない。だからそれを実証的に示したいが,なかなかその機会が得られない。そこで理論的に,シミュレーションで示そうとしたが,予想以上に苦戦して,ついに時間切れだ。つまり,明日のDM学会での発表に盛り込むのは,無理そうということ。今後の課題としよう(片手間にはできないということだ)。

この学会もまた,初めての参加となる(といってもまだ入会しておらず,招待された形になっている)。通信販売協会が母体になっている学会なので,理論やモデルよりは,実証と実務に関心がある人が多いと思われる。その意味で,シミュレーションが間に合わなかったこと自体は大きな問題ではないかもしれない。それよりむしろ,問題設定自体が,実務家の関心を引くかどうか・・・。

仮想世界の経済学

2007-06-22 20:49:03 | Weblog
昨年,Web2.0のシンポジウムのあと,若いIT分野の研究者たちと飲んだとき,Second Life 上の「経済」とリアルの経済との相互作用が話題になった。リンデンドルの暴落が,現実の経済を危機に陥れるなんてことが将来あるのか・・・なんてことを考えているのかどうかはともかく,「仮想世界の経済学」の第一人者が9月に東大で開かれる学会で講演するという。

それだけではない,シリアスゲームの権威もやってくるという。このことを進化経済学会のMLで知ったが,確かに社会シミュレーションに興味を持つ者にとって,これらは見逃せないイベントかもしれない。ゲーム自体とは無縁できたが,これはいよいよ・・・。

クルマ@エコール・ポリテクニーク

2007-06-21 21:01:14 | Weblog
日曜の朝,関空を発ち,同じ日の夕方,CDG空港に着く(といっても機内に12時間)。電車に乗りホテルを訪れると,予約は承っていないといきなりの先制パンチ! 予想通りネットへのアクセスができないのはともかく,冷蔵庫も,空調も,シャンプーもない(1泊朝85ユーロ・・・1.4万円ほどなのだが・・・)。蒸し暑けりゃ窓を開ければ何とかなる・・・パリはエコロジカルな街なのか。

今回の訪問先エコール・ポリテクニークは,いわずと知れたフランスの超一流理工系大学である。本体はいま郊外に移っているが,カルチェラタン界隈にも一部が残り,イノベーション・マネジメントの研究グループはそこにいる。彼らと日本から4人,米国から1人が加わり「クルマ」プロジェクトの打ち合わせ。結局,月と火の2日間を費やした。観光の時間はなかったが,そうしたいという気持ちにならかったので,それはそれでよい。

ぼくを除き,みんな製品開発やイノベーション・マネジメントに関する第一線の研究者だ。自分がそこにいることは,それこそ人生の不思議というしかない。最後の夜,二軒目でビールを飲みながら,当プロジェクトのリーダーはマーケティングの人間の参画が必要だったと語る。その期待に応えているかどうかはともかく,自分自身にとってこれは全く新たな経験であり,そこから何かが得られることは確かなように思える。ただ,それが何であるか,まだはっきりと表現できない。

水曜の午前中は,GERPISAを聴講した。自動車産業の研究者たちが集う会議。マネジメント研究者とレギュラシオン的な人々が混じる,フランスらしい不思議な集まりだ。国際学会風なのだが,議長はひたすらフランス語でしゃべる。それをフランス語なまりの英語の同時通訳を通して聞くという妙な体験をした。

午後にはCDG空港に向かい,その翌日の午後,成田に着いた。東回りの旅はきつい。機内の最初の数時間は,エコノミーの席にうまく身体が納まらず,地獄のような思いをした。「教授になったらビジネスクラスで出張できる」・・・なんてことになれば,もっと頑張って論文を書くだろうか・・・いやいや,日本では教授もエコノミーの運賃しか支給されない。自腹を切れるほど豊かでなければ,この苦痛に耐え抜くか,長距離の出張を控えるかのどちらかの選択肢しかない。

JIMS@関西学院

2007-06-16 23:29:42 | Weblog
昨夜は石橋で松村さんと飲む。牛刺しのウニ巻,うますぎ。AI学会の近況などいろんな話を聞いているうちに,いい時間になった。店主に終電の時刻を聞くと,時刻表らしきものを見ながら,まだ2~3本はあるという。しかし,駅に行ったら終電5分前であった。

今朝は関学に向かい,片平先生のブランド・チュートリアルを聞く。そして「インフルエンサー発見」の発表には,照井さん,成生さん,守口さんからコメントいただく。懇親会で里村さんから鋭い指摘。尤度関数に他者のクラス所属確率を含む設定で,EMアルゴリズムのEステップを単純に行うことへの疑問だ。彼は data augmentation を薦める。

ところで懇親会で,何人かからJIMSは以前より面白くなったという声を聞いた。ゴリゴリの理論系とともにトンデモ系が姿を消したこと,タイムリーな話題が多いことなどがその理由のようだ。しかし,より尖がった研究や熱い論争を期待する意見もある。個人的には最近,驚き,感動,刺激にやや欠ける気がする。ただ,今日驚いたのは松尾さんの出現!

本来なら二次会に向かうところだが今日は自粛。明朝,関空からパリに向かう。ウェブサイトで見た限りでは,宿泊先のホテルでインターネットにアクセスできるかどうか怪しい。4~5日間ネットから離れるとどうなるのかの実験になるかもしれない。

自動更新にやられた!

2007-06-14 23:03:30 | Weblog
コンピュータに延々と計算させ,そろそろと思って画面を見たら(正確には画面を切り替えたら)起動直後の画面になっている。メッセージが残っていて,××を自動更新→そしてそのまま再起動したというのだ! 何時間もの計算が水の泡・・・長時間計算させるPCはネットから隔絶しておくべきだという教訓を得る(プログラミング中は,横でGoogleデスクトップ検索が動いているほうが退屈しないが・・・)。

夕方,メモリを4ギガに拡大。それでどんないいことがあるかは,今後のお楽しみ。

パリで宿泊するホテルを調べる。ガイドブックには載っていない。だが,大体の場所はわかった(つもり)。周りはソルボンヌだとか,大学だらけのようだ。15年ぶり・・・くらいか。

サービス・イノベータにおける不正への誘惑

2007-06-14 14:01:45 | Weblog
コムスンに続いて,NOVAにも厳しい行政処分が下った。NOVAの急拡大の背景には,業界の常識を破る低価格のほか,テレビ電話の導入(お茶の間留学),子ども向け教室(NOVA KIDS)など様々な「イノベーション」があったはずなのだが,朝日の記事によると,その多くで不正な商行為があったという。

サービスのマーケティング・サイエンスをレビューした Rust and Chung (2006) へのコメントで,何人かの研究者が「にもかかわらず,サービスはなぜ改善されないか(悪化しているのか)?」という問題を提起していた。いまの日本の文脈でいえば,「サービスの革新をもたらしたかに見える企業が,なぜかくも不正を行うのか?」という問いがより重要だと思われる。

企業が顧客にウソをつくインセンティブが,モノよりサービスにおいて強いということがあるのだろうか? サービスはしばしば一定期間の契約を交わし,費用の前払を受けて提供されるので,供給側にあとで約束を破るインセンティブが生まれるかもしれない。だが,より長期の契約を望むのなら,裏切りは離反を呼ぶと予測できるはずだ。いったん顧客を取り込むと,顧客は満足して契約を更新していくという「自信」があったのか,あるいは,また新たな顧客を見つければいいという「焼畑農業」的な発想があったのか・・・。

これはサービスの特質というより,急成長したベンチャー企業の未成熟さによる,という説明もあるかもしれない。だが,伝統ある大企業のなかにも,いまだに談合で摘発されたりしている例があるから,あまり説得的でない。その原因を探ることもさることながら,そうした不正に陥ることなく事業として大成功し,顧客に喜びを与えている模範例を取り上げ,みんなで賞賛することが重要だろう。何があるかな・・・。

逆張りインフルエンシー

2007-06-13 23:35:31 | Weblog
シャンプー購買データの分析が終わらない。インフルエンサー(影響を与える人)はラックス(当時の首位ブランド)を好む。インフルエンシー(影響を受ける人)には2種類仮定したほうがよく,そのなかでツバキを支持する人々は,インフルエンサーに対して「逆の」行動をしている・・・というのが現時点での「結果」である。

この結果によると,インフルエンシーにはインフルエンサーに従う従順なタイプと,逆の行動をする「ひねくれ者」がいることになる。後者をインフルエンシーと呼ぶのは誤解を招くかもしれない。彼らは確かに周囲の行動に対して敏感だが,「逆張り」するのである。前者がバンドワゴン派だとしたら,後者はスノッブ派だ。

この奇妙な影響関係は実は見かけにすぎず,単にブランド選好が真逆だということはないのか。基本的なブランド選好はブランドダミーに吸収されるはずだから,それはないと思われる。ただ,「(負の)影響」と言い切るには,ブランド選好の動的変化をモデルに織り込むなど,もう少し検証が必要だ(すぐにそこまでする時間はないが)。

それにしても,結果の解釈が日替わりではないかという批判を受けかねない。ただ,今回分析に用いている潜在クラスモデルには,大域的に最適な推定に到達する保証がない。だから,AICなりBICなりを最小化する旅のなかで,思わぬところでよりよい解が見つかる可能性があり,そのときは結果が違ってくる。多少とも複雑なモデルでは,しばしばこういうことが起きる。

消費者間影響関係の研究に予想以上に時間をとられたため,DM学会に向けたロングテール・ビジネスモデルの分析はほとんど手つかず。まさか出張先で・・・?