午後は授業。補講のせいか,小テストをしないと事前に宣言したせいか,いつもの半分ぐらいの出席率だ。そのあと,急いで東京へ。
夜はJIMS部会。今日のスピーカーは駒澤大学の山口さん。「リアルオプション」から始まり「予測市場」そして「仮想経済」へと話が続く。リアルオプション・・・つまり,金融工学が実物的な投資プロジェクト,R&Dから広告まで幅広く応用されようとしている。マーケティングサイエンスの広告研究は,不確実性を減らす方向で努力をしてきたが,リスクをリスクとして管理しようとする方向もあるわけだ。ううむ・・・高度な数学に脅えて避けてきた金融工学だが,使えるかもしれないという気がしてきた・・・。
「予測市場」は前から関心があって,かつて,その「もどき」に挑んだ時期もあったが,すでにこんなに広がっているのかと少し驚く。ただ,市場が効率的に情報を集計し得るというのは,行動経済学的にどうなんだろう・・・アノマリーやバブルはないのか・・・山口さんは(経済学者ではないので?)このあたりは柔軟な立場を取っている。個人的には,合理的期待のようなトップダウン的設定でなく,もっとボトムアップ的な立場から,市場の機能を解明できないかと思う。
「仮想経済」が成長し,現実経済にも影響を及ぼし始めているという話も刺激的だった。ゲームのポイントと実際の貨幣との交換のような直接的な関係以外に,仮想経済が人々の時間をどんどん浸食するという間接的な関係もある。二次会でも議論が続き,最後は国家とは何かという,マーケティングの研究会らしからぬ話にまで膨らんでいった・・・。
そして今日は,しこしこと明日の授業の準備。眼鏡屋。そして夜,調査設計のための実務家インタビュー。いくつか貴重なヒントをいただきました。
昨日入手した本
Oz Shy, How to Price: A Guide to Pricing Techniques and Yield Management, Cambridge UP ... 著者は産業組織論の経済学者と思っていたが,こういう本も書くんだ。確かに両方とも応用ミクロではある。
管賀江留郎,戦前の少年犯罪,築地書館 ・・・戦前の少年犯罪のほうがより凶悪であったと。 「戦後」手に入れたよきものを失うべきでない。