Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

流通について学べる二冊

2013-05-08 13:53:45 | Weblog
マーケティングを専門としながらも、流通やチャネルに関する知識に乏しい自分には格好の新著を、続けて2冊ご恵贈いただいた。最初は、法政大学の小川孔輔先生が監訳、教え子の小川浩孝氏が翻訳された以下の本である。

流通チャネルの転換戦略
V. K. Rangan
ダイヤモンド社

著者はハーバードビジネススクールのマーケティング担当教授。戦略的視点から,自社の小売チャネルをどう再編成するかを論じている。チャネルにはパワーがあるから、メーカーが一方的にデザインできるわけではない。

このような観点のマネジメントを、チャネル・スチュワードシップと呼ぶという。ふつうの CMO が考える、チャネルを所与としてインセンティブを最適化するような、狭義のチャネル・マネジメントとは違うという。

訳者の小川浩孝さんは、長年外資系企業の日本市場におけるマーケティングに関わってこられた。その経験から,チャネル転換戦略はきわめて重要であることを実感されてきたので、本書の翻訳を決意されたという。

もっと基本的なレベルで小売流通の理論を学ぶには、以下のコンパクトな教科書がよいだろう。この本は理論の紹介に多くのページが割かれている。私のような門外漢には、広範な流通論を一望するのに役立ちそうだ。

激変する現代の小売流通
柳純(編)
五絃舎

いずれについても、ご恵贈いただいた先生方に御礼申し上げます。
コメント

今年度から始める研究

2013-05-02 14:30:18 | Weblog
今年度の科研費は、分担者として参加したものを含めて2つ採択され1つ不採択となった。全部不採択になる最悪の事態を回避でき、向こう3年間,ほぼ安心して研究できる。ひたすら感謝する次第です。 m(_ _)m

採択されたテーマのうち自分が研究代表者となるのが「消費者の創造性とテイストに関する研究」だ。消費者の創造性、といっても最近注目されている価値共創や顧客参加といった概念とはあまり関係はない。

むしろ、創造性に対するテイスト(嗜好)が関心の対象だ。端的にいえば、アップルの製品や欧州車が、値段が日本製品より高くても(少なくとも一部の人々に)熱く支持されるのはなぜか、を分析する。

テイストは、本来人が持つ属性なのに、モノの属性として語られることが少なくない。そこに、この問題を理解するヒントがあるように思う。文献研究、質的/量的調査、あらゆる角度から探索していきたい。

なお、この研究は,これまで行ってきた「クルマの過剰装備」や「クリエイティブ・ワーク志向」の研究とぼくの頭のなかではつながっている。「トレードオフと延期」の実験とも接点があるかもしれない。

研究分担者として加わることになったのが、有権者の経済政策に対する意識と世論形成に関する研究だ。これは、様々な大学の経済学者、政治学者等が参加する学際的研究なので,今後が大変楽しみである。

政策とか世論とかいうとマーケティングとは無縁に見えるが、実はそうではない。しかも、自分のライフワークたる「選好の進化」という観点からも、経済政策や政治への「熱い」選好は格好の研究対象だ。

他方、残念ながら不採択になったのは、地域基盤型スポーツ観戦ビジネスの研究である。プロスポーツもまた、多くの人々の「熱い」選好を集めている。「仲間」と捲土重来を期しての相談を始めている。

これらが今年から始まる,今後大きな柱となる研究だ。一方、すでにスタートを切ったり、仕掛品となっている研究が多数(!)ある。当面の最重点課題は、Twitterの影響伝播プロセスに関する研究である。

ということで、しばらく「熱い」研究生活が続きそうである。
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