Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

サービスは肥沃な大地

2007-04-30 23:38:58 | Weblog
Rust and Chung, Marketing Models of Service and Relationships, Mktg. Sci., 25(6), 2006. サービス・マーケティングの研究といえば,サービス品質,顧客満足,顧客資産・・・はもちろんだが,それだけでないことがよくわかる。特に,サービスの価格設定に関する研究は多岐にわたっていて,なかなか興味深い。そこで扱われている問題は狭義のサービス業だけでなく,顧客との長期の関係作りを目指す製造業を含むあらゆる企業にあてはまる。

著者たちは過去の研究を広範に概観したあと,今後の研究課題について述べる。そのなかに Dynamic Interaction and Customization という項目があるのだが,彼らはそこで「顧客の選好を固定したものと考えるのでなく,時間とともにいかに変化するかをモデル化する」と述べている。固定した選好へのカスタマイゼーションではなく,変化する選好との対話と適応。まさに自分の研究テーマである。

周囲の動きに押されて始めた「サービス」研究だったが,思った以上に奥が深い。一方で「ものづくりとブランド」研究が忙しくなってきた。矛盾しているようにも見えるが,「もの」も「サービス」も本質は同じである。レビットがいうように,消費者は「ドリル」ではなく「壁の穴」を買うのだから。

CRM にすでに様々な工学的手法が導入されているように,サービス・サイエンスにも様々な分野からの参入があるだろう。ぼく自身としては,選択モデルやデータ解析手法のみならず,エージェントベース・モデリングをどう適用するかが大きな課題だ。すでにいくつか取り組みがあるようだが,まだまだ独自の貢献をする余地はあると思う。

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気分はもう「連休」

2007-04-25 22:26:18 | Weblog
昨日は午前中の授業のあと東京に向かい,自動車プロジェクトの第一次中間報告。いろいろ議論するなかで,脳が少しは活性化してきた。ちょっとばかりオリジナルの分析手法を作ろうかと考え中。MATLABの出番である。次の報告は5月末。

今日はバスで学校に出かける。途中から無茶苦茶混み始めて,カバンのなかのノートPCが心配になる。Let's Note は頑丈だというが・・・。午後また会議。夕方,学生主催のパーティに出る。同僚としばし話す。住田先生には,研究の停滞を心配していただく。

明日はすっきり何もない。金曜は東京で一件打ち合わせがあるだけ。つまり,もう「連休」に突入した気分だ・・・といっても遊ぶ計画はない。連休明けに報告しなくてはならないデータ解析など,この期間に遅れを取り戻す。といいつつ,連休中日には研究室のコンパがある。仕事,仕事,遊び,仕事のリズムでいこう。
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クエイティブでもクリエーティブでもなく

2007-04-23 23:27:55 | Weblog
本日の日経MJ「マーケティングの「非・常識」」というコラムで「活気のある街づくりや人材育成のキーワードとして今後,浮上しそうなのが「クリエーティブ(創造的)」という言葉だ」と書かれている。そこで「クリエイティブ」という言葉を冠する書物が紹介されていくが,なぜこのコラムだけ「クリエーティブ」という表記なのだろう・・・などという,本質的でない細かな部分が気になる。

クリエイティブでもクリエーティブでもない今日という一日。午前中会議・・・最近この種の時間がどんどん増えているなあ・・・。昼食のあと,調子のおかしい車を修理屋さんへ。待ち時間に近くの書店に行き,『動機づけ研究の最前線』と『社会のなかの数理』を買う。なぜか? 将来もしも必要になったとき,手に入らなかったら困るから・・・こういう論理で本を買うために,積読がひたすら増加する一方なのだ。

研究室に戻って明日の報告資料を作り,訪れる学生の書類にハンコを押し,夕方にはゼミ。クリエイ(エー)ティブになれずにもがいている教師のもとでも,自力のある学生は育つものなのだ・・・しかし,せっかく一緒に勉強する機会が得られたのだから,何か彼らに残すものがないと。迷う教師は反面教師になるしかないか。

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連休前後の予定

2007-04-23 00:24:07 | Weblog
月曜は諸事+ゼミ。火曜は午前中の授業が終わると東京に向かい,某社で中間報告。水曜は学内「行事」がびっしり。それで一息つくはず。AESCSの予稿は(=発表も)断念する。既存研究レビューやモデルの拡張をもっとちゃんとやってから投稿しよう。

連休中はゼミも授業もやるが,会議の類がない(はず)のはありがたい。連休明けには,科研の成果報告書など,いくつかまとめの課題がある。5月末には商業学会があって,6月には国内外で毎週のように学会がある。
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会議な一日

2007-04-18 23:58:03 | Weblog
今日は学内で会議3連発。全体に共通していたのが,いかに「顧客」を増やすかという問題意識だったが・・・ある同僚の指摘にはっとした。いわく「営業」の話ばかり出ているが,「製品」はどうなのか,それを支える研究をどうするか考えなくていいのか・・・。

組織はしばしば当面の課題に集中するあまり大局を見失う。問題を解くのに長けた優秀な人たちほどそうした罠に陥りがちかもしれない。最終的に問われるのがビジョンだと,経営戦略論は教えている。現実の組織人は頭でわかってもそう行動できないため,戦略論の顧客であり続ける。

研究は大事だが,それは各個人が自己の裁量でやっていくものだ・・・ということだろうか。それはそうだが,一握りの天才・秀才を除くと,コラボレーションがさらなる成果を生むことを無視できない。そしてそこでは,損得勘定より人間的な感情が重要になると思う。お互いに信頼し,敬意を持ち,それをきちんと表明し合えるかといったような・・・。

ということで,結局ジョーカーが自分に戻ってくる。
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らしからぬ一日

2007-04-17 23:02:42 | Weblog
今日はアングラ向け「マーケティング」講義の初日。これまで板書を旨としてきたが,今年からパワポを使う「らしからぬ」スタイルをとる。理由は,黒板が驚くほど小さく,スクリーンがばかでかい階段教室を使うことになったため。一方,学生の側にも変化が感じられる。質問を投げかけると手を挙げる学生が数人いて,元気な学生が増えているのではという期待を持った。

午後は,これまた「らしからぬ」 SEM 分析で終始した。まずは Mplus で確証的因子分析,多重指標モデルの推定を行なった。次に Amos7.0 で同じことを試みた。せっかくの GUI を活用すべく,パス図をきれいに描こうといろいろいじり,さあいよいよ推定しようとしたら,計算実行コマンドがアクティブにならない。マニュアルやら参考書を見るが,どうにもならない。猛烈な絶望と孤独感が湧き上がる。誰かに聞きたくても,気軽に聞ける相手が身近にいない。

いろいろ試した挙句,素朴に「新規作成」でモデルを作り直すとすんなり動く。はー? 図をいじっているうちに何か変なことが起きたのか(だって,モデルは間違いようがないほど単純だから・・・)。まあいい。その後はいろいろモデルを変えて・・・最終的に Mplus とほぼ同じ結果を得た。ふーっ。現段階では Mplus と Amos のどちらが使えるなどと評価を下すほどの知識も経験もない。今後,「らしからぬ」ことだが,SEM の分析をする機会ごとに,両者を比較していくことにしよう。

「らしからぬ」ことが続いたせいか,軽い頭痛に見舞われた。だが,本当のところ今日の寒さのせいかもしれない。
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日本のクリエイティブ力

2007-04-16 23:51:50 | Weblog
かんべえの不規則発言」でまたまた面白いエントリ(4/14~15と4/16)。かんべえ氏は以下のように問う―

「この20年ほどの間で、世界で誕生した新製品や新サービスのうち、日本とアメリカ以外の国で誕生したものって、何かありますか?」

欧州で生まれた新製品として挙げられたのが,Linux,テトリス,ダイソンのサイクロン掃除機など。一方,日本発の新製品としては,ハイブリッド車,液晶テレビ,インスタントラーメン,カラオケ・・・。日本の「意外な」健闘ぶりの原因として,かんべえ氏は,(1) 変人パワー,(2) 匿名性の功名心,(3) 終身雇用の強さ,(4) 厳しい市場,を指摘する。

(2)~(4) はかつて日本的経営の強みとして称揚され,いまやその弱みとして非難されている。少なくとも日本の「ものづくり」企業では重要な要素なのだろう。一方,「変人」という視点も面白い。日本では「クリエイティブ・クラス」より「変人」か?
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ノーベル賞理論を基にした

2007-04-16 23:40:22 | Weblog
「ノーベル賞理論を基にしたSEM/LPO最新技法セミナー」というタイトルが目に飛び込んできた。何かと思ってその記事を読むと,「2000年にノーベル賞を受賞した計量ミクロ経済学の権威ダニエル・マクファー デン博士の理論を応用した手法」とある。ああ・・・離散的選択モデルのことか。ぼくも「ノーベル賞理論を基にした」手法を使ってきたと,もっと自慢すべきだな。

今年の冬から,大学院で選択モデルによるデータ解析を教えることになっている。理論だけ講義しても役に立たないし,データ解析の演習だけでもつまらない。各手法を用いた「一流の」研究について,みんなで「批評」するというのはどうだろう。特に研究に役立てようという院生諸君にとって役立つように思う(自分のためにも・・・)。マーケティングだけでなく,社会学,心理学,医学などから幅広く適用例を集める。先のこととはいえ,準備は少しずつ始めないと・・・。
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うれしい雑用

2007-04-16 22:54:56 | Weblog
半ばあきらめていた科研費の申請が採択された。これで,交付申請等の「雑用」が増えるが,当然うれしい悲鳴である。今度は,成果が前倒しに出るぐらいの勢いで臨みたい。どなたかは存じ上げませんが,審査いただいた先生方に感謝いたします。

今朝の日経では,文科省が国立大交付金に「成果主義」を導入するとある。また,別のページで中小企業金融公庫の総裁が「教員の評価 外部機関で」「業績なき大学人は退場」と提言している。業績とは「海外の本当に一流の雑誌に論文を発表しているか」だと述べられている。

科研費がおりたことで,海外のジャーナルを目標とした研究から逃げるわけにはいかなくなった気分(投稿先が「本当に一流」かといわれると困るが・・・)。その前にたまった「在庫」をまず何とかしたい。そして,今後数年で何を書いていくか・・・。とにかく,這いずりながら前に進むしかない。
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スローダウン

2007-04-14 18:14:08 | Weblog
昨日は東京で打ち合わせ3件。最初はクルマデータの分析や国際比較調査を巡って。6月にパリで会議,という話を正式に聞く。6月はシンガポールにパリか・・・(西宮というのもあるが)。食だけが楽しみの人生だ。

2つめの打ち合わせでは,Really New Product の選好測定の話など。こちらはしばらくレビュー中心。3番目は広告効果に関わる打ち合わせ・・・のはずが素晴らしい中華料理と紹興酒に飲まれてしまった。

このペースでいくと,8月のエージェントベースの学会(AESCS)への予稿を今月中に書くのは難しい・・・というより,その後,研究を深める時間がとれるかどうか。いい加減な研究を報告をして不評を買いたくないが,何か発表しないと人の輪は広がらないし・・・いずれにしろ,複雑ネットワーク上のクチコミモデルの研究は,スローダウンさせざるを得ないかもしれない。

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「クリエイティブ・クラス」の訳本が出た

2007-04-12 12:58:29 | Weblog
Richard Florida "The Flight of the Creative Class" の邦訳が出版された。題して『クリエイティブ・クラスの世紀』。The Rise of the Creative Class の邦訳も秋に出るという。また,日本版ハーバード・ビジネス・レビューでも特集が組まれている。この勢いでは,著者が日本に招かれ講演会が行われるかもしれない。もたもたしているうちにブームが来て,そして去っていくかも・・・。

この本の訳者にフロリダのクリエイティブ・クラス論を紹介したのは,かの黒川紀章氏だという。都知事選直後の出版だけに,考えさせられる・・・。辛辣な書評もある。何でもクリエイティブで説明するのはおかしい,というのはそうだろう(フロリダがそう考えていると見るかどうかは別にして)。その意味で,クリエイティブ志向とパワー志向の2本立てで考える「われわれ」の戦略は悪くなかったといえる。

「クリエイティブ」ということばは憧れを喚起する一方で,反発も喚起する。クリエイティブネスの本質は,もっと議論される必要がある。やはり出たばかりの『iPodは何を変えたのか?』も参考になるかもしれない。
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ドッジボール人間学

2007-04-11 23:24:29 | Weblog
ここ数日新入生の「お迎え」任務に従事。今日は朝からドッジボール大会。ドッジボールを見るのは何年ぶりだろう・・・2時間強,けっこう見入ってしまった。いろんな学生がいる。運動神経のいいやつ,おちゃめなやつ,シャイなやつ,表面から窺い知れない深みを感じさせるやつ・・・昔のことを思い出すなあ。

「大人」の取り繕った人間関係とは違う世界がそこにあるが,ドッジボールで女子を狙うとブーイングが出るのは,彼らも少しは「大人」ということかな・・・。手伝ってくれた2年生は,「大人」の目からは「いい加減」に見えてはらはらするが,結局何とかなっていくのは社会科学的にも示唆的だ・・・。

午後は会議×3。その最中に,科研の実績報告書の提出期限が迫っていることに気づく(ただし本格的な成果報告書は5月)。昨年度の研究活動を振り返り,6月に函館で発表した消費者言語に基づく2段階選択モデルの推定,8月に京都で発表した消費者間相互作用のシミュレーション(リーダー/フォロワーの創発),12月に大塚で発表した言語の選好形成に対する影響の研究(ワイン)・・・などについて思いをめぐらす。
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都知事選から学ぶ

2007-04-10 22:52:24 | Weblog
都内に住んでいない「都民」としては,東京で何が起きているか,肌感覚としてはわからない(・・・でも東京にいても同じかも,おそらく)。今回の都知事選は現職・石原氏の大勝で,特にサプライズはない。だが,それをめぐるコメントで唸ったのが「かんべえの不規則発言」4/7~8だ。いわく

「有権者というものは、自分の選挙区の候補者が信念の持ち主であることを知っていれば、信念の中身についてはさほど関心を持たないものだ」

小泉前首相の人気もまさにそうかも・・・。それはともかく,かんべえ氏とは政治的立場が異なると思われる『酔醒漫録』もまた,本質的に同じことをいっているように思われる。そのなかで紹介されている都はるみさんのブログでは,意外にも「政治的」コメントがちらほらあってサプライズだった。
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第二の吉田秀雄は誰か

2007-04-10 19:45:44 | Weblog
藤原治『広告会社は変われるか』。電通総研の社長と電通本社の常務執行役員まで勤めた著者が,日本の大手広告会社の今後を分析している。書評などで議論を呼んでいるのが第6章。ここで著者は,現在の日本の広告会社は欧米のような広告主側の代理人ではないが,媒体の代理人でもないという。

なぜなら,広告主が倒産した場合,広告主または媒体の代理人ならそのリスクを負担する必要はないが,日本の広告会社は負担する。つまり,それが代理業ではなく自己商だからそうするのであり,日本の広告会社は代理店というより一種の商社なのだ,というのが藤原氏の主張だ。だから,外資系広告主が原価を公開させよなどというのはおかしいと。

この部分が居直りのように受け取られて,いくつかの書評で非難されているわけだが,最後の章で,著者は日本の大手広告会社がグローバル化を目指す限り,こうしたビジネスモデルは維持できないと指摘している。つまり,少なくともグローバル化する広告主を相手にする限り,欧米流の広告主の代理人たる方向に舵を切らざるを得ないことが示唆されている。

著者の立場を考えると,かなり大胆な主張である。彼はこの本を出版するために,電通を役員定年以前に辞職したという。では,具体的にどのようなビジネスモデルに向かうのか。そのとき,特に電通が得意としてきた媒体やイベントの「自己商」はどうなるのか。それはそれで「商社部門」として独立に持つということか。しかし,そういう形で従来どおりの強みを生かせるのか・・・いろいろな疑問が頭をよぎる。

本書は「出でよ,第二の吉田秀雄!」という叫びで結ばれている。事前に先が読めない大きな飛躍は,英雄を必要とする,ということだろう。その英雄は誰だろう・・・。
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ゼミ開始

2007-04-09 23:21:38 | Weblog
今日は入学式・・・といってもキャンパスのはるか彼方。昼間,急に激しい雨になった。明日の「お迎え行事」の準備で焦ったり,いらついたり。そして夕方には,ゼミの初日を迎える。今日は今後のスケジュールの打ち合わせのみ。だが,すごくアグレッシブな気分になった。このメンバーで今年はがんがんやろう!
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