Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

コミック版影響力の武器

2013-10-31 15:27:52 | Weblog
説得の心理学の名著『影響力の武器』のコミック版を読んだ。分厚いあの本のエッセンスを、50ページそこそこのマンガで理解できるのなら、何と素晴らしいことか。脚本と作画は米国の作家とイラストレータの手による。

原著の著者であるチャルディーニが隊長となり、「影響力の武器」を駆使する悪の組織と戦っていくというストーリーなのだが、米国流の絵の描き方がぼくにはどうもなじまず、思ったほどさくさく読めなかった。

影響力の武器 コミック版
R. B. チャルディーニ
誠信書房

読みやすいと思うかどうかは、マンガ・リテラシー次第。テキスト版の訳本を読む時間があるなら、そちらのほうがいいに決まっている。いずれを読むにしろ、マーケティング関係者にとって必読文献の1つである。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
R. B. チャルディーニ
誠信書房

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「ヤミツキ」の力

2013-10-25 09:14:08 | Weblog
自分の好きなことに没頭する人生はすばらしい。しかし、酒好きが昂じてアルコール中毒になることは奨められないし、片思いがストーカーに転じて犯罪に至るのは最悪だ。何かを好きになることで人は活力を得るが、行きすぎると破滅する。

選好の究極は依存症、アディクション、嗜癖である。特殊で例外的な現象のようにみえるが、選好の研究にとって、そこに真実が隠されている。新古典派経済学の雄、ベッカーは「合理的なアディクション」のモデルを提案している。

本書の著者の一人、廣中直行氏は依存症に関する本を著された方でもある。つまり、アディクション、嗜癖の専門家なのだ。この本ではあまり病的でないケースを視野に入れ「ヤミツキ」という一般的な括りで、選好の究極の姿を探求している。

「ヤミツキ」の力 (光文社新書)
廣中直行、 遠藤智樹
光文社

ヤミツキという現象を理解するには、まず「快」について知る必要がある。本書は、快に関する研究を幅広くサーベイする。そのなかで、チクセントミハイのフローも紹介されるが、古いと評価されている。もうちょっと詳しく聴きたいところだ。

本書は、ヤミツキについて何か統一的な原理を打ち出して終わる形にはなっていない。むしろ、様々な問題を読者に投げかけ、その研究に誘う。ノーベル経済学賞を受賞したベッカーが取り組んだ問題だ。ヤミツキになる価値は十分ある。
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SMWS2013@道後温泉

2013-10-23 08:08:33 | Weblog
週末は松山市の道後温泉で開かれたソーシャルメディア研究ワークショップに参加。これで4回目となるが、マーケティング、社会学、心理学、物理学、コンピュータサイエンスといった分野の研究者・実務家が参集し、合宿形式で研究発表と議論を重ねている。



今年の発表テーマは以下の通り:
■ソーシャルメディアのデータ指向分析
■ブログ記事をソースとした行動分析
■ソーシャルメディアを使った消費者の声分析手法SMRP~最新アニメ映画を題材にして~
■クチコミが現在の経験に及ぼす影響:ソーシャルとプロモーショナルなコンテクストの比較実験
■O2O:電子メディアを活用したリアル店舗への顧客の誘動
■ネット選挙と参院選
■参院選時のツイッターユーザの政治行動・メディア接触調査
■2013年参議院選挙における、tweet の利用実態とそのインパクト
■Twitter投稿頻度の周期的変動
■今話題の<エンタメ情報まとめサイトminp!>の分析まとめ!
■インフルエンサーのインフルエンスを測る~スマホを巡るツイートの効果
■東日本大震災に際する情動反応:Twitterデータのテキスト分析
■ブログを用いた社会の雰囲気の定量的計測
■ブログ書き込みモデルの拡張と流行の予測可能性の検討
■ヒット現象の数理モデルの応用例と拡張

大別すると、東日本大震災や参院選のような社会的事件が引き起こす集合現象の分析と、広い意味でのマーケティングに関連する分析が披露された。大御所から中堅、若手までがフラットに議論できるのも、なかなか稀有な場かもしれない。

特にぼくの場合、ソーシャルメディアの分析に必要なスキルに限界があるので、今後そうした研究を続けられるかどうか不安だ。しかし、来年もこのワークショップに出たいので、なんとかこの領域で研究を続けようと本末転倒なことを考えている。
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APA心理学大辞典

2013-10-10 11:24:25 | Weblog
心理学に関して最も包括的と思われるこの大辞典の(大勢の)訳者に名を連ねました・・・というと凄そうだけど、実際はほんのちょびっとだけ、米粒のようなお手伝いをしただけです。ということで、当然印税などはいただけないものの、ちょびっとだけ宣伝を^^

APA心理学大辞典
G.R. ファンデンボス (監修),
繁桝算男, 四本裕子 (訳)
培風館
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