小泉政権の遺産を引き継ぎ,高い支持率でスタートした安部政権が,1年も経たずして,参院選挙で「歴史的」といわれる敗北を喫した。今度は,民主党が「生活が第一」ということばで,年金および格差の問題をうまく突いて勝利した。一人区での圧勝が示すように,小泉改革によって地域間格差が拡大したことが,民主党の勝利の背景にあるようだ。
敵が気づいていない(あるいは手を出せない)潜在的欲求(ないし不満)に対して鋭くポジショニング(位置取り)すること,これがマーケティングの伝統的な考え方といえるだろう。では,次の衆院選挙で雌雄を決する両党は,そこでどんなポジショニングを行うか・・・そこで重要なのは,有権者の関心や感情という,そのうえでポジショニングが行われる地形が,政党の発する言葉に影響を受けながら,どちらに向かうかである。
それは,物理学者やエージェントベースの社会科学者の一部が取り組んできた,オピニオン・ダイナミクスという研究分野の対象になるかもしれない。いま,それについて少し調べを始めている。これは,選好形成というライフワークとも密接に関連し,かなりの部分重複するはずだ。