Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

明治大学 by AERA

2010-07-30 15:46:12 | Weblog
AERA から明治大学を紹介するムックが発売された。豊富な話題が取り上げられているが,ぼくが関心を持ったのは先端研究の紹介である。マンガ博物館を除くと,紹介される研究のほとんどが理工学部と農学部のもの。ぼくの属する商学部では,教育プロジェクトである「なごみま鮮果」が紹介されている。これは「明治大学と神奈川県三浦市が連携して運営されている、三浦特産物のアンテナショップ」である。

北川景子さんを始め,何人もの OB が登場する。不勉強にも日本テレビのアナウンサーの葉山エレーヌさんが明大卒だとは知らなかった。彼女が番組のなかで広島カープのファンであると告白したのを聴いたとき,日テレにもこういう素晴らしい人がいるのかと感動したものである。宮田輝氏を筆頭に明大出身のアナウンサーはけっこういる。アナウンサー志望のうちのゼミ生にぜひ頑張ってもらいたい。

明治大学に興味がなくても,神田神保町に興味がある人には,有名な仏文学者で国際日本学部の教授である鹿島茂氏が神保町界隈を案内する記事がお薦めだ。神保町に詳しいと自負する人は,そこに登場する店をどれだけ知っているかでその真贋を問われる。この街には,池波正太郎,三島由紀夫,最近では逢坂剛といった作家とゆかりのある店が多い。その場所を訪れ,自分も作家になったように振る舞うという錯覚を楽しめる。

MEIJI UNIVERSITY by AERA
明治大学、わたしのプライド
(AERA Mook)
朝日新聞出版

「選好」の認知科学

2010-07-27 18:05:28 | Weblog
最近の認知科学では「選好」(preference)をどのように扱っているのか・・・『よくわかる認知科学』では,認知科学上の概念を多くを見開き(あるいは,せいぜい4ページ)で解説している便利な本だが,「好感・選好」が何と4晩目に来る。つまり,この本で選好とは「心の基本機能」としてかなり重視されているのではないか・・・。たった2ページであるが,以下のような小見出しに触れると心が躍ってくる。

1. 何を好きになるのか?
2. いつ好きになるのか?
3. 好きになる/好きであり続けることは役にたつのか?
4. なぜ好きなのか?
5. 「好き」ならば「欲しい」?
6. 選好と自由意志

Johannson らの choice blindness に関する実験や,下條先生の論文や著書が参考文献に記されている。この項目の執筆者は渡邊克己氏(東京大学)。

よくわかる認知科学(やわらかアカデミズム・“わかる”シリーズ)
乾敏郎,吉川左紀子,川口淳:編
ミネルヴァ書房

最近出版されたばかりの『認知心理学』というやや厚めの教科書では,第3章「感性認知」において選好に関する記述がある。そこでは Zayonc の単純接触効果に続いて,Shimojo らによる視線のカスケード現象が紹介されている。つまり,これらは認知科学/認知心理学にとって,教科書に載るような当たり前の知識になっているということだ。この項目を担当したのは川畑秀明氏(慶応大学)である。

認知心理学 (New Liberal Arts Selection)
箱田 裕司,都築 誉史,川畑 秀明,萩原 滋
有斐閣

昔の認知科学の本では,選好という話題はあまり扱っていないという印象があった。それよりは問題解決,推論や学習が重視され,意思決定を扱うにしろ,その思考のアルゴリズムがもっぱらの関心を集めていたように思う。しかし,いつの間にか感情や好き嫌いの問題を本格的に取り上げている。消費者行動の研究もまたそうした変化を反映して発展している・・・のかどうかは,灯台もと暗しで実はよく知らなかったりする。

iPadは統合型かモジュール型か

2010-07-26 15:45:51 | Weblog
7月21日の日経新聞・経済教室に,IT 産業の経済分析を専門とする田中辰雄先生(慶応義塾大学)が「IT潮流、日本勢に追い風」という論文を書かれている。「論争喚起」的な(=刺激的な)主張が行われており,ぼくの周囲の IT 産業に詳しい方々,「モジュール型」 vs. 「統合型」という分析枠組みに詳しい研究者たちに,ぜひ意見を聞いてみたいと思った。

まず田中氏は,これまで30年間 IT 業界を支配してきた「オープンモジュール化」の流れが終焉を迎えつつあると述べる。その象徴として例に挙がるのが iPad だ。「iPad はハードとOSと通信機能と一部のソフトをアップル社が一体的に提供しており,パソコンより統合された製品」であり,Kindle や iPhone も同様に統合型製品であるとされる。

田中氏によれば,「オープンモジュール化」を支えたのは「突破型の技術革新」で,「20~30年続いたあと、改良的な革新の時代が続く」。いまや IT 産業は後者の「改良的な革新」のステージに入っており,特に専門知識に乏しいユーザは,「機能の多さより、トラブルが起きずに安定稼働すること、買ってすぐ使えること」を重視するようになったという。

さて,日本企業は元来,そうした統合型の製品開発を得意としてきた。田中氏は「すでにアップルが世界標準を握り、もはや勝負はついたという見解もあるかもしれないが、そんなことはない」と述べる。iPad にはハードとしてもサービスとしても改良の余地は大きい。それこそ「日本企業が携帯電話でやってきたこと」なので,得意領域ではないかと。

この非常に前向きな結論に対して,そうか!と頷きたい反面,疑問も生じる。田中氏は,日本企業がアップルやアマゾン(あるいはグーグル)に代わる,統合型製品-サービスの供給者として世界標準になることに期待しているのだろうか?そうではなく,ハードやアプリの一部を供給する立場に期待しているのだろうか?(後者ならあり得ると思うが・・・)

そもそも iPad を統合型の製品と呼んでいいのだろうか?確かにユーザから見れば,iPad や iPhone は統合性の高い製品-サービスといってよい。しかし,モジュール型-統合型という概念が元々生みだされた,製品開発や生産の観点からもそういえるのだろうか? この点については,ぼくの周囲にいる生産管理の研究者に,ぜひ聴いてみたい点である。

もう1つ,田中氏が行った消費者調査に引っかかる点がある。各種 IT 製品やサービス,機能についてユーザに「画期的と思うか」と質問。その結果,比較的昔の製品・機能については画期的と答えた人が多く,最近のサービス(SNS,スカイプなど)ではそれが少なかったことから,最近の製品には驚きがなく,利用意欲も低下していると結論づけている。

この結果に対する別の解釈として,ユーザは新たに導入されたばかりの新機能やサービスについて,その有用性を十分感じることはできないし,インパクトを評価することもできないからこうなった,という可能性はないだろうか?もちろん,それを確かめるには,十分時間を置いて同じような調査を実施する必要がある。それが大変なことは承知しているが・・・。

実は,この論文をめぐって,田中辰雄氏(@tanakatatsuo)と小池良次氏(@RKoike)の間で Twitter 上で議論が起きた(Twitter はこうした議論に向かないという理由で先ほど「終了」した)。IT 産業に関する第一線の専門家どうしの議論であり,よくわからない点も多い。ただ,モジュールという概念の多義性,あるいは現象としての重層性が印象に残った。

創造力は鍛えれば伸びる

2010-07-23 19:59:05 | Weblog
ニューズウィーク日本版の 7/28号,表紙には「アップルの死角」という文字が踊り,iPhone4 をめぐるアップル(=ジョブズ)の対応を厳しく問いただす記事が載っている。それはそれで興味深いが,それよりはるかに面白いのが「科学が明かす想像力の鍛え方」という記事だ。冒頭で,米国で 1950 年代に子どもを対象に行われていた創造力テストが紹介される。そのテストの受験者たちはその後何十年にもわたって追跡調査された。テストで高得点だった子どもは,そのあと「起業家や発明家,大学の学長,著述家。意思,外交官,ソフトウェア開発者」(クリエイティブ・クラス!)になっていたという。

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年 7/28号
阪急コミュニケーションズ

この創造性テストは,子どもに玩具を与えて「もっと面白くするには,どこを改良すればいいと思う?」と尋ね,どのような改良案をいくつ出すかを評価する。この手法は IQ と並んで世界中で実施されてきたが,実は最近,米国の子どもたちの創造力が低下傾向にあることがわかった。最近の米国では「詰め込み型」の教育が幅を利かしているという。今後,子どもの創造力を再び高めるためにはどんな教育方法がよいか,記事の後半はそのためのいくつかの試みが紹介されている。

脳科学的な研究によれば,創造的な活動は右脳と左脳がともに連携して行われるという。アイデア生成は,発散と収束の2つのプロセスが繰り返されて行われるとよくいわれるが,それが脳科学的に裏づけられたといえるかもしれない。さらに,ジャズの即興演奏時の脳活動を fMRI で測った研究では,音楽専攻の学生が集中力を高める際の脳内メカニズムが調べられている。こうした研究と軌を一にする形で,創造性を高める教育法が開発され,一部実用化されている。

その1つが,アイデアの発散と収束を交互に行うことを学ぶ訓練だ。問題解決のセッションが,事実発見→問題発見→アイデア発見→解決策発見というステップに分けて行われる。これは子どもだけでなく,大人も真似てみるとよいかもしれない。幼少期の環境や遊びの体験が,創造力に影響していることを示す研究もある。外向性のような性格も影響する。創造力がこうした要因と強く結びついているとしたら,大人になってから創造力を高めようとしても,もはや手遅れかもしれない。

非常に面白い。創造的認知の研究が脳神経科学などと結びつきながら発展している,ということだ。ただ,創造性にもいろいろな形があることが,ニューズウィークの同じ号に掲載された,前述の記事からわかる。つまり,アップル的な創造性とグーグル的な創造性は少し違っている。いま,こういったことこそ最も重要なテーマであるはずだ。今日,リチャード・フロリダの講演を聴いていたときも,そのことを痛感していた。

日本にも「白熱教室」はあった

2010-07-22 20:10:07 | Weblog
NHKで放映された「ハーバード白熱教室」。二階席もあるような大教室で,学生を議論に参加させつつ倫理学あるいは政治哲学の難解なテーマを扱った授業を行うサンデル教授の手腕に多くの人々が驚いた。そのサンデル教授が,この夏,東京大学安田講堂で「特別講義」を行うという。同時通訳付きで募集人員は500人。500字程度の番組への感想と応募動機を書かせて選考するようだが,どうやって選ぶのだろう・・・。

SAPIO (サピオ) 2010年 8/4号
小学館

それはともかく,SAPIO の最新号がサンデル教授のインタビューとともに,「日本にも『白熱教室』はあった」という記事を載せている。とりあげられているのは,以下の3つ:

早稲田大学 全学部  原孝氏(組織改革コンサルタント)「自己表現論」
東京大学  教養学部 小松美彦氏(東京海洋大学教授) 「科学史」
千葉大学  法経学部 小林正弥氏(千葉大学教授)   「公共哲学」

最初の2つが非常勤講師による講義である点も興味深いが,それはともかく,学生に考えさせ,発言させることに成功している授業があるということだ。最初の授業は,学生が自己の体験を開示するのが特徴だ。それだけでなく講師も自己の体験をときとして涙ながらに語るという。この授業には5年連続で参加しているリピーターや,東大生のもぐりがいたりと,相当な人気があるという。

あとの2つは,よりサンデル教授のスタイルに近い。つまり,社会的に共有された「正解」のない,きわめて論争的なテーマを掲げて,学生に議論させている。この記事で紹介されている例では,小松氏は臓器移植法案の持つ問題点を学生に発見させ,「脳死」を議論することで死について考えさせる。小林氏は,坂本龍馬の脱藩を例にとって,コミュニティと正義について考えさせている。

最後に勝間和代,浜田宏一,若田部昌澄の3氏による鼎談がある。そのなかで,サンデル教授の授業が成り立つ背景の1つとして,米国の大学の授業では一般に,膨大なリーディングリストが与えられ,それらを事前に読んでくることが前提になっていると指摘されている。なるほど・・・討論型の授業が成功するには,参加者にそれ相応の量の文献の読み込みが欠かせないというわけだ。

だが,ぼくの直面する現実はそれからほど遠い。ゼミで発表者以外は,指定の文献をほとんど読んでこない(としか思えない)。発表者でさえ,どこまできちんと読んできたのか疑いたくなるときがある。だったら,いっそのこと発表者を決めずに,全員読んできたことを前提に議論したらどうだろう?それが成立する世界は日本にもあると思うが,それがいま自分が住む世界かどうか。

本日,ぼくは前期の授業を終えた。教室を歩き回って学生に質問を投げかけたが,まだまだ中途半端だ。実務経験のない学部学生とマーケティングを議論することができるのか?もっと身近な,消費者サイドに立った議論なら可能なのか?正解のない議論を通じて洞察力が深まるような,適当なテーマがあるだろうか?どんな資料を事前に読んでもらえばいいか(それができるか)?

白熱は無理でも微熱ぐらいは起こしたいと,密かに思う。

それにしても,1,000人の受講者がいるというサンデル先生の授業で,どうやって学生の評価をしているのだろう? 多数のTAを動員するのだろうか?

新パラダイム下の消費者モデル

2010-07-18 23:30:14 | Weblog
前回のエントリで書いた下條信輔先生のトークを踏まえて,最新の認知科学ないし神経科学の知見に基づく消費者行動モデルの新パラダイムについて考えてみよう。消費者の合理性に制約があること(限定合理性)は,Herbert A. Simon 以来の行動意思決定理論が主張してきたことだ。ただその場合でも,消費者が明確に定義された目標を持つことは自明とされてきた。しかし,新しいパラダイムはそこに留まらない。

 人は自分の意思決定を正しく意識できない。

だから,消費者が申告する意思決定の理由/動機は当てにならない。認知科学が依拠してきたプロトコール分析,社会科学全般で多用される面接調査や質問紙調査は,消費者の意識を探る方法として限界を露呈する。これは,調査業界にとっては由々しきことだが,計量モデル屋にとってはまだましだ。消費者の内的プロセスはブラックボックスとして,外的に観察される変数間の関係だけを分析すればすむのだから。

ただし,選択モデルは,消費者が知覚する選択肢の属性を要因として扱ってきた。潜在意識を重視する研究は,それよりむしろ,意識されていない属性,環境に埋め込まれた要因,他者の行動,本人の感情などが選択を支配すると考える。こうした要因は,いずれも観察が難しい。意思決定のプロセスがブラックボックスであることに加え,入力となる要因を識別・測定できないとしたら,適切な計量モデルを推定できない。

 意思決定の各モジュールは同時かつ相互に作用し合う。

このことがさらに消費者行動のモデル化をより困難にする。これまでの消費者モデルは知覚→態度→行動のような単線的・一方向的プロセスを仮定してきた。それらが同時に相互作用するとしたら,その挙動の予測不可能性はいっそう高くなる。ほぼ偶然に何らかの対象に軽い選好を持ち,それが知覚との相互作用によってカスケードを起こす可能性がある。その帰結を事前に正確に予測するモデル・・・難しそうだ。

まずなすべきことは,消費者行動に関する新しいパラダイムの本質を洞察し,その挙動を理解することではないかと思う。そのために,消費者の「内面」にエージェントベース・モデリングを適用することが考えられる。シミュレーションを用いる計算心理学の研究に,すでに何らかの萌芽があるかもしれないし,ないのなら頑張って作る必要がある。もちろんそれは,実験的研究の蓄積なしにはあり得ないことだ。

そのうえで,そうしたモデルと実データを結びつけるための,新たな計量分析手法が開発されなくてはならない。それなしに,むりやり既存の計量分析手法を用いると,新パラダイムの本質を見失ってしまうおそれが大きい。新しい酒は新しい革袋に盛るべきなのである。ただし,このステップが一番難しいように思われる。したがって,その完成を待つ前に,いまできることを着々と押し進める必要がある。


下條先生雑談会 2回目

2010-07-16 19:30:36 | Weblog
下條信輔先生とのクローズドな「雑談会」第2弾。テーマは「行為の能動性の揺らぎとその社会制度設計への含意」。「社会制度設計」はともかく「行為の能動性の揺らぎ」には非常に興味があるので,前回に引き続き参加させていただく。

最初の1時間は下條先生のトーク。最初のトピックは「意思決定の『常識』を疑う」である。意思決定に関する以下のような「常識」が,最新の神経科学的研究によって疑問に晒されている,という指摘から始まる。

Decision making is rational, NOT attentional, emotional.
Decision making is explicit.
Decision making is made at a moment in time.
Decision making is the final stage of perceptional process.
Decision making is prior to action.
Decision making is specific and focal to the target object.
Decision making is one part of the brain, NOT distributive.
Decision making is (based on) free will.

 *現場でのメモなので転記ミスはご容赦のほどを。

これらの命題がすべて誤りというわけではないが,それによって説明できる領域がかなり限られることがわかってきた。そのことを示す研究は,CALTEC における下條研究室で行われたものだけでも,かなりの数に上るという。

合理性の限界については,行動経済学のおかげで広く認識されるようになったが,必要な認識論的転回はそこに留まらない。意思決定が本人に意識されないどころか,知覚プロセスの結果ですらないことは,まだ十分認識されていない。

このことは社会科学者にとっても衝撃的であるはずだ。それは,次のトピックである「自由意志と決定論」においてより明らかになる。神経科学の研究は人間の意識を因果論的に説明するので,究極的には自由意志の否定につながる。

しかし,下條先生は postdiction という視点から,自由意志を「救済」しようとする。これは prediction (予測)と対になる概念で,行為に対する知覚を事後的に再構成することを意味する。簡単にいえば「後づけ」ということだ。

それは事実と乖離しているのでイリュージョンだ。しかも誰もが免れ得ないという意味で「真性の」イリュージョンだ。ただ,環境の単なる関数ではないという意味では,人間の「能動性」をそこに見出すこともできる。ある論文で下條先生は
…意図はその後に展開するしかるべきエピソードともに回顧的に作られていく.これを敷衍すれば,意図的行為の能動性は,問われたことによって新たに付与される.
と書いている(日本機会学会誌,2006,190(1049), p.254)。それによって自由意志に何らかの居場所ができる。ただ,そうなっても,意図-行為の伝統的な見方に立つ社会科学の居場所は,だんだんなくなっていくかもしれない。

そこで,行為の事後に生じる postdiction が次の行為に与える影響について伺うと,社会心理学にそれを扱う研究事例が多数あるという答えをいただいた。たとえば認知不協和を「自己正当化」として捉える研究がそうした例であると。

そういえば,有名な「吊り橋効果」なんかもそうかな・・・本当は高所でどきどきしただけなのに,人は恋に落ちたと思う。そして,それが自分にとって「紛れもない恋」だと信じる「自由意志」がある・・・(という解釈でいいのかな)。

別の議論で下條先生が「自由意志は必要があるときだけ生じる」とおっしゃったことも注目される。そのとき限られた認知資源で思考するので速度は遅くなるが,型にはまらない解がもたらされる。ただそれは稀にしか起きない事象である。

雑談会はそのあと,大屋雄裕先生による法律学/法哲学における人格論争,鈴木健先生による「伝播投資貨幣」や票の分割や委任を許す投票システム,瀧澤弘和先生による行動経済学・神経経済学のサーベイをめぐって議論が進んでいく。

神経科学の発展が人間の選好の脆さを示したことで「制度設計」の根拠づけが難しくなるのでは・・・という素朴すぎる疑問が頭をよぎったが,質問する機会を逃してしまった。自分にとってその手前の問題がより重要であったせいもある。

二次会では下條先生+若手研究者の話を聴き,今後読むべき本をチェック(即注文)。また社会心理学者として豊富な実験経験を持つ清成さんから,いくつか重要な教訓を伺う。コーディネートしていただいた柴俊一さん,成田悠輔さんたちに多謝。

マーケティングのデータ分析

2010-07-14 16:42:37 | Weblog
朝倉書店様より以下の本を献本いただいた。これは「シリーズ行動計量の科学」の一冊である。

マーケティングのデータ分析
―分析手法と適用事例
(シリーズ行動計量の科学)

岡太 彬訓,守口 剛,
朝倉書店

目次を見ると,次のような分析手法が紹介されている:

 因子分析
 多次元尺度構成法
 非対称多次元尺度構成法
 コンジョイント分析法
 クラスター分析法
 重複クラスター分析法 ADCLUS
 潜在クラス分析法
 共分散構造分析法
 多項ロジットモデル
 データマイニング

なかなか個性的なラインナップである。多次元尺度法=MDS にかなり重点を置いているのは,著者の岡太先生がその分野の研究の第一人者だからであろう。その勢いで,コンジョイント分析の推定も MONANOVA で行うという展開になっており,マーケティング・サイエンスの最近の流れとは違う世界を覗き見ることになる。

潜在クラス分析以降の章は,守口先生によって執筆されている。こちらは SEM にしろロジットにしろ,消費者行動やマーケティングの研究者にとってなじみ深い世界となる。そこを先に読んだうえで,MDS という,いまは忘れられがちな研究の流れに再び光を当てている前半を読んでみるのはどうだろう。新鮮な発見があるかもしれない。

いずれにしろ,コンパニオンサイトから,本書で紹介されている分析の元データをダウンロードできる点が素晴らしい。さらに欲をいえば 分析ソフトまでウェブにアップされているといいのだが,さすがにそこまでは無理な注文かもしれない。

ツイッターマーケティング入門

2010-07-12 20:15:18 | Weblog
週刊ダイヤモンド「ツイッターマーケティング入門」。冒頭はツイッターや YouTube を活用した日産の電気自動車「リーフ」の事例。だが,それ以外の事例は Twitter よりは SNS を活用したものが多く,正確には「ソーシャルメディア・マーケティング入門」というべき特集だ。

それはともかく,大企業の例だけでなく,茨城のネットショップ事業者たちと週刊ダイヤモンドのコラボの例が興味深い。Twitter の主体は結局「ひと」であり,その点では個人事業主にこそ相応しいメディアだ。ただ,その効果をいかに持続させるかが今後の課題である。

週刊 ダイヤモンド 2010年 7/17号
ダイヤモンド社

流行を追うのは愚かだという見方もあるだろうけど,実務のほうがこれだけ先行しているのだから,日本のマーケティング関係の学会ももう少しソーシャルメディアに目を向けないと・・・何てことは杞憂に終わり,この冬頃にはそうした研究の爆発が起きるかもしれない。

2010年の折り返し

2010-07-09 10:55:37 | Weblog
7月。今年もすでに半分が過ぎたことになる。1月に当ブログに書いた「抱負」を見直しながら,現状を確認してみたい。毎度のように挙げている論文投稿の目標のうち

 iPhone の普及と情報伝播を調べた研究

は JIMS の論文誌「マーケティング・サイエンス」に投稿,現在審査中である。

 消費者間の情報伝播に関するシミュレーション

は,ネガティブなクチコミを考慮した普及モデルとして定式化した。 WCSS2010 に向けて予稿を送り,採択された。9月の本番に向けてどれだけ上積みが可能か・・・。その他早く発表したい研究に以下の4つがある:

 クリエイティブな仕事の志向が消費行動に与える研究
 クルマのブランド戦略と技術開発に関する研究
 消費者の「予測能力」をフィールド実験で検証した研究
 インフルエンサーを実購買データから発見する研究

ただし最初の研究は追加データの分析,最後のものはアルゴリズムを変えた再分析が必要となる。これまた毎度述べていることだが,データの鮮度が重視されるのが最初の研究だ。優先度を踏まえ順次,論文にしていきたい。

 インサイト獲得に関するクリエイターインタビュー

は現在,取材先でチェックいただいている。OK が出たらディスカッションペーパーあたりにしたい。本来,取材を継続拡大していきたいのだが,時間的余裕がない。まず,現時点での研究をまとめて,批判を仰ぎたい。

今年になって新たに助成をいただくことになった研究もある:

 アフィリエイト広告の効果と管理に関する研究
 ロングテール・ビジネスモデルに関する研究
 エージェントベースモデルを用いた CRM の研究

最初のテーマは基礎的なデータ収集からスタートする。2番目は,せっかくいただいたデータが使えなくなる事態が繰り返されており「呪われた」研究といえる。しかし,興味を持っていただいている方のために頑張ろう。

他にもいろいろあるが,時代のスピードを考えると,Twitter の研究なども優先順位が高くて当然である。情報伝播と普及の研究の延長線上として,あるいはもっと基礎的な実証研究として,何らかの成果を挙げていきたい。

こう書いてくると,最新の話題を追いかけているだけのように思える。もっと基礎的な研究に回帰することも考えないと・・・


参議院選挙のあとが気になる

2010-07-07 11:48:20 | Weblog
今週末は参議院選挙の投票日。大方の予想では,民主党は相対的に1位にはなるものの,参議院で単独過半数を穫るのは難しい。国民新党を入れても過半数は微妙。自民党は低迷したままで,野党で延びそうなのはみんなの党だが,それも一時の勢いはない,ということらしい。週刊朝日はそれを「勝者なき闘い」と評している。

そのなかで,どれだけ増えるか注目されているのが,みんなの党だろう(他の新党は,それほど目立った勢力にはなりそうにない)。みんなの党とはどういう党なのか,渋谷陽一責任編集の SIGHT が特集を組んでいる。そのなかで興味深いのが,東京大学の菅原琢氏による「みんなの党は本当に“みんなの党”なのか」という論考だ。

SIGHT (サイト) 2010年 08月号
ロッキングオン

各種の世論調査や選挙結果のデータを分析して,菅原氏はみんなの党のコア支持層を明らかにする。それによると,意外にも年代的には50歳代,職業的には自営業者,という姿が浮かび上がってくる。これは従来であれば,自民党の支持率が高い人々である。その一部が小泉政権後離反して,みんなの党に向かったと推測される。

みんなの党は、各党にどのような影響を与えたのか。菅原氏は先の総選挙で,みんなの党が候補を立てなかった選挙区があることに注目する。そして2005年に比べた各党の得票率の変化が,みんなの党の出馬に影響を受けたかどうかを分析する。その結果では,自民党は大きな影響を受けたが,民主党はあまり受けていない。

つまり,みんなの党は自民党とは競合するが民主党とは競合しない。依拠する支持層が違うのだ。一方,候補者への調査(昨年の総選挙時)から得られた政策のポジションは,民主党とみんなの党は近いという。ただ,消費税や公務員制度を巡る政策の違いが最近目立ってきている。むしろ民主党と自民党が接近している面がある。

昨夜,TBS の党首討論会で,みんなの党の党首の渡辺氏は,選挙後に民主党と連立することは絶対にあり得ないと断言していた。民主とみんなは支持層がかぶらないから連立しやすいようにも思えるが,政策の方向性で距離が広がっているのも事実だ。また,公明党や自民党の党首も民主党との連立は絶対にないといっていた。

消費税をめぐって民主党と国民新党の溝も広がっている。この流れでは,民主党と自民党の間に,ある期間「大連立」に近い状況が生まれるかもしれない。さもなくば「ねじれ」がずっと続く。たとえば自+公+みん等が参院で過半数をとり,連立協議したうえで次の総選挙で勝てば別だが,その蓋然性は必ずしも高くない。

「消費税」「議員定数削減」「年金」等の重要課題で民主と自民が協議し,一定の進展があること自体はけっこうなことだ。ただ,小選挙区制がある限り,そうした関係は長く続かないだろう。混沌とした状況のなかで,離合集散が起きたり,新党が再び活性化したりするのかもしれない。この混沌の先に何があるのだろう?

Networks: An Introduction

2010-07-06 19:30:07 | Weblog
マーケティング・サイエンティストにとっても教養の1つとなった複雑ネットワーク。昨年ミシガン大学で開かれた Marketing Scienece Conference では,同大学に属しこの分野の第一人者である Newman の発表があったと聞く。その Newman による最新の「入門書」が出た。全部で800ページ近い大著だ。これを読み通すのは並大抵のことじゃない。

身近に熱心な院生でもいれば,これをゼミで輪読したいくらいだ。ただ,学生にとっては,この本をいちいち持ってくるのは大変だろう。こういう本こそ電子書籍化されるべきだ。もっとも,そうなったら,この大著を手にしたときの質感と快感は失われてしまうだろうけど・・・。これは一種の事典かもしれない。だとすれば,なおのこと電子化してほしい。

Networks: An Introduction
M.E.J. Newman
Oxford Univ Pr (Txt)

最近のマーケティング・サイエンスの研究動向を見ても,SNS や Twitter などのソーシャルメディアを通じて観測された,実際のネットワークが対象とされる例が増えている。とはいっても,そこに実社会の影響関係がすべて網羅されているわけではない。どうしても観測されない「ネットワーク」が残る。その欠落を補うのが,一般化された理論ではないだろうか。

ところで Newman は昨年の Marketing Scienece Conference でどんな話をしたのだろう・・・。

DM学会@早稲田大学

2010-07-03 22:40:46 | Weblog
早稲田大学で開かれた日本ダイレクト・マーケティング学会に参加した。ぼくの使命は,オプトの長谷川琢,海老根智仁両氏による「ユーザー行動データ分析を基にした画期的マーケティング手法」という発表のコメンテータをすることだ。インターネット・マーケティングの実務最先端の報告にどんなコメントができるだろうか・・・。

発表は,同社が導入したツールバーを使って,個々のユーザのウェブサイトの閲覧からオンラインショップでの購入までを記録する。そうして集めた大量のデータに対して URL のカテゴライゼーション→因子分析→クラスタリングを行なっている。一見簡単な分析に見えるが,元データのラベルづけだけでも,大変な手間がかかる。

1年以上試行錯誤して得られたユーザ類型は,実務家の目から見て妥当性が高いという。ただ,例として示された個人の履歴もまた非常に面白かった。質問紙では出てこない,タブー性の強い検索や消費の実態も赤裸々に出てくるという。こういう特質を活かして,ネット・エスノグラフィを行なうのも面白いと思った。これだけデータがあれば,「極端例」についてすら,一定規模のサンプルを確保できる。

この発表の前後に,損保ひまわり生命保険の諸吉純一氏「購買段階におけるオンラインチャネル選択の要因―民間医療保険のインターネット通販の考察を中心にして」,大阪市大院の方慧美氏「インターネットを活用した小売業態―「クリック&モルタル」に至る経緯とその後の展開」を聴いた。それぞれ若手の発表だが,既存研究のサーベイで頑張っている。

基調講演は,流通研究の重鎮・田村正紀氏。講演タイトルは「ネット通販のインパクト:その将来展望」である。停滞する日本経済のなかで,例外的に急成長を見せているネット通販を概観。独自のサーベイ調査から,簡単なマルコフ連鎖で,潜在的に今後成長しそうな分野を予測する。それによれば「趣味・園芸」の潜在成長性がダントツに高い。さらに主要な流通企業のネット通販比率と財務指標の関係が分析される。

いまなお精力的に流通の最先端を研究し続けておられるその姿は,研究者の鑑といえる。最後に田村先生は若い研究者に向けて,海外のジャーナルでの流行を追うことなく(そんなものは数年経てば,終わってしまうと),目の前にある現実をしっかり追いかけるべきだというメッセージを残された。このような精神が,神戸大学の経営学あるいはマーケティング研究に脈々と受け継がれているのかもしれない。

さて,そのあとの特別講演は,一転して笑いに包まれるものになった。ソフトバンクモバイルの蓮実一隆氏が「いまケータイに、何が起きているのか?―情報とコミュニケーションの核となるケータイ、その変化とは」について語る。蓮実氏はテレビ朝日で「ビートたけしの TV タックル」や「報道ステーション」のプロデューサを経験したあと,ソフトバンクに移り,コンテンツ開発に取り組んでいる。

冒頭,蓮実氏は「放送は回転寿司,通信はカウンター寿司」だという。ただし,いままでは回転寿司のほうが美味しいという,奇妙な世界だったと。そして,これまでのケータイ・ビジネスモデルをふんだんのユーモアで語る。ライトユーザには食欲を亢進させるこじゃれた寿司を出し,ヘビーユーザには一貫で満腹してくれそうな巨大な寿司を出す。こうしたアナロジーが楽しく,鋭く,示唆的である。

アップルとグーグルの対比も面白い。限られた製品ラインに粋をこらし,そこにコンテンツを垂直統合していくアップル。ありとあらゆるメディアを標準化し,そこを広告スペースに変えていくグーグル。そのベクトルは完全に直交していると,蓮実氏は見る。そこに,iPad が先鞭をつけたタブロイド PC が普及していく。いままでのケータイにはできなかった,新たなコンテンツの可能性が生まれてきた。

で,SB はビューンを立ち上げ,蓮実氏はその責任者になった。約30の主要雑誌の半分近い記事が月額450円で読める。これを買わないなんて考えられない,と冗談めかして語る。そして初日のサーバダウン。最近 2ch では,iPad がアクセスできなくて歯車風アイコンが回っている姿を「ビューンしている」と呼ぶ,というエピソードまでご紹介いただいた。しかし,数日前に仕切り直して再開した。

DM学会は実務家が多い学会で,現実との接点が乏しくなりがちなマーケティング研究者にとって,1つの有用なチャネルになると思う。そして,きりっとしたキャリアウーマン風美女の参加者の姿が目立つ・・・などというと,肉食系マーケティング研究者の入会が増えるかもしれない(いま一瞬,何人かのお顔が思い浮かんだ)。

コンセプト創造について語った

2010-07-02 23:01:03 | Weblog
あっという間に日が経ってしまったが,火曜の夜,筑波大学のサービスカイゼン研修で,あろうことか「コンセプト創造論」というタイトルで講義してしまった。このタイトルは主催者がつけたもの,という言い訳は,あとで主催者に訂正を申し出たわけでもないので,フェアでないだろう。そもそも本務校で「クリエイティブ・マーケティング論」という名前の講義を平然と行っているくせに,いまさら謙虚な振りをしても説得力はないかもしれない。

ぼくの前に,経営学者の生稲さんがコンセプトという視点から事例を講義された。企業戦略の視点から,コンセプトの概念(何か変な表現だな・・・)を具体的にイメージしてもらったあと,ぼくが抽象的にコンセプトを作る方法論を話すという段取りだ。もちろん,そんな方法論が世のなかで確立しているわけではなく,ましてぼく自身が熟達しているわけではない。貧しい経験と参考書を頼りに,つくばの実務家の方々にお話しさせていただいた。

コンセプト構築のプロセスはさまざまだが,まずは顧客分析から始める,という筋立てを採用した。セグメンテーション/ターゲティングの一般論のあと,ペルソナ法について言及した。マーケティングの現場では昔から類似の方法はあったわけで,多少の経験はある(ただし古い!)。そして,極端例の具体性を重視するエスノグラフィへと話を進めつつ,その対極に鎮座する,代表性を重視する統計分析とは補完関係にあるという「大人の見解」を披露する。

個別的・具体的な顧客理解の典型が,世界的デザイン会社 IDEO の方法論だ。それは以下の本によれば「洞察」「観察」「共感」の3ステップに集約される。そしてアイデアの生成段階では「ブレーンストーミング」と「試作」の役割が強調される。IDEO といえば製品デザインを連想してしまうが,この本には病院やホテルなど,サービス産業での実例が豊富に盛り込まれている。では,サービスのデザインにおける試作とは?これについても興味深い事例が紹介される。

つまり, IDEO 流デザイン思考は,サービス・イノベーションにも役に立つということだ。サービスでのデザイン思考=店内の内装や什器の話,などと思ってはならない。本書は,これまで IDEO を紹介してきた書物と一部重複しつつも,こうした新たな内容を含む。パート2「これからどこに向かうのか」では,デザイン思考の社会問題への応用を論じており,大変意欲的である。ただし,ぼく個人は,そのおかげで本書がやや冗長になった気がしないでもない。

デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice),
ティム ブラウン,
早川書房

では,顧客理解,ブレストを通じていかにコンセプトを創り出すのか。いったん拡散したアイデアをふるいにかけ,生き残ったものを混合し凝縮し変換させる。その手続きはあまり明確ではない。形式知化することが難しい部分かもしれない。しかし,よいコンセプトが満たすべき条件はある。ハース&ハースの「記憶に焼きつく(stick)アイデアの6原則」(*)のうち,少なくとも最初の3つがそうだろう・・・すなわち,単純明快で,意外性があり,具体的であることだ。
*あとの3つは、信頼性があり、感情に訴え、物語り性があること。これはどちらかというと,コンセプトを説得する際の条件のように思われる。

アイデアのちから
チップ・ハース,ダン・ハース,
日経BP社

よいコンセプトを生み出すテクニックの1つが,アナロジーである。それを教えてくれるのが以下の本,特に
4章の「始まりはコンセプト」だ。そこで紹介されている事例を使わせていただいた。たとえば,
ブックオフ:「中古本のコンビニエンスストア」,最近では「捨てない人のためのインフラ」
サウスウェスト航空:「空飛ぶバス」
スターバックス:「第三の場所」・・・これはアナロジーではない?
著者の楠木氏は経営戦略論の研究者だが,コンセプトの役割を重視されている点は,マーケティング研究者にとっても興味深く,心強くもある。しかも本書は,競争戦略に「ストーリー」という視点を持ち込もうとする意欲的な書物だが,ぼくは講義でほんの一部を使わせていただいたにすぎない。経営学とちがい,ぼくの視野は顧客との接点にだけ集中している。

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books),
楠木 建,
東洋経済新報社

ぼくの講義のあと,この研修のモデレータである岡田さんが実習を行なう予定であったが,ぼくがしゃべりすぎて,その時間があまり取れなかった。年長をいいことに傍若無人に振る舞うという,最も唾棄すべき「老害」が自分にも現れたということか・・・。この研修,来週からいよいよ佳境に入っていく。受講者,講師の皆さん,あとひと頑張りです!

そしてスタッフの皆さん,陰の立役者・根立さんにも多謝!