「師匠、税金の取り立てが厳しいんですがどうしましょうか」
「ペトロ君、ちょっと海へ行って魚を釣ってきなさい、始めに釣れた魚の口から金貨が出てくるよ」
キリストと一番弟子の元漁師のペトロ君の会話である。
そして、見事金貨を隠し持った魚をペトロ君は釣り上げるのだった。
金貨を口から出した魚をイタリアでは“サン・ピエトロ”と呼ぶ。
ピエトロとはペトロの事である。
その魚のお腹には聖ペトロの指の痕が残った。
いや、金貨をお腹に入れていた痕かもしれない。
そしてそのサン・ピエトロはフランス料理やイタリア料理では高級魚である。
「父ちゃん、このところヒマだね」
「クアトロのシェフよ、市場へ行って仕入れしてきなさい、今の時期に一番美味しい魚を買ってきなさい」
クアトロの父とクアトロ・シェフの会話である。
クアトロのシェフはマトウダイを仕入れてきました。
日本では的に見える魚で的鯛とか馬の頭に見える魚で馬頭鯛とか云う。
馬の頭より、聖ペトロの指紋とか金貨をお腹に隠した魚の方が夢のある話だとクアトロの父は思う。
さて、マトウ鯛はクアトロの売上に貢献するのだろうか。
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