ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

有明海のカキ

2006年12月03日 | 食材の話

Photo_138 昨日、有明海のカキを仕入れた。市場の方によると、めったに入らないもので、これを食べると北海道のカキが物足りなくなるという。値段も高いのだが、少量仕入れてみた。普通のカキに比べると平たく丸い形。開けると、身が詰まっており、何よりもミルクがたっぷり。あまりカキが得意でないクアトロの父にもこのカキはただものではないなと思わせる。有明海のカキが美味しいとは、今まで知らずにいた。
この有明海のカキはスミノエガキという。八代海の一部と、ここにしかいない。以前は、この養殖が有明海の主力産業の一つだったが、昭和30年代後半にノリ養殖に取って代わられた。作り方は、天然に近い素朴な方法だ。カキが産卵する6、7月に長さ1メートルの竹をカキ床に立て、海中を浮遊している、生まれたばかりの稚貝を付着させる。稚貝は2、3センチになったところで自然に落下し成長する。翌年の冬には、殻の長さが20センチ前後にもなるという。普通のカキの養殖はこのカキ床が何段かになっていたり、ヒモで吊したりして養殖する。すると、カキが出すドロが他のカキが呼吸して、結局ドロ臭いものが出来る。有明海のカキには、吊すための穴も開いていない。自然に近い形で作られていて形も良い。また有明海は、カキのえさになるプランクトンが、よその海より何倍も多いので、よく肥えている。それに、たくさんの川から淡水が流れ込んで塩分濃度が低い。塩分濃度が高い外海で育ったカキはえぐみがあるが、有明のカキにはそれがないという。
諌早湾干拓の水門を閉じた翌年から、エイが急に増えた。半端じゃない数だ。夏に集団でやってきては、カキを食い尽くす。カキはうす(貝柱)を外すと簡単に殻が開くのを知っていて、殻の上からガブリとかみ砕いて見事に身を食べている。駆除が行われているが、間に合わない。カキ床に竹を立てるのは、エイよけの意味もあるという。今はすっかりまぼろしのカキになってしまった有明海のカキ。まだまだ、あまり知られていない美味しいものがあるものです。
※今日のクアトロのおすすめチーズ
カプリス・ディ・デュー(白カビ)、ロックフォール・パピオン(青カビ)、モンドール(ウオッシュ)、セル・シュル・シェール(シェーブル)、エティバ・ダルバージュ(ハード)

コメント
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