愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

滋賀県湖南市 少菩提寺跡多宝塔

2012年08月03日 | 石塔:石造物

以前、滋賀県の石仏ページで紹介した少菩提寺跡に建つ、ちょっと見慣れない形の石塔です。

滋賀県は石塔の多い地域ですが、目立つのは宝塔ばかりで不思議に多宝塔は殆ど見かけない。

少菩提寺は、興福寺の別院として天平三年(731)、良弁により建立されたとされる由緒ある古寺ですが、元亀元年(1570)六月織田信長の兵火に遭い焼失、その後再興される事なく廃寺となり今に至る。

県道27号線、道沿いに建ち並ぶ菩提寺集落、民家脇の小道を山手に少し登ると右手に大きい三体地蔵、左手、民家裏手の高台、総高4.5mにも及ぶ石塔が、新しいく造られたであろう基壇の上、竹林を背にすくっと建っている。

<東正面>

基壇に多くの小石仏を置き、広く低い基礎部、その上に平石を南北に置き、少し背の高い初層軸部、その上は木造多宝塔を模した造りになっている。

<西面>

周りに並べ立てられた小石仏はいづれも室町後期のもの・・・・、西面基礎には鎌倉時代中期の仁治二年(1241)の刻銘。

<北面軸部>

「仁治二年(1241)辛丑七日」、「願主僧良善、施主日置氏(へきし)女(むすめ)」と刻まれているらしい。

いずれにしても豪族日置氏の女(むすめ)が施主となり、この石塔を造立したのは確かなようです。

残り三面は素面ですが 石造多宝塔として国の重要文化財に指定されている。

民家の裏手にあって場違いな程に立派な石塔です。

撮影2006.4.09:2011.6.12



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