椿井線刻石仏のあるは、奈良県生駒郡に属していて、西の生駒山地と東の矢田丘陵の間を流れる竜田川沿いに開けた盆地で、武内宿禰を祖とする、奈良時代の有力な豪族・平群氏が本拠地としたところです。
平群の矢田丘陵の山裾に有る椿井集落の中ほど、旧道脇にこの笠石仏と銘号碑が並んで立っている
笠石仏は総高約1.5m角柱状花崗岩の正面の枠取をして壷形光背を彫り沈め,蓮華座に立つ如来像を線彫りで彫り刻んでいる。
長い年月に多くの信者が像の正面を撫でさすり、磨耗がが激しく、像上部は殆ど明確には解らない状態です。
また像の周りには15尊の梵字仏画刻まれているらしいがまったく解らない状態でした。
下部の衣文の流れが以前紹介した一針薬師笠石仏に良く似ていて鎌倉中期ごろの作風を表しているといわれています。
本来の像容は、はっきりしませんが、地元ではミロク(弥勒)と呼んで信仰されています、しかし像様などから薬師だとする説があります。
胸の付近で真二つに折損しているが、昔、牛馬をつないでいて引き倒され手折れてしまったという事のようです。
石仏の背後には、この集落の旧家の 白壁土塀が在って、懐かしい辻の石仏と言った風情を醸し出している。
撮影2006.8.26