車ではこの寺に横付け出来る道は無い・・・・。
そのためか大津市街の中心地近くに在っても訪れる人も殆ど無く、小さな庫裏に人の気配も無かった。
市街地近くとは言え森閑とした中に建つ本堂にはセンサーがついてて、僕を感知すると不審者でも威嚇するような読経だけが虚しく流れる・・・・。
簡素な本堂の前には時代を経たような牛の置物。
京都から大津市街地に向い逢坂山を越へ、家並に出くわした辺りの左手、山の斜面に長安寺はあるが、この付近屋並みが建ち込み進入駐車共に不可能です。
寺は家並を越え「京阪京津線」の線路跨いで参道が続き、線路を越えるとすぐ左手空き地奥に巨大な宝塔が建つ。
窓を開ければ届きそうな位置には一昔前のアパートが建ち・・・、なんとも地元文化財行政のお粗末さを感じないわけには行かない。
往古、付近に有った大寺「関寺」が天延四年(976)の地震で大破、復興に際して使われた一頭の牛に霊牛であるという噂が立ち、その死後、その供養のために造立されたという。
後、関寺は焼失し衰退、江戸時代初めには長安寺へと名前を変え、石塔もこの寺へと引き継がれることになって現在に至る。
宝塔は信楽焼きの無骨で巨大な茶壷のような塔身上に六角笠を載せ、その頂に宝珠を置くと言う素朴さで野趣に富む。
宝塔の塔身は見事で実に堂々としたカーブを持つ花崗岩製、 基礎部は何故か八角形
剛健、素朴なこの牛塔は高さ約3.5m、鎌倉初期の造立、重要文化財に指定されている。
石造宝塔としては最大級とされている。
撮影2011.6.19