愛しきものたち

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天理市 桃尾の滝(もものおのたき)不動磨崖石仏/他

2011年05月20日 | 石仏:奈良

此処は密教修行道場龍福寺の瀧行場、瀧行場には付き物の不動さんが三体も・・・・。

旧国道25号線、上滝本集落の東はずれ、道路の左手に桃尾の瀧への案内板があって、その通りに進むと滝の前で道はドン突きとなる。

古来「布留の瀧」として知られた名瀧で、今でも其の水量は豊富に流れ落ち、古くから修験者の瀧行が盛んに行われ、現在でもその修行は引き継がれて居る。

この時期瀧行場は青葉若葉に包まれ瀑布の飛沫と相俟って周囲は心地よいマイナスイオンで充満している。

瀧に向かって、左脇の岩壁に高さ約1.4m、幅70cmの長方形を浅く枠取り、中央には板状に刻みだした像型に、面相や衣文などの細部は線彫りで表すというユニークなデザインの不動明王を配している。

奇想天外とも思える大胆斬新さであふれる躍動感を、凛々しくうごめく線で力強さを・・・

更に不動明王の火炎光背は激しく燃え盛るように長方形の枠を突破り作者独自の美的感覚が伺われる。

脇侍のセイタカ童子、矜羯羅童子もまた主尊の不動明王と同じ技法が使われ迫力にあふれている。

現代美術にも相通じる奇抜さと斬新さは高い技術に裏づけされたものだろうが、かってこのような石仏にはお目にかかったことが無い。

像高約1.3m、大和不動石仏の中でも屈指の名作だと言われ、鎌倉中期の造顕。

不動磨崖の傍には如意輪観音石仏が有り、伊派の名工「井野行恒」の作。

高さ約1mの自然石に舟形光背を刻みだし、二重円光背を背負った如意輪観音坐像を厚く刻み出している。

立て膝、頬杖で像高43cm、南北朝の作だといわれている。

左手光背には「奉起立行経(恒)」の刻銘。

滝壺の前には小さな祠が設えられ、祠の中にも不動三尊石仏・・・

この日はちょうど瀧修行日でもあり供台の供物や供花などを移動できずに詳細な写真は撮れなかった。

前記の線彫り磨崖不動には遥か遠く、力量不足を感じるその像容、憤怒相がどこか崩れて親しみやすい顔容、光背面の左下に「奉起立貞和四年二月廿三日」の刻銘があり、南北朝初期 の1348年の造立。

更に祠の左前方にも自然石に長方形を彫り窪めた中に不動明王を刻み出している

 しかし、これはちょっと稚拙でアンバランス・・・・・、行場は不動明王石仏であふれ返っている。

撮影 2006. 4. 08/2009.11.14/2011. 5.14



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2 コメント

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Unknown (たいしん)
2011-05-20 07:58:30
近年、何時行っても滝行が行われており
一寸近づき難い雰囲気になってしまいました。
これもパワースポットの影響でしょうか・・・

滝の左壁面に彫ってある
落書きのような小さな阿弥陀磨崖仏は見ましたか?
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Unknown (ぺんl)
2011-05-20 10:19:13
それには気付かなかったですね。
又のきかいにでも見てみます。
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