愛しきものたち

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大津市比叡辻 聖衆来迎寺(しょうじゅらいごうじ)墓地の笠塔婆

2013年07月06日 | 石仏:滋賀

前回より紹介の聖衆来迎寺(しょうじゅらいごうじ)、本堂の前を横切り、小さな入口の墓地を訪れると旧い笠塔婆が見られる。

現在では湖岸縁を走り抜ける国道161号線から直接墓地に入る事はできなく成っているが・・・、一昔前まではわざわざ境内を通らなくても墓参は出来た様です。

聖衆来迎寺本堂の北隣、湖岸東向きに入口を向け、墓地入口と思しき処に南塔、北塔、一対の笠塔婆が立ち尽くす。

 南塔は所謂向かって左側、花崗岩製の幅約30cm、高さ1.35m角柱に上下2体の舟形を持つ、上に薬師如来坐像、下に合掌する菩薩坐像を、小さいながら力強く半肉彫りする。

元より笠石は後補、正面上部には月輪内に金剛界四仏の「タラーク:宝生如来種子」を刻む。

向かって右側面東面上部には月輪内に「ウーン:阿閦如来」種子を刻む。

背面にはキリーク、その下方には「建長五年(1258)癸丑八月廿八日」、鎌倉時代中期の造立銘を刻み込む・・。

一方向かって右側、北塔は少し低く112cm、

上部、笠下に舟形を彫り沈め、中に来迎印阿弥陀如来立像を半肉彫りし、その下部には観音の種子「サ」と左に勢至の種子「サク」を刻む。

所謂、阿弥陀三尊、こちらも笠石は元から後補・・・・、共に鎌倉中期の造立と考えられ、近江の石像美術を語る上になくては成らない遺品だと言われて居ます。

撮影2011.12.4:2012.10.16