愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

高島市新旭町針江  日吉神社石造宝塔/大日種子板碑

2013年06月23日 | 石塔:石造物

湖西、高島市の中心域、湖岸地帯は石造宝塔の密集地帯としてよく知られて居り、そんな一つ新旭町針江集落の日吉神社には宝塔を中心に三基の石造物が並び立って居る。

針江集落は湖岸穀倉地帯、「生水(しょうず)里」と呼ばれ、豊かな湧水が水路となり集落を潤し、人々の生活と蜜着してきた。

そんな水路を跨いだ日吉神社は、永仁2年開基の石津寺の鎮守社として寺と同時に創建されたと伝えられるが、石津寺はすっかり衰退、小さなお堂が境内の片隅に残されて居る。

そんな小堂の前、大きなタブノキの根元に、古式然とした石造が並んで居る。

所謂、石津寺の遺物なのだろう??中央には十尺塔と呼ばれる大きく立派な宝塔、向かって左手には二梵字板碑、右手には層塔の残欠。

宝塔は基礎石に鎌倉時代後期の徳治二年(1307)の銘を持つ花崗岩製、

軸部と二段の首部は一石から成り、軸胴部は粗面で何の装飾も見られない。

屋根部は二段落ちの斗拱部を持ち、重厚で力強い軒そりが時代を現しているが・・・軸部に対して屋根部が少し貧弱。

現行、屋根部直下までの高は約2m、上部相輪は間に合せの五輪塔残欠を載せているが総高は3mとなり、十尺塔として造られ、宝塔の多いこの地域に於いても珍しい。

宝塔右サイドに有る二梵字板碑は前後で一柱、後方の石柱はその下部、枘で繋がれ前方の上部がその上に載っていた。

上部は山形の頭部造り出し、その下に二段の切込みをいれ、塔身に金剛界大日如来の種子「バン」と胎蔵界大日如来の種子「ア」を大きく彫り沈めている。

上下合わせると3mにも及ぶ巨大な「金胎大日種子板碑」と言えるものです。

左サイドには層塔残欠が四方仏を刻んだ初軸部の上に笠石を一層載せ、五輪塔の水輪らしき間に合わせ石を載せている。

この残欠は寄せ集め感の強いものですが、中世に遡る石造物に違い無く、ほのぼの良い味出してます 

撮影2011.12.4