Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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Topiramateによるpainful diabetic neuropathyの治療は一石二鳥?

2004年10月12日 | 末梢神経疾患
Painful diabetic neuropathy(PDN)は難治性の病態である.近年,末梢神経の易興奮性と,それに伴う中枢への影響(興奮性アミノ酸glutamateの増加・抑制性アミノ酸GABAの減少)が,そのneuropathic painの病態に関与していると推測されている.抗てんかん薬であるTopiramateは,バルプロ酸塩,gabapentinとともに,GABAを調整することによってNa,Ca-channelを抑制するが,今回,ランダム化比較試験(RCT)の結果,topoiramateがPDNの治療薬として有効であることが報告された.具体的には12週間の使用で,半数の症例に改善を認め,またこの間,血糖コントロールを悪化させることなく体重も2.6kg減少させた.つまり,TopiramateはPDNの治療において一石二鳥かもしれない.
しかし,日本ではtopiramateにしても,gabapentinにしても保険で承認されておらず使用できない.欧米におけるRCTで,有効性と安全性が示された薬剤については,本邦においても早期に使用できるようなシステム作りが望まれる.

Neurology 63;865-873,2004

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HDL-2 は日本には存在しない?

2004年10月12日 | 舞踏病
ハンチントン病類縁疾患2型(Huntington's disease-like 2; HDL-2)は,ハンチントン病(HD)と類似する表現型を呈する常染色体優性遺伝の疾患で,junctophilin-3遺伝子のCTG/CAG リピートの延長がその原因遺伝子であることが報告されている.しかし,HDL-2の発症頻度については不明であった.今回,アメリカ,カナダ,日本,南アフリカの多施設共同研究により,HDL-2の発症頻度はきわめて稀であることが分かった(0-15%).日本人における報告はなかった.本症はアフリカ人の家系にのみ発症するらしい.
おそらく,日本人における優性遺伝性舞踏病の診断は,HD,DRPLA,SCA17をまず検討すれば良いものと考えられる.いずれもCAGリピート病であり,遺伝子診断が可能である.

Ann Neurol 2004 Oct 4 [Epub ahead of print] 

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SOD1遺伝子異常に伴う家族性ALSの病態機序

2004年10月12日 | 運動ニューロン疾患
家族性 ALS(FALS)の原因遺伝子として,SOD1遺伝子が発見させれて久しいが,その病態機序についてはほとんど解明されていない.最近,2つの研究グループによって,変異SOD1がミトコンドリアに集積し,抗アポトーシス因子であるBcl-2と結合することで,アポトーシスを促進させる可能性が報告された(wild type SOD1もBcl-2と結合するが,その結合は変異SOD1においてより強固で,さらにその結合は脊髄では認められるが,肝臓では認めないとのこと→運動ニューロンの選択的変性の病態機序に関与している可能性があるという).
しかし,これらの結果はあくまでもSOD1に伴うFALSに限ったことであり,sporadic ALSとの関連は不明であると言えよう.

Neuron 43;5-17,2004
Neuron 43;19-30,2004

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secondary progressive MS (SPMS) に対し IVIg は有効か?

2004年10月10日 | 脱髄疾患
IVIg の再発寛解型 MS(RRMS)に対する有効性は4つのランダム化比較試験で証明されている.今回,ヨーロッパにおけるstudy group (ESIMS)が,SPMS に対する IVIG の有効性をランダム化比較試験で検討したが,残念ながら有効性は認められず,むしろ IVIg に伴う深部静脈血栓症が治療群に有意に多かった.この結果から,SPMS に対する IVIg は行うべきではないと考えられる.

Lancet 364;1149-56,2004

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alfa-synuclein gene (SNCA)の duplication と PD

2004年10月10日 | パーキンソン病
SNCA の triplication は early-onset parkinsonism with dementia を来たすことが報告されているが(Science 302;841, 2003),今回,duplication により常染色体優性遺伝形式の PD の表現型を示すことが報告された.表現型,発症年齢は通常の特発性 PD と区別がつかないという.SNCA 遺伝子の遺伝子量と,表現型の関連が示唆された.
これらの家系があくまでも特殊なものなのか,遺伝子量効果が特発性 PD の重症度に影響を及ぼしているか興味が持たれる.

Lancet 364; 1167, 2004
Lancet 364; 1169, 2004

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IFNb1aによる風邪様症状に対する治療

2004年10月10日 | 脱髄疾患
IFNb1aによる風邪様症状に対する治療として,corticosteroid,ibuprofen,acetaminophenを比較すると,いずれもIFN筋注前に使用しても予防効果はないが,ibuprofen 400mg(ブルフェン)の筋注後の使用は発熱を最もコントロールできる.

Neurology 2004; 63:525

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