Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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困ってるひと

2011年07月04日 | 医学と医療
筋膜炎脂肪織炎症候群(fascitis-panniculitis syndrome)という病気をご存知だろうか.筋肉を包む筋膜と,皮膚のあいだにある脂肪組織の炎症が起こり,全身の痛みや皮下の硬結を来す原因不明の全身性疾患である.発熱,関節炎,腹痛を伴う.組織学的には筋膜の炎症と,脂肪細胞の融解壊死・肉芽腫形成が特徴的で,治療後に皮膚陥没を残す.非常にまれな疾患で,私も主治医として担当したことはなく,研修医の頃におひとりだけ病棟に入院されてきたように記憶している.

さて,最近,話題になっている「困ってるひと」を読んだ.筋膜炎脂肪織炎症候群と皮膚筋炎という難病を患っている26歳の大学院生女子の闘病記である.闘病記は学ぶことが多く,意識して読むべきと思うのだが,読んでいてつらくなることも少なくない.しかしこの「困っているひと」は・・・とても面白いのだ.次はどうなってしまうのかと,どんどん読み進めてしまう.その上,難病医療において「福祉制度」がとても大きな障壁となっていることにも気がつかされたり,胸がキュンとするような恋の話もあったり,お薦めである.

著者は上智大学に在学中にビルマ(ミャンマー)難民に出会い,その後,難民キャンプに潜り込み,民主化運動やNGO活動に没頭するという壮絶な生活を送るが,大学院進学後,突如,高熱,全身の関節と筋肉の痛み,口内炎,脱毛に見舞われる.診断がつかず,1年もの検査生活,そして9か月間の入院期間を経て退院・独立するまでが描かれる.その間,ビルマ女子は,難病女子→おしり女子→有袋類へと変貌を遂げる(何のことか分からないと思うが,病気の進行で身体にいろいろな変化が起こるのだ).

印象に残ったのは,医者が百万回「よくなっています」と言うより,1回の「よくやっていますね」と言われるほうが嬉しいということば.
苦痛に耐え,「社会」とも戦っているのは自分なのに,ぜんぜん褒められている感じがしない.上司にプロジェクトの手柄を横取りされた部下のような気持ちがする.「よくなっています」と何がなんでも言いたいのは医者のほうなのではないか.
たしかに長く闘病しているとそういう気持ちになるかもしれません.私も「よくがんばってますね」ということばが使えるようにならないといけないなと思いました.いずれにしても大変な闘病生活をこのような文章に出来るのだから,強い人なのだと思う.ご一読を!


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追伸;病気が膠原病のひとつであるため,内科の先生が主治医のようだが,神経内科医も登場する.「アメリカ帰り,スーパー東大的,世界的,神経内科のダンディー先生」とか,「特殊な筋肉・神経系難病のプロの仕事中毒キテレツC-3PO医師」など.どなたなのでしょうね?
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3 Comments

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スーパーDR? (武蔵)
2011-10-21 12:41:54
アメリカ帰り,スーパー東大的,世界的,神経内科のダンディー先生・・・読んでいて、頭の中で思い浮かんだのは、世界的、白髪! の 筋肉の大御所NI先生でしたが・・・
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そうかもしれませんね (下畑 享良)
2011-10-21 14:38:40
たしかにそうかも知れません (^_^;)
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Unknown (T)
2012-08-21 12:11:22
wwwwwwwwww
よくわからんwwww
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