Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

折り返し点での喧騒

2020-08-18 | 文化一般
ベルリンのフィルハーモニカーの券が発売になった。少し遅れてから見ると、売り切れもあったが、買える券も二人綴りで同棲者しか申し込みが出来ない。名前を書いて同定するとどうしても家族以外には恋人という事になるのだろう。連邦政府の保健相が恋人男性と四億円以上の家を購入したというが、それほどは高くはない。先日パーティー禁止の提案を出したので、ネットの書き込みでは「豪邸で勝手にパーティして呉れ」とかの嘲笑が目立った。この売り方はどのような事であっても合理的で、もしどうしても行きたければ一人で二席を確保すればよい。要するに距離を充分に取りながら危険性を高めずに収容人数を倍にまで上げれる。もしバーデンバーデンでこのようなことになれば迷うことなく二席を購入する。ルツェルンもそうすることでマスク不要にすればよいのである。

ベルリンは指数16で決して良くはないが、ここは観客500人までで60人までの編成でじっくりと我慢してやってほしい。コロナに関しては正しい判断さえしていれば、必ずや報われると思う。ロックダウンだけは避けないといけない。二回目はもう皆が我慢できない。

その意味からはヴィーナーフィルハーモニカ―は大胆だ。ヴィーンは新感染者数が十万人中50人を超えた。なにも特別な処方箋もなさそうで本当に手が付けられなくなってしまう。彼らが現在滞在中のザルツブルク音楽祭が折り返しに入った。

そこで東京からベルリンからと同時に出て来た学術の体裁をとった対コロナ提言の内容が殆ど同じで、要は会場を満員にして舞台も妥協して演奏会を開いても危険性は変わらないというものだ。ベルリンの提言者は、今回東京での実験をやったようにベルリンで実験を行った大学病院のシャリティの感染症専門家ステファン・ヴィーリッヒで指揮もしている人のようだ。この専門家が言うには、座席もマスクさえしておけば飛沫感染の起こる可能性は隣通しでも変わらないという。つまり二席に一人など無用で、それまでの四五席に一人などは無駄となるだろう。

その一方で手すりや触れるところは一度毎に消毒してと書いてある。それは当然として空調を重視しているので矛盾も甚だしい。そもそも1.5mから2mのソーシャルディスタンシングは飛沫感染を避けるためだけではなく、肉体的な接触と空気感染をも妨げるのに最も重要な感染予防法と考えられていて、実際にこれが出来ているところと出来ていない所では感染の傾向が異なる。勿論締め切った室内か戸外かで変わるのは空気感染である。呼気からのウイルス拡散となるのだろう。これがこの人物の推奨するヴィーナーフィルハーモニー方式が非科学的かの意味である。

要するにこの人物の提言は矛盾している。全く同様の事を実験結果としてN響が満を持して発表していて、一席空けても詰めてもマスクをしている限り飛沫に関しては差が見られないと自明の結果を自慢げに大きくSNSで流した。流石にこれらの事を陰謀論者でなくても不思議に思わない人はいまい。

そして上のヴィーリッヒの勤める大学病院が間髪を入れずにSNSで警告を流した。先ずは氏の見解は合意された見解ではない事、そしてこれが今後の提言としてもこの感染拡大期に出されることは、現状を全く無視したものであって、それによって齎される危険性を無視していると批判している。

まさしく私の見解はそこにあって、なぜここで東京とベルリンで同時に外れた提言がなされたか、とても歪な魂胆と政治的な背後をそこに感じた。ベルリンのフィルハーモニカーも11月以降の計画を発表するまでまだ少し時間がある。収容人数を上げたいのは分かるが精々二席に一席の可能性をどのように確保していくかだけである。その前提には感染が縮小期である必要がある。

それどころかこの専門家ヴィーリッヒは、そうした会場に来る多くの年長者や基礎疾患のあるような人は出かけて危険かどうかは自分自身で判断してくださいと語っている。まさしくこれは選別思想であり、損益を最重要視したネオリベラルの言葉でしかない。先日のルツェルンからの中継でも気が付いたが、マスクを演奏中もさせてという行為の背後にはこうした非人間的な姿勢があるとしか思われない。



参照:
ザルツブルクの勘違い 2020-08-10 | 文化一般
奈落拡大計画の実験 2020-06-24 | 文化一般


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