Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

心に沁む最後のイヴの電話

2009-12-25 | 
昼過ぎに電話がなっていたのは知っていた。その番号にかかる電話には殆ど出ない。公開している電話番号だからである。必要な人は他の番号に掛けるはずだから。

それでも、クリスマスメッセージを電話で呉れる人は限られていて大体想像がついていた。そしてその時間帯から。しかし同時にいつもなら25日に電話するのに、24日のイヴからはどうしてだろうかと思った。そしてメールに切り替えた様子も無い。

食事の準備で、暑いお湯にザウマーゲンを掘り込むと同じ電話が再びなった。今度は流石に時間帯もあり出てみようと思った。バッハのロ短調ミサ曲が流れる中をそのCDを一時停止にして電話に出る。

やはりシュヴァルツヴァルトの友人であった。暫らく会っていないので様子を聞いてみると、奥さんも元気だと言い、傍で彼女の声が聞こえる。彼女は子宮ガンの手術をして数年になるのでそれは良かったと思って、「皆んな、どうです?」と尋ねると歯切れが悪い。

息子のフランクも元気で働いていると言う。娘も妊娠で、嫁さんがもう直ぐおばあちゃんになると言う。お母さんはと尋ねると、癌で手術が出来ずに、化学療法に頼って自宅療養と言う。

彼女の比較的若くして亡くなった旦那を知っている人間として、また当方の乗っている車の全てでどこかへ送って行った彼女に、二十三年以上の知己のある人間として、来るべき時が来たかと思った。

「これが彼女にとって最後のクリスマスになるよ」と、あまり聞きなれない押さえた調子で電話の向こうで語り、どうしても今日中に伝えたかった気持ちがよく分かった。新年の再会を願い、「お母さんに宜しく」と伝えると「喜ぶよ」と答えた。

バッハのアニュスデイがとりわけ心に沁み渡った。彼女らと共にシュヴァルツヴァルトの雪のイヴに車で教会に向かったあの凍てついた夜を思い出した。

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