Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

音楽劇場のあれこれ

2018-03-08 | 
州文化審議会の承認を受けて正式な発表となった。ベルリンでの政局が発表の時期を遅らせた。2021年秋からのミュンヘンの音楽劇場の人事である。人事内容は分かっていたのだが、来週月曜日の大臣直々の推挙お披露目の記者会見前に任命の日取りなども分かった。その他にも情報を合わせると見えることが幾つかある。

近々のことでは、この金曜日からの上演がペトレンコ指揮の最後の「ばらの騎士」になるかもしれないことである。成功し続けたオットー・シェンク演出も黴が生えたということで、新制作が次期音楽総監督ウラディミール・ユロウスキー客演で予定されているという情報である。来るシーズンかどうかは分からないが、そうなれば今回の棚卸が最後の上演シリーズになるということになる。初演指揮のカルロス・クライバーと共に過去のものになるということだ。

現音楽総監督キリル・ペトレンコは、2020年の夏に総監督の座を降りて、2021年のオペラフェストまでは客演指揮をするようだ。反対称的に来るシーズンを客演指揮者としてベルリンのフィルハーモニカー開幕公演で指揮する。正式就任は2019年シーズン開幕からなので、ミュンヘン専任監督としては来るシーズンが最後となる。つまり2019/2020年は間違いなくミュンヘンでの活動は少なくなり、多くても新制作二つぐらいではなかろうか。

セルジュ・ドルニー支配人に関しては、文化省の公式の発表においてもジェラルド・モルティエー博士監督の一員となっているが、氏の最後の書には名前は触れられていないようだ。そして、報道が伝えるようにザクセン州での不法解雇問題裁判などから、これで溜飲を下げたことになるとされている。我々モルティエー一派支持者からすると「バイロイトの敵をミュンヘンで討つ」となるのか?その意味から指揮技術的に前任者ペトレンコに勝るとも劣らずの後任者ユロウスキーがロンドンを引き払い仕事を絞って任にあたってくれれば、更なる積み重ねが期待可能となる。ノーノ作品の公演には出向かう心算だったが、たとえ「ばらの騎士」でも気になってきた。あとは「モーゼとアロン」をペトレンコが指揮するかどうかだけだ。それともバーデンバーデンで、若しくはドロニー体制下での方が良いだろうか?
Serge Dorny, directeur de l'Opéra de Lyon


朝、目が覚めるとまたまたヤホ女史からハートが飛んで来ていた。こうなるともはやSNS友ではないかと思う。彼女が「歌に生き」の歌姫であることは重々分かっており、インタヴューを幾つか聞くだけでもその歌唱だけでなく自己表現の可成り明白な女性であることも分かっている。その芸風を裏切らない強い個性である。その自己表現の反応にもとても関心を向けていて、時間があると細かくネットの声に耳を澄ましている。なぜ本人の余暇の楽しみになっているのを知っているかといえば、12月の初日期間中に投稿して引っ込めたその時にホテルでお勉強していた「タイース」の楽譜の写真からだ。流石に公演が続いている中で次の公演のお勉強をしていると思われると一晩の夢を求めてくる一般のオペラファンには不味いと思ったのだろう。その「タイース」はプラシード・ドミンゴと組んでシナ初演をした北京公演のためのお勉強だったのだ。そのことに関してもWDRのインタヴューで答えていた。
Plácido Domingo protagoniza la ópera "Thais" en Beijing


今回のハートは12月末に初日のFAZ評を引用したものだったが、その内容が気に食わなかったのか反応がないなと思っていたが、見つけられてしまった。対象となっている初日は音楽的にストリーム放送中継の三日目ほどには上手く行かなかったので、新聞は読んでいても引用の時期などを考慮していたのだった。メトなどでのアンサムブルを考えると、ご本人もミュンヘンでの「修道女アンジェリカ」の大成功を回想しているのではないかと思う。

昨今のオペラ世界は、三大テノール時代の一昔前とは異なって、指揮者のテムポとリズムで歌う技術を持っていない人はトップクラスには留まれなくなっていて、その意味からは器楽奏者出身でなくても音楽的な技量はとても高くなっている。その反面、万能の歌唱で声質や容姿以外での音楽的個性が益々薄くなっていて、取り換えの効く歌手となってしまっている。その中で、基本的な前提条件を満たしつつ、十八番としての「アンジェリカ」や「蝶々さん」で強烈な歌唱を披露する個性は、二十世紀後半には忘れられていた歌手の個性としての新たな在り方だろう。ある意味、この両面を発揮するのが現代の教育であり才能である。SNSでのインターアクテイヴ性を会場での直接の交感を補う形として操る歌姫としても彼女は天晴である。



参照:
国家大剧院邀媒体探班歌剧《泰伊思》 埃爾莫利拉·亞霍
エポックメーキングなこと 2017-12-02 | 文化一般
蝶々さんのMorningCall 2018-02-26 | 女
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする