不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

今後四年間の南国休暇

2006-07-05 | ワールドカップ06・10・14
イタリア人はとても速かった。街中で訓練された追剥ぎグループにやられるような感じである。蒸し暑く午後7時過ぎには、前祝のシャンペンを開けていたから、TVの前で大分居睡りをしても、それでも試合終了までまだ堪らなく眠かった。

ドイツ人は驚くほど動いていたが、充分に機能的に動くことが出来なかったようである。クローゼが上手く使えないことを見越して、右のシュナイダーに託したのは分かったのだが、結局このフォーメーションは機能しなかった。後半からどんどんと攻撃的な陣営にして変えて行ったのもヨアヒム・レェーヴの戦略だったのだろう。

それに引き換え、イタリア人はカウンターで状況を一転させる力があるので、最後の最後での得点を十分に計算出来ていたようだ。戦前は、守備の綻びなどが示されてドイツにチャンスありとしていたが、充分な形をなかなか作らせて貰えなかった。

試合後の皇帝の落ち込んだ表情は言うまでもないが、試合前の首相のいつも繰り返されるプロレタリアート独裁政権スポークスマン風一言がやはり気になった。必要も無いのに一歩踏み込んだところで、スローガンもどきな表明をして、一党独裁政権党挙げての見解を示す趣がある。ホーネッカー書記長が健在なところで、原理原則を掲げるような言動を子供のころから叩きこまれている東独出身者は、一生そのままであり続けるのだろう。毎年のバイロイトの音楽際初日のインタヴューも全く同じで、大多数の大衆の納得と姿勢の模範を示すような発言は、逆にこのトップダウン的な思考法の女流政治家の不人気をかっている。西側には、知識人や文化人がおり、それらの言動や見解が自由な報道の中で、広く世の中に伝わっている事を繰り返し思い起こさなければいけない。実行派メディア・ポピュリストの前首相とは正反対である。

クリンツマン指導体制の継続を望む声が急に強く叫ばれているが、どうなのだろう。女流政治家の首相は、父コール首相が代表チームの監督を囲ったように、表面に出てくるとは思えないが、そこまでは踏み込む人間でない事がこの政治家をただの調整役にしている所以であろう。いづれにせよ多くのサッカーファンには、虫唾が走ったに違いない。それに引き換え、首相が引き連れられて、男たちの裸のロッカールームにお悔やみに参上した大統領には、サッカーファンはいっそうの親近感が湧いたに違いない。

さて市井のドイツ人にとってこの敗北の意味するものを綴るとすれば、今後四年間イタリア旅行の際には、「イタリィエーナは、運転も危なっかしいしなんだかんだ」と言うところが、「テデスコは、システムとか何とかいっても口だけ」と言われているような被害妄想に苛まれると言えるか。町の旗指しの数は殆ど減っていない。殆どの人が日曜日の休みまでそのままにしておくつもりらしい。

何はともあれイタリア人が密集して住んでいる地域ではかなり湧いたようだ。しかしワイン街道は全く静かで、準備していた車や人間達が音もなく静かに通り過ぎるのが良く判った。強豪フランスとポルトガルの試合がミュンヘンで催される本日も暑くなりそうだ。そろそろ夕立もやってくるだろう。


参照:王女とカエル王子 [ 文学・思想 ] / 2006-07-08
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映像のみが語る真実

2006-07-05 | ワールドカップ06・10・14
昨日のトップニュースは、トルステン・フリンクスの処分決定であった。アルゼンチン戦終了後の暴力行為で処分された。それもイタリアのTV局による証拠提示となっているので、疑心暗鬼が前哨戦から湧き起こった。ヴィデオによる処分はトッティーも昨年の欧州選手権で受けたと言うから、その重要性はイタリア人は良く知っていたようである。確かに写真を見るとクリンスマンと並んで拳を握ってかましているのが良く映っている。打たれたとされるフリオ・クルツが覚えが無いと言うのが面白い。映像が全てなのだろう。

こうして、バラックとのコンビでイタリアの攻撃を引き止めつつ反撃へと出る重要な選手は出場停止となって、その次の試合まで出れない。その位置にセバスツィアン・ケールが入るか、ティム・ボロヴスキーが代行すると言う。

なにやら、チャ-ルズ・チャップリンの「独裁者」におけるヒットラーとムッソリーニが椅子の高さで虚勢を競うような按配でおかしい。こうした狡い試合になると予想する。さらにかなり惨めな敗者が生まれそうである。

そのときのPK戦でイェンツ・レーマンの受け取ったメモが報じられているが、こうした情報戦は何も珍しい事ではなくて通常行われていると言う。ただ、使わなくてもなんでもないとする。そして名選手ボド・イルグナーが言うには、PKは習う事が出来て、ドイツチームがワールドカップで18発中一発しか外していないのも驚きながらも理解出来るとしている。それは少年の時からの十分な経験によると言うのである。そして二発ぐらいはキーパーが止める事が出来るのは普通で、三発のリカルドはそれを超えているとする。反対にイングランドがなぜそこまで外すかは興味深いとしている。

試合が終わって暫らくして、アシスタントで参謀のヨアヒム・レェーヴが、「二日前に我々は世界チャンピオンになった。今度は欧州チャンピオンにもなる事が出来る。」と語っている。クリンツマンは、全ての戦略を握っている彼を後任に推薦していほどで、強く抱き合う蜜月の様子は些か暑苦しい。それにマネージャーで嘗てのセリエAの得点王オリヴァー・ビーアホッフのアドヴァイスが有用になると言うが本当だろうか?

クリンツマンは、フリンクスの処分を受けて、「我々の熱狂を誰も止められまい。」と語る。(テデスコイタリィエーナ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

独逸女、誠実、ワイン、歌

2006-07-03 | ワールドカップ06・10・14
フランスがブラジルを叩いた試合はサッカーの歴史に残るのだろう。恐らくジダンと言うアルジェリア人選手の偉大な伝説としても。この期間独第二放送のゲストととしてベルリンに駐在しているペレ氏の顔色がなかった。我々でもショックだったが、ブラジル関係者にとってはどれほどだったのか、これで推測できる。独カイザーの勝ち誇ったような顔が通常よりも遥かに大きく見えた。

奇しくも欧州対決になってEU内代替戦争の様相を呈してきた。ドイツから見れば、ザクセン家末梢の君主国も、同じくオランジ伯の君主国チーズ頭のオランダも消えて、先ずはイタリアと生き残りをかける。

仮にドイツとフランスが其々勝ち進む事になれば、永遠のライヴァル同士が戦う事になる。隣国との戦争ほど燃えるものはない。少なくとも政治的には蜜月の時代にある両国であるが、EADS社における紛争や日常における国民感情として最も腹の虫の治まらない相手に違いない。それは両国における双方の言語への学習意欲にも表れているようで、その関係に反してそれぞれの言語の学習者は極端に少ないと言えるだろう。

こうした関係にあるからこそ期待したい気持ちもあるが、フィーゴやジダンのベテラン同士の対決や南国同士のエキサイトなぶつかり合いも見たい気がする。同時に超一流のスターたちは同じ釜の飯を食べていることが多く、同僚が違う旗のもとで真剣勝負で戦う風景がここにきて多く見られるようになった。

ともかく、これで一挙にクライマックスへと気候ともども登りつめそうで凄いことになってきた。フランス人は、かの血生臭いラマルセイェーズを歌うと文字通り俄然血が騒ぐようだ。

Allons enfants de la Patrie,
Le jour de gloire est arrivé !
Contre nous de la tyrannie,
L'étendard sanglant est levé, (bis)
Entendez-vous dans les campagnes
Mugir ces féroces soldats ?
Ils viennent jusque dans vos bras
Égorger vos fils, vos compagnes !

Aux armes, citoyens,
Formez vos bataillons,
Marchons, marchons !
Qu'un sang impur
Abreuve nos sillons !

ボルドーのサンテミリオンのシャトーの奥さんが、「私はワインに関しては断然ペェイテリオトよ。」と言っていた事を思い出した。其処で再びドイツ国歌の未承認の第二節を読む。

Deutsche Frauen, deutsche Treue,
deutscher Wein und deutscher Sang
Sollen in der Welt behalten
Ihren alten schönen Klang,
Uns zu edler Tat begeistern
Unser ganzes Leben lang.
|: Deutsche Frauen, deutsche Treue,
deutscher Wein und deutscher Sang. :|


ドイツ女、ドイツの誠実、
ドイツワイン、ドイツの歌
この世に覚ゆるべきぞ
その古の妙なる響きの味を、
高貴な行いに駆り立てる
一生涯かくあるべきと。
ドイツ女、ドイツの誠実、
ドイツワイン、ドイツの歌


当時のコール首相とヴァイツゼッカー大統領は、なぜにこちらを選ばなかったのだろう?やはりこちらの方が良さそうな気がする今日この頃である。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まだまだ序の口か

2006-07-02 | ワールドカップ06・10・14
ピンと張りつめた雰囲気で試合場に入るドイツチームと、バス中で皆が拳を上げて踊り捲くるアルゼンチンチームでは、精神的興奮度が全く違う。これだけを見ると真面目なドイツ人にはチャンスはなさそうだが、その興奮状態が試合終了までそれほど長く保つとは思わない。どのような運動能率曲線を描くのだろう。マラドーナが同伴者の関係で入場出来なかった。中国人がワールドカップ空気缶詰を6ダラーで売るとか。

幸運にもドイツはアルゼンチンに勝利して、頂上を目指すべく駒を進める。メルケル首相の言うようにまだまだ序の口か。PKの裁定はつまらないが、クリンツマンにとっては最も可能性のある勝利方であったろう。アルゼンチンは試合後に、シュヴァインシュタイガーを殴るぐらいなら、試合中にかたをつけるべきであった。ドイツチームのコンディション作りは大したものである。滞在型の宿舎は最高の環境らしく、誰もが一日でも長くいたいと言うのも秘訣だろう。

蛇足かもしれないが昨日の記事の注として、ドイツ連邦共和国の国歌の法的に認められている三節の歌詞を書留める。

"Einigkeit und Recht und Freiheit
Für das deutsche Vaterland!
Danach lasst uns alle streben,
Brüderlich mit Herz und Hand!
Einigkeit und Recht und Freiheit
Sind des Glückes Unterpfand:
Blüh im Glanze dieses Glückes,
Blühe, deutsches Vaterland!"

団結・権利・自由
祖国ドイツのために!
それを求めて願わん、
心と手を共に携えて!
団結・権利・自由
それは幸福の質種なのだ:
この幸福の輝きに栄えろ、
栄えよ、我が祖国ドイツ!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歓喜の歌 終楽章

2006-07-01 | ワールドカップ06・10・14
いよいよである。ドイツ代表チームにとっては正念場。ここでアルゼンチンを破れば、優勝するのではないかと思う。一昨日イタリア料理のオヤジと店仕舞いまで、外に腰掛けてサッカー談義をした。ドイツ人の奥さんであるが、どうも昨今の盛り上がりには否定的であった。なるほど執拗に「どちらでも良い、関係ない」とは口では言いながら、イタリアは戦線に未だにいるのをそれとはなしに語っている。

パトリオティズムへの見解は、「父なる祖国とトトカルチョ」と「吉兆とヨハニの乱痴気」の記事へのコメントとして二度ほど疑問が示された。しかしそれもここまでかもしれない。クリンツマン監督は、戦前からベスト十六での敗退は大スキャンダルと語っていたが、少なくとも役目は果たした。これからは、加点要素である。

概ね、既に述べたように今回のドイツ連邦共和国の盛り上がりは、その天候のように尋常ではない。どう尋常ではないかと言えば、1990年の優勝当事とは明らかに違う解放的な熱狂があるからだ。少なくともドイツのシャンペンのように弾ける。更にこれを否定的に考える人は少ない。言うなれば、上手く力の抜けたパトリオティズムなのである。ここには、グスタフ・マーラーの引きつった音楽や表現主義的な痙攣も、リヒャルト・ヴァーグナーの誇大妄想やロマン主義的な陶酔も無い。言うなれば、ベートーヴェンの第九のドンちゃん騒ぎに近いかもしれない。これは、当然ながら大変興味ある事象で、今後とも分析されて語り継がれると予想する。

内政では東独合弁を課題を残しながらも何とかなし遂げ、外交ではコソヴォ紛争への決断とイラク戦争への批判を合わせた独自の見解と世界に開かれた社会を示し、この間政治不正は顕著となったもののEUの機構の中へと止揚出来る自治と体制を整えた、ドイツ連邦共和国の確信と自負に相当する自尊心が表出している。

だから深い悔恨は何処へ行ったのか、ただのサマーパーティーなのか、ナショナリズムの沸騰なのか、それとも痙攣したパトリオティズムか、解放されたパトリオティズムなのかと自問自答される。FAZ新聞が五択のパトリオティズム心理テストを提供している。

質問一、国歌が放送で流れたら何をしますか?起立して三番まで歌う、音を消す、ビールを取りに行く、卑猥なしぐさをブラウン管に向ける、「質種*」の歌詞を喜ぶ。

質問二、オランダとはあなたにとって?永遠の悪魔、交通渋滞、麻薬の薬事法、サッカーの見本、コメディアンで馴染み。

質問三、ワールドカップで優勝するべきは?ベストチーム、美しいサッカーのチーム、何でも良いからドイツ、特にアフリカの伏兵に期待、早く終われ。

質問四、国旗は?黒・赤・欲望、ファッションとして合わせにくい、最近のアウトバーンの渋滞の印、問題多く第四帝国を考えてしまう、ワッカを付けて良し。

質問五、目下、国旗をどうしてます?バルコンに下げている、白いハトのパッチワークを付けた、バルコンには乾いたジェラニアンを設置、参加もしていない国際旗を下げた、家を三色に塗った。

質問六、ドイツ的心情を示しているか?髪を三色染めに、1954年のトリコロールを皮肉に着る、1990年のトリコロールと汚いジョギングパンツ、くたばれドイツのTシャツを着る、なにもしないで試合中に芝生を歩きたいと思う。

質問七、現在の心情告白?黒・赤・欲望、まだ多産、夏のリラックス、入会前、移住したい。

質問八、最も感動する軍事的成功?1974年のドイツチームの防御、皆と同じく私は民間人、アフガニスタンの国防軍にも中継されている事、トイトブルガーでの勝利、先の大戦での連合軍の勝利。

質問九、アイルランドのパブで民謡を請われたら?1945年以後は歌わないことを説明、スェーデン人と偽りそれを披露、考えた挙句マダカスカルを歌い続かず失敗、シューベルトアーベントとする、たまたまの出身のケルンの歌を歌う。

質問十、ニューヨークで得体の知れぬネオナチ運転手に乗り合わせて?直ぐに下りる、勝手に喋らせチップを渡さない、非常に良いと思う、グリーンカードを提示させる、お説教をする。

質問十一、アルゼンチンに負けたら?タンゴCDを打ち砕く、大きなステーキを平らげる、牛をいじめる、オランダに負けたよりましと慰める、アルゼンチンとの戦後の繋がりを感謝する。

質問十二、敗退が決まったら?そんなはずが無い、英国路線へ替える、ヴァルハラで敵旗を焼く、自棄酒を飲み環境を汚さない、平面TV を早速ネットオークション。

質問十三、優勝したら(恐らく2014年)?BMW3でベルリンを箱乗り、ミュンヘンでアウディQ7から爆竹を投げまわす、チャットにいる、負けチームのファンサイトでソーセージを振舞う、自棄酒を飲んで少なくとも環境を汚さない。


診断:
10点まで、自虐的態度は大変ドイツ的。アンチファシズムやアンチミリタリズムは賞賛に値するが、大体60年遅すぎる。テロ国家に生きているのではなくて、連邦共和国の外交はほとんど僅かばかりにしか強圧的帝国主義でないことを思い起こせ。

30点まで、総じて大分リラックスムード。リヒテンシュタインやモンゴルやトバコの市民と同じような感じである。優勝などどちらでも良い。世界に開かれている反面だらしの無い熱意の無いリベラリスト。

39点まで、あなたはドイツ。

59点まで、時々非民族的解放感をトレーニングする事を勧めます。極東の瞑想やラテンアメリカの舞踊、そして何よりも外国語講座が良い。ビルド新聞の講義を暫らく止めるのが良い。

109点まで、どうもあなたの右脳は不法地帯のno-go-areaに犯されている。治療法があるのかどうか疑われる。遵法精神を持て。


さて涼しいうちにシャンペンでも調達して冷やしておこう。

多幸症を伝える写真集

ライヴカム・ベルリン

アレクサンダー広場など5箇所
ドーム周辺
ブランデンブルク門から
ポツダム広場
ポツダム広場道路
クーダム
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮城のPV会場から

2006-06-26 | ワールドカップ06・10・14


シュトュッツガルトの市街地新宮城のPV風景を観察。



イングランド対エクアドルの試合は大変蒸し暑い中で行われた。気温だけで条件を比べるのは難しいかも知れない。何れにせよイングランドは運動量だけでも精彩がなかった。それにしてもルーニーの面構えは参加選手中トップクラスの悪である。TV中継ナレーターが、「この人とはマジョルカ島で一つの椅子を争いたくない」と言うように、選手で無ければフーリガンと言う感じがする。このような凄いつわもの選手がいるのでイングランドはまだチャンスがありそうだ。民放は大男のクローチを「サッカーをするアスパラガス」と呼んだとかでいよいよ対イングランドでも臨戦体制になってきている。ブラジルに勝ちぬくことは無いだろうが。

一人減り一人減りで9人対9人になってどうなるかと思ったが、結局ポルトガルがオランダに勝った。ニュルンベルクのと言われる。

雷が轟いてまた雹が降って幾らか涼しくなった。途中瞬間的に停電二回。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライヴカム・ミュンヘン

2006-06-25 | ワールドカップ06・10・14


カウチポテトの用意に買い物に行く。百台から二百台に一台は、車の窓から国旗を出して走行している。以前よりも増えた気がする。こうした旗日は、家屋に垂らされる旗も含めて、四年に一度のワールドカップだけなのである。

新聞に興味ある写真が幾つか出ていた。一つは多文化が寄り添っているベルリンのクロイツベルク地区のアパートメントの写真である。最上階にはドイツの国旗が二件、そしてトーゴかどこかのイスラム教件の国旗、その下の回には参加していないに関わらずイスラエルの国旗、そしてエクアドルの国旗が生活臭を匂わせるベランダに吊るされている。もう一つの写真は、ドイツ国旗で体を巻きつけスタジアムでドイツチームを応援するチャドを被ったトルコ人の女性である。双方とも現状を示していると同時に、其々が属する帰属母体と自身の関係を様々に示唆している。

今回はトルコが参加していないので幾らか静かであるが、こうしてドイツが優勝を狙える態勢になってくると、俄然と盛り上がる。ゴール毎に空砲が撃たれていた。勝ちこす毎にだんだんと大砲となって行くのだろう。

何れにせよこれでドイツとアルジェンチンが戦うこととなった。スヴェーデンは今一つ良くなかったが、ドイツ選手の足元が安定していたのには驚いた。コンデションも良いようで最高のようだ。メキシコのシュートなども恐ろしかったが、結局技術的にも洗練されているアルジェンチンが技で勝敗を決した。



ミュンヘンからのライヴカメラ

オリンピックタワー
旧市街を望む
旧市街中央マリエン広場
ヴィクツアリエン広場
TV塔
動物園像の檻など
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉兆とヨハニの乱痴気

2006-06-24 | ワールドカップ06・10・14
ドイツチームは、本日夕刻にスヴェーデンといよいよ決勝トーナメントを戦う。イングランド戦を引き分けに持ち込んだ力は恐れるに足る。スヴェーデンなら勝てると言う意識があるので、この時点でイングランドとドイツがあたらなかったことを感謝しなければいけないだろう。

先日伝えたブラウンベアーは未だに捕獲されていない。前回優勝したときにも同じような騒ぎがあったとかで、慶兆として受け止められている。ベアーは、断るまでもなくゲルマン人とって特別な意味を持っている。決勝地ベルリンの市旗を見ろ。

それに本日はなんと言ってもヨハニの日。もし勝利する事があればミュンヘンの夜の乱痴気騒ぎは最高潮となろう。スヴェーデン人も同じゲルマン系なのでいずれにせよとなる。

更に夜ライプツィッヒでのアルゼンチン対メキシコもハイレヴェルの戦いとなろう。実力のあるどのチームも予選リーグでのアイドリングを経て調子を上げつつあるので、ここで一気に本格的な祭りとなりそうだ。

昨晩は韓国がスイスに敗北してアジア勢はオセアニアのオーストラリアを除くと全滅した。日中はケルンの街中で韓国舞踊の鐘太鼓が喧しく響いていた。あの騒々しさとシャーマニズムを髣髴させる押し付け強さはパンソリの「怨念」とかの文字を呼び起こす。

髪を虎刈りのように染めた韓国選手がゴールを決める事が出来なかったようだが、バーゼルで働いていると言うから、本人にとってはその方が良かったのかもしれない。兵役免除などと言う「気が効いている様で馬鹿げたご褒美」を出しているような共和国が勝ち進んで貰ってはいけない。

絶えず同胞の敵対国家と臨戦体制にある国家が兵役を実施しているのは不思議でもなんでもないが、決勝進出を争ったのが国民皆兵のスイス連邦共和国となると、兵役への考え方が問われる。国民皆兵といってもだれもその義務を喜んでいるわけではない。それでも免除する考え方は、プロスポーツとは言えそれを愚弄し、兵役自体をも辱めているような感じを与える。言い換えるならば否定的なパトリオティズムが存在しているのかも知れない。

そのような歪な印象は、朝鮮民族の自己主張のあり方にも共通している。ある意味それらは素直な国威発揚の姿に上手に重なるようである。そのような精神が必ずしも肯定的に受け止められずに、否定的に映るのは民族のコンプレックスが底辺に泥の川のように淀んでいるからであろう。

何れにせよ今回のワールドカップの重要なスポンサーである自動車会社の母国が姿を消すのは痛々しく、アジア・オアセニアではオーストラリアや何れは中国が中心となってフットボールは継承されるのだろうか。



参照:蹴球愛国主義と文化水準 [ 雑感 ] / 2006-06-12
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

父なる祖国とトトカルチョ

2006-06-23 | ワールドカップ06・10・14


試合前の予想通りの結果に終わった。TV中継は当日二試合目のライヴ放送であって、同時刻にはシュトュツガルトでオーストラリア対クロアチア戦が開かれていた。一試合目のイタリア対チェコ戦後に、ブラジル戦がライヴ放送になると言う事でこれを観る事とする。

第一部の放送が一旦終わり第二部までに時間があったので、散歩に出かけることとした。雲が彼方此方に浮かぶような青空だが、夕方の日差しは手ごろでTシャツにセーターを羽織ろうかと思ったが止めとした。それどころか歩いて暫らくすると、弱い日差しもなんとなく暑くしっとりと汗ばむ。

道行く車が旗めかすだけでなく近所にも多くのドイツ国旗が掲げられてワールドカップムードがいよいよ盛り上がって来ている。来る土曜日には一つ目の山を向かえるであろう。

TVの解説者が「日本選手団は既にホテルのチェックアウトを済ましたらしいですよ」と言うのを聞いて思わず吹いてしまったが、ブラジル戦は中継するに足る試合であったろう。FIFAは批判を受けるようなヤクザな団体であったとしても、プロフェッショナルな興行であって且つ世界を揺るがす代替戦争として、パトリオティズムの血を騒がすワールドカップの主催者には違いない。

パトリオティズムの評価は容易には出来ないが、面白い事を思い出した。父親がハンガリー人で母親が英国人のビジネスマンがいた。「ドイツで育ったのでドイツ語が日常言語だが、母は英語を喋るので 母 国 語 と言えば英語となるだろう」と笑いあったことがある。

パトリオティズムの意味は、父なる祖国愛で母国愛ではない。この違いを少し考えてみると誰でも面白い事に気づく。日本語で愛国主義と簡単に訳せない理由が此処にある。

先日も記した自尊心と言うものが存在するとすれば、それが特に集団となる時は父なる祖国愛的なものを根拠とするに相違なく、母なる自然に受け継がれた母国愛に準拠するものでは無さそうである。

日本のサポーターのおとなしい様子やフィールドで相変わらず横たえる情けない選手の姿を伝えるネット記事を見て感じるのは、どうもこの点にも関係しそうである。嘗てBLOGにて、サッカー選手団を軍と呼んだとしてお叱りを受けた。その時はそうかなとも思った。そして先日のサポーターの雰囲気を綴った記事を読んで更に彼らの無害で無邪気な様子を知って尚更その差異を強く感じた。

日本の土壌にはもともと父なる祖国愛は存在しなくて、母国愛教育をすればするほど、パトリオティズムの発展を阻害するようである。パトリオティズムが無い所には、真のアナーキズムもパシフィズムも存在しない。況してや集団をまたは他者を尊重するためには、自身のアイデンティティーを各々が確立していなければならない。



参照:空虚な文化行政の体験 [ 文化一般 ] / 2006-06-06



日本対ブラジルで一発賭けるとすると、トトカルチョの配当は以下のようになる。

先ずは、日本の勝利にかけると配当は約12倍、ブラジルならば約1,2倍。この数字を見ると誰でも穴を狙いたくなる。だから実際の予測は更に開くのだろう。因みに、オーストラリアとクロアチアでは各々への配当は、三倍と二倍ぐらいの差になる。

さて、決勝リーグへ進む最低の条件として上げられる二得点で二点差ならば41倍の配当である。三点得点とすると67倍でこれは二点差であろうと三点差であろうとも変わらない。そのときの必要条件であるオーストラリアとクロアチアの引き分けは、0:0で8,5倍1:1で7倍2:2で14倍となっている。この場合も日本がオーストラリアの総得点差と並んだ場合、総得点が比較されるので、一般予想とは言え何れにせよ他力の倍率は自力に比べると低いので気にするほどの数字ではない。

逆にクロアチアがオーストラリアに勝利した場合、一点得点ならば約七倍。二点得点ならば約10倍、三点得点ならば17倍から30倍と配当が高まる。

クロアチアが三得点で三点差勝利ならば必要条件は日本の四点得点となりありえない。二点差ならば日本は三点を取る必要が出来て対ブラジル3:0の掛け倍率は、既述の67倍である。これもあまり現実的ではないので、一点差でのクロアチアの勝利を条件としてその時の配当倍率は一得点で15倍、二得点で30倍となる。

30倍の倍率になるような大穴の可能性を整理して取り除いてしまうと、日本がブラジルに二得点二点差で勝つことが最も難しいと思われている事になる。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蹴球・男たちの恍惚感

2006-06-22 | ワールドカップ06・10・14
ドイツチームは大分良くなって来た。バラックが上手く動いて、ディフェンスも締まれば急にレヴェルが上がる。人事だけで上手く機能するのが底力だろう。

イングランド対スェーデンを観ると更に一段とレヴェルが違うようだ。ディフェンスのベッカムのロングパスと、敵陣でのドイツとしては機知に富んだお遊びを比べると本質的なプレーの違いを感じる。空転するクローゼなどは軽々しいサーカスの子供でしか無い。イングランドのお遊びには凄みがある。残念ながらオーウェンは負傷でこれで終わりかもしれないので、何時ものようにイングランドには不幸が付きまとって、先行きは厳しそうである。それでも、本物のフットボールを魅せて頂いただけでもこれ以上言うことは無い。

複雑骨折も完治しないルーニーの右足のシュート、ジェラードのヘッディング、コールの一発、ベッカムのキックなど金を稼げるプレーばかりである。

イングランドは次でトーナメントを終えても良い。最高の栄誉は既に授与された。こうしたものを観ると、イングランドのならず者のファンがフットボールに全てを賭けて暴れてしまうのも分かる気がする。まさに大日本帝国陸軍の南京事件そのものの構図が浮かび上がる。ケルンに集う英国人サポーターの男達は、コルンドームにケルッチュビーアを携えるのである。そこには最高の勇気への高揚感があり生甲斐があるのだ。クリンスマンの言う、「シュートは男の恍惚」なのである。それが本当の大人の男のフットボールなのである。シュートの出来ないフットボールなどは子供のお遊びである。

スェーデンとトリニダード・ドバゴの間では、同時に行われている対抗馬の試合を追いかけての壮絶な戦いが繰り広げられていた。F組にもこうした興奮が巻き起こるのだろうか?



ボンのライヴカメラを覗く。紹介の機会を逃すといけない。(作業中)

マルクトプラッツ小
マルクトプラッツ大
過去12時間の記録
市役所からの眺望
ポッペルスドルフ宮公園
市会議場前1
市会議場前2
ライン河の辺
ベートーヴェンの生家前
(「Ein neues Bild」をクリックでマニュアル更新)



ドルトムントからのライヴカム(更新中)

PV会場(フリーデンツプラッツ)
ヴェストファーレン・スタディオ(ボルシア・ドルトムントファンクラブ向け3Dライヴカム)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

謙遜と自尊心の無さ

2006-06-20 | ワールドカップ06・10・14
クロアチア日本

ドイツ連邦共和国皇帝は、極東の立憲君主国から迎えた高貴なご婦人を放っておいて、次なるミュンヘンへと移動してしまった。当初からの予定であったのだろうが、お暇の言葉が伝わっていなかったようである。今ワールドカップのワーストにノミネートされるであろう試合だから仕方ないのかもしれない。皇帝陛下ご本人は「後半を待つしかない」と言いながら、結局それ以降は御眼を更に汚すことは無くヘリコプターの人となった。

日本ナショナルチームはコンフェデレーションカップなどで何度もワースト試合を演じているので、こうした現象は決して珍しくは無い。能劇でもありえないほど、緩ばかりで急が無い。静的な試合運びは、実力と言うよりも国民性と言うか文化と言うか、個性のような気がする。サポーターも応援風景も同じようで面白い。少なくとも決定的な得点チャンスを綺麗に生かす事が出来ていれば評価もされるのだろうが、結果が伴わなければどうしようも無い。

日曜日は民放が放送権を持っているようで、ピエール・リトバルスキーの解説であった。日本サッカーを知っているだけに客観的な評価が難しい様で、更に奥さんの後押しがあってか日本代表チーム監督への色気を示したその横顔がちらりと覗いて、個別の感想と全体の評価が巧く繋がらないで甚だ歯切れが悪い。

クロアチア勝利が一般的な予想であった事からすると、引き分けは日本チームの実力を幾らか示したと言っても、試合としての印象はすこぶる悪い。関係各国以外の放送局にとっては流すのも無駄だった様に映ったであろう。熱心な聴視者にとっても、これほど観ていてイライラの募るスポーツ中継も珍しい。

それにしても文化的な特徴が出ると言う事では、またそれに肉体的な個性が加わる事で、やはりサッカーは面白い。ドイツ語圏での出稼ぎや半移民の多いクロアチアのチームの横顔も興味深かった。ベルリン育ちでクロアチア語の出来ない二人の倅など典型的なスラヴ系移民だが、父親の職業からドイツナショナルチームへの参加を見送って帰化をしなかったようだ。そのような背景から、またその二人の風貌と言い体つきと言い、そのベルリン訛りと言い些かアウトローな感じがする。予想したようなポーランド人やチェコ人のような崩れは無かったが、勝ちへの圧力の中で慎重になり過ぎてさらに決定的な状況で決められなかった事から、心理的な懐疑感と体力的な困憊が表れていた。

リティの解説では、なぜドイツとポーランドの試合のように最終段階で動的に責められなかったのかを疑問視していた。技術的な問題よりもドイツの教育で言う「自己認識・自尊心」が確立出来ない東欧民族の歴史とメンタリティーを示しているのだろう。同じように日本人がクロアチア人に必要以上に「謙遜」していると言うのに対応している。

横着に形振り構わずウルドュルン此処にありと自己主張する韓国や傲慢で弱いと見れば一発かませる虐めの得意なドイツなどの個性もそのものサッカーに表れている。日本対ブラジル戦の開かれるドルトムントはデゥッセルドルフに近いことであり、この際は餃子ラーメン定食で腹を膨らせてキムチでも摘んで「強い気持ち」で「醤油と糠臭い汗」で挑むのだろうか。ブラジルの小さなサッカー小僧たちとは、同じ短足韓国人が今やアフリカ人部隊のフランスチームにニンニク匂い息を吐きかけた攻撃のようにはいかないだろうけれど。人口数で大国と言っても「サッカーなどは簡単」と言うブラジル人の出来ることぐらいはたかが知れている。



参照:
侍列車-十三日付紙面 [ 生活 ] / 2006-06-16
対波蘭戦に忠誠を示すか [ 歴史・時事 ] / 2006-06-15
蹴球愛国主義と文化水準 [ 雑感 ] / 2006-06-12
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュルンベルク-東海道

2006-06-19 | ワールドカップ06・10・14
本日のニュルンベルクの気温は、最低の摂氏11度から最高の摂氏27度のかんかん照りまで急上昇しそうである。バイオウェザーによると、南からの暖かい大気が低血圧症に循環系の不調と投げやり感を齎す。気候から頭痛や偏頭痛、関節痛、落ち着かない感じに悩まされる。

同時に夏の日差しの下の快適で乾燥した天候は、人を励起させる。高まるヤル気と機嫌に、活動を鼓舞される。炎天下に長時間いたい者は、十分な日射対策が必要である。出来れば早朝や夕方が良いであろう。

勝てないイタリアの属するE組の今後は気が抜けない。そう言えばチェコを奈落の底へと追いやったガーナのキャプテンが少数派を応援する「ドイツの観衆のガーナ・ガーナに泣きそうになった」と語ってなかなかウェットな気質を示していた。

G組のフランス対韓国も楽しみであるが、本日はその前にF組の大勢が決まる。日本対クロアチア戦の行われるフランケンスタジアムは炎天下で、ドームでもなんでもないので、大層高温の条件が予想される。水分の消費量は先日のカイザースラウテルン以上であろう。

ジーコ監督は、現在欧州や南アメリカの名門クラブ監督のポストを探していると言う。差し詰め、今日のクロアチア戦などは監督にとってもどうしても成果を見せたい。手塩にかけた日本選手が想像力豊かに柔軟に対応出来るような試合をすれば自ずと結果が出て、就職活動が上手く行くに違いない。名選手が必ずしも名監督とは言われないが、本日はジーコ監督個人にとっても大変重要な試合となりそうだ。

十年以上前に東海道新幹線で乗合わせたことがあるぐらいで、氏について詳しいくはないが、ブラジル人気質を考えたり、そのサッカー哲学を見聞きすると、今日の試合はやはり見ものである。欧州型の球技は、刻々と変わる局面で戦況が一転するのが魅力である。実力の差は、そうした小さな切っ掛けを見逃さずに大勢を決めれるかにみる事が出来る。日本チームは、正確なパスとクロスを上げれる様ならば勝機もあるのではないだろうか?

独日協会がPVをマンハイムで催す。そこへ行き来するのに最終日のワイン祭りの最中車を出し入れし難いことでもあり、参加を取りやめてTV観戦しようと思う。その催しへの誘いのメールにも、本物の優勝などはとても期待出来ないけれど、少年達が参加するマンハイムのミニワールドカップではオーストラリア戦に12:5で勝利、また其々クロアチア戦では8:7、ブラジル戦では7:0と日本が勝利してF組トップとなったと祝福している。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蹴球兵法と故事来歴

2006-06-18 | ワールドカップ06・10・14
日本チームに勝ったオーストラリアチームのヒディンク監督がブラジル戦に駒を落として、クロアチア戦に最強部隊を送るとかと聞いた。流石に極東での経験からこのオランダ人は中国の故事来歴を勉強したのだろうか。強馬・中馬・弱馬の三頭を相手に合わせて選択して、強には弱を、中には強を、弱には中を当てる事で、二勝一敗の結果を得ることを目論む戦術である。

これは、相手の戦略と自分の戦力を比較してそれ相応に戦う若しくは戦わない、古今東西で最も有名な中国の孫子兵法に描かれている対戦方法でもある。


大故 不少敵倍五十故
敵小 若則則則則則用
之敵 則能能分攻圍兵
擒之 能逃戰之之之之
也堅 避之之     法
    

兵力が十倍ならば囲み、五倍ならば攻撃して、二倍ならば分断して、互角ならば上手く戦い、劣勢ならば放棄して、これを避ける。勝ち目が無いならば餌食となる。

そう考えると、策士ヒディングは、日本戦には初めから中を当てて来たとなるが、正しいのだろうか。ジーコ監督はこのような兵法を熟知しているとは思わないが、クロアチア戦ではどういった戦略を採用するのだろう。

ボンの地方紙には、態々日本からやってきたチームの不敗全勝を意味するマスコット犬のロンメルが今後とも会場には入れないとして、その神話が守られるような事を暗示している。

FAZ紙にはシュヴァインシュタイガーに削られた加地亮選手が練習を再開したことで、「技術的に優れて才能のある選手はあれほど過酷にプレーする必要が無い」と観衆が思っているのとは全然違う形になっているとしている。加地の友好試合での負傷は、最悪の反則で起きたものであると書く。ジーコがただ第一試合の思いがけない結果だけで不機嫌なのではなくて、未だに加治に陳謝していない、このFCバイエルンの選手の荒っぽいプレーの遣り口が頭に来ていると言うのだ。シュバインシュタイガーに鉄拳を一発食わして怒りを静めるチャンスが残されていると言うように、両名が準決勝で再び合いまみえるのは、嘘のような日本の活躍とドイツの偉大な活躍が前提となる事で、まあ殆ど脚色美化出来ない話だろうと纏めている。



ニュルンベルクのライヴカム

市内から(左、街中から城壁と塔を望む、右、市街地
市街地トーンのトラム
ニュルンベルク飛行場
バイエルン一高い地上140メートル高層ビルからの眺望
パノラマ

フランケンスタディオン(3D映像)
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

侍列車-十三日付紙面

2006-06-16 | ワールドカップ06・10・14
「侍列車」と題したFAZ紙の記事を紹介する。フランクフルトからマンハイムへの列車の旅が、簡素で美しい文章に、なかなか雰囲気豊かに描かれている。

フランクフルトからパリへのユーロシティーのコンパートメントを、若いフォトジェニー風に美しい日本女性二人は、他三人の日本人と占めていた。一人は明るい下地を、一人は暗い下地の青の着物を着ていた。蓮の花の縫いこまれ青白の飾り帯は、彼女らの衣装に不思議なエレガンスを与えていた。二人とも茶のきれいに高く結った髪に銀の結い止めをしていて、それは蓮の花のパターンのアクセサリーに飾られていた。

可憐な手提げ袋には小さな扇子が挟まれている。この若い女性たちがパリサロンに輝きを与えたとしても、少しも不思議ではない。しかし彼女たちは、同行のだらしないブルーのTシャツや明るいショーツに身を包む男たちとなにも変わらず、フランスへ行くつもりなどは毛頭無いのである。

ガイドブック「決定版ワールドカップジャーマニー2006年」のカイザースラウテルンの項を一生懸命勉強していた。日本サッカー小僧の心をときめかして、草木もカイザースラウテルンへと靡いたのであった。午後の早い時間に対オーストラリア戦があったのだ。ユーロシティーはこうして、殆ど日本人たちの手に落ちて、立錐の余地無く詰め込まれた。-どこもかしこもブルーである。

しかしそれだからといってアルコールに酔うわけでもタバコの煙に包まれるわけでもない。ここを占領するのは日本ナショナルチームのトリコロールのブルーなのである。「どうして、ブルーなの?」と、二人の内の一人の女性に訊いてみた。彼女は分からなくて、その質問を通訳して更に渡した。すると中の一人の男性が理由を知っていた。

二十年以上前に 島 のサッカー関係者は、日の丸の赤ではなしに、水と海の色である青に決定したんですよ。そしてこの勇気を示す青色を、侍ブルーとすると誇りに満ちて呼んだ。列車は完璧にそして最高に洗練されたアナーキーに包まれていた。熱に浮かされる事も騒ぎも全く無く。

一等席と二等席の秩序の差異は、日本人の礼儀によってフランクフルトで乗車するや否や直ぐに保たれた。マンハイムで列車は停車すると多くのビジネスマンが乗り込んで来た。その彼らが自分の予約した席を日本のゲストたちのために先ずは譲って措いた各々の心に、ワールドカップの始まりの日々の素晴らしい独特の雰囲気があった。小言も言わずに彼らは、通路に気丈に立っていた。

言わずもがな、検札はカイザースラウテルンまでは無かった。女車掌さんが通り抜けるのは全く不可能だったに違いない。ただスピーカーを通じて、私たちに良い旅をと呼びかけていた。

記事署名 hie.


注:最近でも欧州横断の列車にはコンパートメント車両があるらしい。それらの席は、予約される都度、其々紙で区間などが記されているが、旅行者には判らないことが多い。フランクフルトからパリへの路線はマンハイム経由となる。マンハイムからパリ方向へ一駅でカイザースラウテルンへと到着する。


今日の一言:
ポーランドはそれにしても貧弱でどうしようもない。お馴染みの助っ人パートタイマー・オリヴェル・ヌヴェルの一点。ドイツチームの有利になるように室内は摂氏22度の快適温度に調整されていた。33度以上の炎天下の他の試合とは大違いである。主催国は勝ち抜いて当然なのだろう。

6月12日にヴィーンで死去した作曲家ジョルジュ・リゲッティについての記事は改めて書きたい。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

対波蘭戦に忠誠を示すか

2006-06-15 | ワールドカップ06・10・14
ドイツチームはポーランド戦である。得点頭のミロスラフ・クローゼがドイツのために忠誠を尽くすか、さもなくばポーランドのために裏切るか、終日TVの話題であった。

オペル・カイザースラウテルン工場の外国人労働者の息子として北プファルツのクーゼルで育った、FCカイザースラウテルンで頭角を顕したドイツ有数の得点王であるが、同じような境遇の奥さんと家庭ではポーランド語で喋り、同僚のルカス・ポドルスキらともフィールド上でポーランド語でも喋る。

多くの同じような境遇にある典型的なドイツの一流運動選手である。ドイツで育っているだけ、他の多くのオリンピック選手のような緊急特例移民ではないが、ドイツ移民の実情を良く物語っている。それどころか最近は、プログラマーを中心とした知的労働者のグリーンカード制度も出来ている。嘗てのトルコ人労働者を含めて、手っ取り早く使えるものを使うドイツ連邦共和国は、決して移民国ではないが、これが実情なのである。

こうした視点を示し広く社会に問う事は大切である。ドイツでドイツ人として出生する限り、姓はその氏素性を顕すものとして伝えられるが、名はドイツ風の名前を付ける事が要求される。例えば金髪碧眼のポーランド人との同一化を進めたのがナチスの政策であったことを考えれば、統一化は人種主義を防ぐ重要な政策である。統一化と同一化とは似ても非なる政策なのである。

ミロスラフ・クローゼがドイツを裏切るとは誰も思わない。むしろポーランドがこうした素材を多数輸出しながらもワールドカップに参加している方が脅威である。そしてフィールド上で通じる言語がドイツ語以外に多くの母国言語集団があるのが事実なのであり、その差異を強調する事が必要なのである。

ブラジルとクロアチアの試合を見て分かるのが、クロアチアは欧州の強いチームであって、豪州程度の技術レヴェルのチームには負けないであろう事である。FIFAの世界ランキングでは欧州同士の対戦成績の偏差が加味されていないから、そのランキングは実力を映し出さないと言われる。母体集団が違うのである。同様に日本はこのレベルに至るには何代かの世代交代が必要と言うが、それでも世界有数の短足の民族的身体特徴が変わるわけではない。

こうした認識は、あくまでも集団母体の中での比率を言う特徴を示す把握でしかない。しかしこうした評価に対して人種主義と批判する者ほど、少数集団間の差異を認めずに民族を抱合しようと試みる民族主義者であることが多い。特に旧植民地統治の位牌をこうした同一化で塗りつぶそうとする政策は悪しき民族主義である。

現代の民族主義と言えば中華思想を思い出す。ニュースは大きく伝えている。揚子江ダムの補償問題に異議を唱えた中華人が裁判闘争の末、ドイツ第一放送のインタヴューに答え、裏切り者としてリンチを受けて重態にある。中共政府は、政府を相手取った法的社会闘争を認知していると言うが、中華人民は裏切り者を放って置かない。共産党役員の不正を隠匿するためにありとあらゆる手が打たれる。ベルリン政府が関心を強めており人権問題として新たな火種となっている。

少集団を大集団の中に同一化して不純な色を混ぜて塗りつぶしてしまう水準化はいけない。隔離政策とは一線を隔す統一化こそが重要なのである。世界一高いと言われるIQ値を誇る上海市民は、低いと言われるアフリカ人を人種差別しており、彼らをたんに怠け者の安い労働力と見做している。

能力の差異や小集団を尊重しない同一化こそが大問題なのである。これを人種主義的民族主義と言う。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする