田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ルナと妻のふたりサッカー。 麻屋与志夫

2020-07-03 21:23:50 | ブログ
7月3日 金曜日

●妻がパンとどんぐりをはじく。指先ではじかれたどんぐりはカラカラと音をたてて廊下をころがっていく。まちかまえていたルナが前足できれいにはじきかえしてくる。梅雨の夕暮れ薄暗い廊下でふたりサッカーのはじまりだ。

●この季節になると昨年「せせらぎ公園」でひろってきたどんぐりは、なかの核が乾いてちいさくなる。転がすとかわいらしい音をたてる。

●「さあ、ルナちゃん。ここサッカー場よ。外に出て遊べないのだから、ここをピッチと思って。広々とした野原だとおもって。さあ、いくわよ」
 妻のかけごえとともに、はじまったふたりサッカーはいつまでもつづいている。

●そとは小ぬか雨。紫陽花。うなだれた薔薇の花々。クチナシの花の匂いがまだ部屋にはただよっている。

●梅雨の日の小景。



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