田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

洋子の誘拐 5 奥様はバンパイア 麻屋与志夫

2009-08-22 07:00:34 | Weblog
奥様はバンパイァ 33

○玲加と武。

クラスメートが言い争っている。

洋子の家族はこの事態をどう把握しているのだ。

わたしは疑念を抱いた。

武をみているとさほど凶悪にはみえない。

ぼんやりと黄色い裸電球のもとで玲加と友だちの噂でもしているような態度だ。

獣化変身する人狼とは想像もつかない。

○「洋子は妖狐だということを、いとしの玲加ちゃんはしらないのかな」

「なに言葉遊びしているのよ。洋子をかえして」

○カミサンが鼻をひくひくさせている。

彼女には人には嗅ぎ取れないような匂いでも感じられる。

なにか感知したのだ。

薄暗い部屋の隅に走る。



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洋子の誘拐 4/奥様はバンパイア 麻屋与志夫

2009-08-14 21:27:50 | Weblog
奥様はバンパイア 32

「武、どうして洋子にこだわるのよ。彼女を誘拐してどんなメリットがあるという

の」

玲加の全身が怒りに震えた。

顔が紅潮しているのがわかる。

ボウっと火照っている。

「だからいってるだろう」

武がたのしそうに顔をほころばせている。

「九尾族の娘なら、おれたちの子どもを産めるんだよね。なんだったらあんただっ

ていいよ。見園玲加」

「だれが、あんたと……」

こんどこそ、玲加がマジギレ。

武におそいかかった。

「オオコワイ」

武が後ろに逃げる。

「玲加。やめなさい」

     イエローシンプリティ
       
       pictures by 「猫と亭主とわたし



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洋子の危機3/奥様はバンパイア 麻屋与志夫

2009-08-13 05:20:05 | Weblog
奥様はバンパイァ 31

○どうしてわかったのだ。

わたしは部屋から流れる害意を感じられなかった。

洋子が床に倒れているビジョンを見られたので自己陶酔にひたっていた。

おれにもおくればせながら能力が現れた。

そんなことを不遜にも思っていたのだ。

あぶなかった。

カミサンの警告がなかったらボウガンの餌食になっていた。

矢のはなつ光とビュという音に怯えた。

玲加とカミサンが部屋にとびこんだ。

○ぼんやりと薄汚れた裸電球の光のなかに人狼がいた。

「今晩は……」犬飼武がニャニャ笑いながら立っていた。

「洋子はどこ? なぜなの。なぜ、クラスメートばかり襲うのよ」

「なぜなの? わたしも聞きたいわ。教えてくださる」

「人間と生活していると勘が鈍るのかな。洋子はあんたら九尾族につながる家系の

ものだ」

「吸美族とよんでもらいたいわね」

「なにをそんな言葉遊びにこだわるのですか、オバサマ」

「あら、ババアと呼ぶのはやめてくれたのね」

部屋には武だけがいた。

でもたしかにこの部屋に洋子の気配があったのだ。

     シャリファ・アスマ
       

       pictures by 「猫と亭主とわたし



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