goo blog サービス終了のお知らせ 

田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夕日の中の理沙子 2  麻屋与志夫

2008-11-24 02:21:05 | Weblog
六本木にでもあるようなシャレタ店。
銀色にコウテングされたアルミ建材とガラスの壁面だけでできている。  
イナカ街に住むわたしたち女子生徒をときめかせてくれる。
マジで東京いる気分にしてくれる。
……というのだ。
せんぱいがいっていた言葉だ。
テニス部のセンパイが「デートにはサイコウヨ」。
と話していたのをきいたこともある。
まさか、わたしがそこへいそいでいるとは……ね。
ソラリスをコウジが指定してくるとはね。
二階のはじめての席。
客はコウジのほかには――。男のひとがひとりだけだった。
そのひと、隅のほうに座っていた。
コーヒーをのみながら、なにかノートに書いていた。
ノートの上をはしるエンピツの音だけがかすかにしていた。
学校のセンセイ?
それともプレスのひとかな。 
ノートから顔をあげた。
わたしは、まともに見つめられてしまった。
ほかの中学の先生だったら、どうしょう。
なにかいわれそう。
ヤバーイかんじ。 
ほかの席はがらあき。  
わたしはまたせてしまったコウジにかわゅく手をふった。
「ごめん、待たせたちゃった」
夕日のさす窓際の席。
「Hi、コウジ。おまたせ」
コウジの返事がもどってこない。
オダーをとりにきたウエトレスにレモネイドをたのんだ。
コウジも斜陽をみていた。
「あのひと、先生じゃないわよね」   
わたしは、隅にいる男のひとを気にしながらはなしだす。
まだすこし息切れがする。 
いつも、おかたい、定番どおりの、はなしばかりしている。
どうして、テレビドラマのような、気のきいたセリフがでないのかしら。
「高校生とサテンにはいったのをみつかると職員室によばれるのよ。だからぁ、あのひと先生かなぁなんて、気にしちゃうのよね」
「ひとの視線なんか、気にするなょ」
「なんたって、いま日本でいちばん、マスコミの注目をあびている、神沼は東中学校! の生徒なんだから」
気にしちゃうのよね。
とつづけようとしたが。
コウジがあまりに真剣な顔しちゃっているので。
やめた。 
テストを廃止してしまった中学。
「そして、わたしはその中学の、これから卒業しようとしている生徒。高校受験を目前にした受験生なのよ」
ちがう。
こんなことを話すために走ってきたわけではない。
はやく、ラブラブモードにきりかえなければ。
とあせればあせるほど……話がそれていく。               
わたしは、コウジのことばを恐れていた。

会うたびに、不安がつのる。  

別れの予感がひたひたとわたしのこころにうちよせる。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。