田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

直人のパソコンの秘密(6)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-04-27 04:45:49 | Weblog
6

地面をのたくっている。

くねくねとうねる木の根が映っていた。

大蛇のうねりだった。

まるで生きているようだった。

いや。

まさに。

生きて、地表をはっている。

迫ってくる。
そして。
その――。
木の根が――。
直人の足に絡みつく。

ぐいとひく。
生きた鞭のようだ。

「直人」と絶叫する美智子の声が録音されていた。
ブラックアウト。

ただそれだけだった。
それだけ……。
というには、驚きの事実だった。
あまりにも……酷い、真実だった。
隼人は事故の実体を知った。
直人は殺されていた。
敵に襲われた。
抹殺された。

敵には、樹木を味方につけ、自由に操る技がある。
画面からは、血の臭いがしていた。
クラッシュした直人のイメージが浮かぶ。
PCかに読みとれた真実。
驚愕のあまり脳の血管がさけそうだった。
怒りのためアドレナリンがフルに分泌している。
隼人は美智子のように、絶叫したかった。
胸の鼓動を治めるために。
隼人は部屋を眺めた。
壁にはおびただしい数の写真が張ってあった。
壁いっぱいの写真。
美智子を写したものだった。
直人の美智子への想いが伝わってきた。

直人の美智子への愛の深さが壁の写真にはこめられていた。

携帯が音をたてている。
着メロは「オンリーユー」

「やあ、隼人君。
キリコの兄の黒髪秀行だ。
内閣府直属の特殊犯罪捜査室の麻薬捜査官だ。
榊捜査官のパソコンが起動したってことは。
いまきみが直人の部屋にいるってことだ。
きみがあらわれるのを3年まった。
敵はズバリ言う。
鬼神一族だ。
かれらの一部は山を降りて社会の中枢にくいこんでいる。
あいかわらずあくどいことをやっている。
人の生き血を吸うようなことをやっている。
それは昔とかわらん。
われらの敵だ。
そして麻薬がらみだ。
なぜ直人があれほど霧降の滝にこだわったのか探ってくれ。
お互いに協力し探索しよう。
そのあたりから捜査の網を広げてくれ。
霊体装甲はいつも身につけているように」


 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村

最新の画像もっと見る

コメントを投稿