作者からのお詫び。
まちがいました。ごめんなさい。
12と13節を入れ違いました。
この12節をアップするのが、あとになってしまいました。
12
「わが主。わが主は、今朝はお疲れのようです。夜の間なにかあったのですか。なにか起きたのですか。もっと精のつくようにいくらでも新鮮な若い血をさしあげます。燔祭の焼き肉でも捧げましょうか。主。わが主、声を聞かせてください」
職員室の方角に逃げるもの。
校庭に向かうもの。
廊下をただ走っているだけのもの。
満足しきった声を張り上げている。
我田先生は楽しんでいる。
だれに、聞かせているのだ。
だれに、話しかけているの。
生徒たちは夢中で逃げながら、不思議に思った。
だれと話しているのだ。
だが、確かめてはいられない。
そんなことを!!
確かめようと立ち止まったら。
殺してくださいというようなものだ。
切り裂かれ!!
ピンクの肉を見せている被害者たちを。
のたうちまわって痙攣し苦鳴をあげているものたちを。
血だまりを……。
先生は見つめている。
ニタニタ笑いながら――。
楽しそうに――。
じっと――。
見つめながら――。
ボソボソつぶやいている。
富子は保健室にのこっていた。
親友の秀子の身を案じていた。
それに恐怖から立ち上がれでいる。
金縛りにあったように。
体が竦んで動けないのだ。
秀子の運命がわかった。
殺されていた。
カッターナイフの薄く鋭い刃で刻まれている。
こんどは、富子だ。
襲ってくる我田先生をさけようと富子は前に手をつきだした。
フロントのワイパーのように両手を扇形型に動かす。
「あら富子ちゃん。秀子みたいにきざまれたいのね。いい子だわ。なかよしでしたものね。秀子と天国へいったら。あらまちがえたわ。あんたらのいくとこは地獄だよ」
「アッチヘイッテ」
「あらどうしてかしら」
「コナイデ、コナイデ」
「富子ちゃんのすきな我田センセイですよ。どこから刻んであげましょうかね。どこからでもいいですよ。はっきりこたえてくださいな」
いつもとちがう。
優しすぎる声。
目は白目だ。
眼球が反転している。
白い目が床を見ている。
瞳のない白い目が床を見ている。
ときどき真っ赤に光る、白い目が生徒たちの動きを追う。
血を見たい。
血の臭いをかぎたい。
血を主が飲みたがっている。
血がほしい。
切り裂きたい。
やわらかな瑞々しいこどもたちの肉を。
殺したい。
断末魔の叫びをききたい。
血が見たい。
飲みたい。
ドクンドクンと血を飲みたいと、主がいっているの……。
我田先生のまわりにブルーのフレイヤーが揺らいでいた。
だれか他の人がいるみたしいだ。
フレイヤーに縁取られた先生が狼みたいに見える。
わたしは狼に襲われる赤ズキンちゃん。
もう助からない。
現実にはいない狼を想像したことで、恐怖はさらに強くなった。
後にすさる。
ベットの縁に背中がつきあたった。
もうこれ以上後ろにさがれない。
ダメだぁ。
なにかが手にふれた。
冷たい手。
秀子なの?
富子は股のあいだが濡れている。
オシッコをもらしたのだ。
オシッコをもらした。
秀子の手をひいた。
秀子の運命がわかった。
殺されていた。
カッターナイフの薄く鋭い刃で刻まれている。
青い血のけを失った顔がベッドのしたからのぞいていた。
青白い、死んだ顔。
頸椎だけを残してほとんど円を描くように切り裂かれた首。
恐怖のために、顔はゆがんでいた。
痛みのために顔はひきつり泣いていた。
顔が涙でくしゃくしゃだ。
こんな顔で死ぬなんてヤダァー。
こんどこそ富子は絶叫していた。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
皆さんの応援でがんばっています。
にほんブログ村
まちがいました。ごめんなさい。
12と13節を入れ違いました。
この12節をアップするのが、あとになってしまいました。
12
「わが主。わが主は、今朝はお疲れのようです。夜の間なにかあったのですか。なにか起きたのですか。もっと精のつくようにいくらでも新鮮な若い血をさしあげます。燔祭の焼き肉でも捧げましょうか。主。わが主、声を聞かせてください」
職員室の方角に逃げるもの。
校庭に向かうもの。
廊下をただ走っているだけのもの。
満足しきった声を張り上げている。
我田先生は楽しんでいる。
だれに、聞かせているのだ。
だれに、話しかけているの。
生徒たちは夢中で逃げながら、不思議に思った。
だれと話しているのだ。
だが、確かめてはいられない。
そんなことを!!
確かめようと立ち止まったら。
殺してくださいというようなものだ。
切り裂かれ!!
ピンクの肉を見せている被害者たちを。
のたうちまわって痙攣し苦鳴をあげているものたちを。
血だまりを……。
先生は見つめている。
ニタニタ笑いながら――。
楽しそうに――。
じっと――。
見つめながら――。
ボソボソつぶやいている。
富子は保健室にのこっていた。
親友の秀子の身を案じていた。
それに恐怖から立ち上がれでいる。
金縛りにあったように。
体が竦んで動けないのだ。
秀子の運命がわかった。
殺されていた。
カッターナイフの薄く鋭い刃で刻まれている。
こんどは、富子だ。
襲ってくる我田先生をさけようと富子は前に手をつきだした。
フロントのワイパーのように両手を扇形型に動かす。
「あら富子ちゃん。秀子みたいにきざまれたいのね。いい子だわ。なかよしでしたものね。秀子と天国へいったら。あらまちがえたわ。あんたらのいくとこは地獄だよ」
「アッチヘイッテ」
「あらどうしてかしら」
「コナイデ、コナイデ」
「富子ちゃんのすきな我田センセイですよ。どこから刻んであげましょうかね。どこからでもいいですよ。はっきりこたえてくださいな」
いつもとちがう。
優しすぎる声。
目は白目だ。
眼球が反転している。
白い目が床を見ている。
瞳のない白い目が床を見ている。
ときどき真っ赤に光る、白い目が生徒たちの動きを追う。
血を見たい。
血の臭いをかぎたい。
血を主が飲みたがっている。
血がほしい。
切り裂きたい。
やわらかな瑞々しいこどもたちの肉を。
殺したい。
断末魔の叫びをききたい。
血が見たい。
飲みたい。
ドクンドクンと血を飲みたいと、主がいっているの……。
我田先生のまわりにブルーのフレイヤーが揺らいでいた。
だれか他の人がいるみたしいだ。
フレイヤーに縁取られた先生が狼みたいに見える。
わたしは狼に襲われる赤ズキンちゃん。
もう助からない。
現実にはいない狼を想像したことで、恐怖はさらに強くなった。
後にすさる。
ベットの縁に背中がつきあたった。
もうこれ以上後ろにさがれない。
ダメだぁ。
なにかが手にふれた。
冷たい手。
秀子なの?
富子は股のあいだが濡れている。
オシッコをもらしたのだ。
オシッコをもらした。
秀子の手をひいた。
秀子の運命がわかった。
殺されていた。
カッターナイフの薄く鋭い刃で刻まれている。
青い血のけを失った顔がベッドのしたからのぞいていた。
青白い、死んだ顔。
頸椎だけを残してほとんど円を描くように切り裂かれた首。
恐怖のために、顔はゆがんでいた。
痛みのために顔はひきつり泣いていた。
顔が涙でくしゃくしゃだ。
こんな顔で死ぬなんてヤダァー。
こんどこそ富子は絶叫していた。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
皆さんの応援でがんばっています。
にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます