田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

散歩

2007-08-27 19:09:59 | Weblog
8月26日 日曜日 晴れ
●朝夕いくぶん涼しくなった。JRの駅まで歩いた。いつもの、街角をなにげなく通りすぎてしまった。カミサンと話がはずみその家の前を見過ごしてしまった。ぱんぱんぱんと拍手がする。いつもの老人が家の入り口にかがんでいた。「元気だね」わたしはおおきく手をふってこちら側の歩道から挨拶をかえした。いつのころから、老人に挨拶をするようになったのだろうか。必ず、ほとんど離れずに歩いているわたしたちはこの町ではちょっとした有名人だ。カミサンが一人だけで買い物にでも出かけると「きょうはだんなさんは」ときかれるらしい。

●もう50年も夫婦で連れだって歩いてきた。そのわたしたちに老人が拍手をおくってくれる。たぶん、顔見知りだったのだ。向こうではわたしたちのことをよく知っているのだ。

●K川にかかったF橋のほとりにマンションが建設されている。町は区画整理でここ数年でさまがわりしてしまった。ふるびた日本家屋はほとんどこわされてしまった。マンション暮らしをするのだったらなにも田舎町に住むことはない。と思うのはわたしだけらしい。マンションブームだ。すぐに完売になるのだから驚きだ。町には昔を忍ばせる風情がなくなってしまった。

●もちろん夫婦連れで散歩しているひとをほとんど見かけない。だいいち、町を歩いているひとがいないのだ。なにか町がおかしくなっているように感じられる。田舎住まいを楽しんでいるわたしとしたらそれではさびしいのだ。

●「元気だね」わたしは万感の思いを込めて老人に挨拶する。いつまでも元気でいてください。いつまでもかわらないで、元気でね。それはわたしたち自身への励ましの挨拶でもある。


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