10月4日 火曜日
隕石と思えば榠櫨の落下音
トタン打つ音はカリンか隕石か
トタン打つカリンの落下待ちにけり
寂し夜を破るはカリンの落下音
落ち榠櫨うち重なりて軒の脇
花梨の実うち重なりて腐りいく
カリンのみ父の拳固の硬さかな
カリンの実放つは臭気いや芳香
榠櫨の実芳香と言えし茶人あり
カリンの木実のみ残して葉は落ちて
葉は落ちて実のみ残してカリンの木
烏さえつつかぬ榠櫨の硬さかな
落日に一つ残りしカリン映え
枝たわむ重き榠櫨に耐えきれず
カリンすり水あめと混ぜ咳薬
摺りおろすカリンのにおい喉のしみ
カリン摺る皺ありし手に残り日が
皺ありしカリン摺る手に夕日映え
●のど飴を舐めようとして、ふと、効能をみた。カリンエキス配合とある。
瞬間。閃いた。母が夕暮れ時の縁側で硬いカリンの実をすりおろしていた。
あの頃の母の倍も、お陰でわたしは生きている。すりおろしたカリンに水あめを混ぜてくれた。おいかった。冬にるとお湯をそそぎ飲ませてくれた。一病息災。あまり気にしないほうがいいよ。母のやさしい言葉までも蘇った。いまは、老木は切り株となって庭の隅にある。
ああ、これは俳句というより短編小説の世界だ。いまだに優しいムードのある傑作の描かけないわたしを母が励ましてくれている。
麻屋与志夫の小説は下記のカクヨムのサイトで読むことができます。どうぞご訪問ください。
ブログで未完の作品は、カクヨムサイトで完成しています。
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トタン打つ音はカリンか隕石か
トタン打つカリンの落下待ちにけり
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落ち榠櫨うち重なりて軒の脇
花梨の実うち重なりて腐りいく
カリンのみ父の拳固の硬さかな
カリンの実放つは臭気いや芳香
榠櫨の実芳香と言えし茶人あり
カリンの木実のみ残して葉は落ちて
葉は落ちて実のみ残してカリンの木
烏さえつつかぬ榠櫨の硬さかな
落日に一つ残りしカリン映え
枝たわむ重き榠櫨に耐えきれず
カリンすり水あめと混ぜ咳薬
摺りおろすカリンのにおい喉のしみ
カリン摺る皺ありし手に残り日が
皺ありしカリン摺る手に夕日映え
●のど飴を舐めようとして、ふと、効能をみた。カリンエキス配合とある。
瞬間。閃いた。母が夕暮れ時の縁側で硬いカリンの実をすりおろしていた。
あの頃の母の倍も、お陰でわたしは生きている。すりおろしたカリンに水あめを混ぜてくれた。おいかった。冬にるとお湯をそそぎ飲ませてくれた。一病息災。あまり気にしないほうがいいよ。母のやさしい言葉までも蘇った。いまは、老木は切り株となって庭の隅にある。
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