田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

古戦場/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-09-03 15:45:01 | Weblog
奥様はバンパイァ 44

○Mの叫びに刺激されたのか。

部屋の隅に飛ばされていた作業着の男たちの顔に銀毛が生えてきた。

もみあげが毛深いというていどの発毛だが、毛はまさに、狼の剛毛だ。

そして見よ。銀色に光っている。

男たちは這いつくばったままこちらに迫ってくる。

起きあがって二足歩行するのが億劫だ。

このままのほうが動きやすい。

そんな動きで近寄ってくる。

作業着のままだから、不気味だ。

○「正体をあらわしたわね。玲加!! 油断しないで」

「くるな。くればオババを撃つぞ」

わたしはMと玲加をかばって前にでた。

拳銃をかまえた。

銀の弾丸で消滅した仲間の情報は徹底いるらしい。

それとも銀の臭いを嗅ぎとったのか。

狼面に獣化したものたちはじりじりと後ずさりする。

玲加が洋子にかけよる。

オババがそうはさせじと玲加を遮る。

Mがオババに両手から気を浴びせる。

オババの体が壁までふきとばされた。

壁に激突して、バンとはねあがる。

床にたたきつけられた。

とはいかなかった。

虚空でトンボを切り床におりたった。

「やるわね。……やるねぇ」とオババ背を伸ばす。ゆっくりと首を一回転してい

る。

このふたりはわたしなどの知らない昔から魂が争ってきているのだ。

コンクリートのうちっぱなしの天井や壁面に影が揺らいでいる。

古戦場の狼と狐の戦いが入り乱れて映像化されている。

九尾族の怨念が広い空間に渦巻いている。

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