ねこ庭の独り言

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「日航機墜落事故」・『女性自身』の記事 - 2

2024-08-05 18:09:53 | 徒然の記

 私たちが知らなかった「日航機墜落事故」の裁判の流れが分かりますので、今回は、同社の記事 ( 令和6年5月24日 ) の紹介がメインとなります。

 裁判を争っていたのは原告・吉備素子さん(81)で、この方は夫・雅男さん(享年45)を同事故で失っています。今年の5月23日午後に最高裁判所の判決が出た後、東京で行われた記者会見で次のように述べています。

  「最高裁の結果は、とても残念な形になってしまいました。しかし、夫を失った39年前には、このように真実を追求するために裁判できるなどと思ってもみませんでした。」

  「上告棄却となりましたが、これではあきらめきれません。なぜ、あのような事故が起きて、なぜ、夫を含む520人もの尊い命が犠牲になったのか、その事故原因を、これからも追究していきたいと思います。」

 これ以後が、裁判の経過を説明する同社の記事です。

  ・1985 ( 昭和60 ) 年8月12日18時56分に、群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落した羽田発大阪行き(ボーイング747)には、乗員・乗客524人が搭乗していたが、生存者はわずか4人。

  ・犠牲者520人という単独機世界最大の大惨事にもかかわらず、発生から36年間、日本では一度も裁判が行われてこなかった。

  ・そんななか吉備さんは2021 ( 令和3 ) 年3月、日航に対して民事訴訟を東京地裁に起こしたが、同年 10月13日に地裁は請求を棄却。

  ・その一審判決を不服として控訴するも、2023 ( 令和5 ) 年6月1日に棄却。

  ・その控訴審判決を不服として、上告および上告受理申立を行っていたのだが、最高裁は今年2024 ( 令和6 ) 3月28日付で上告棄却および上告受理申立の不受理を決定した。

  「これによって、本件訴訟は終結しました。『なぜ夫がこの事故で命を失わなければならなかったのか、納得できる原因を追究したい』という吉備さんの望みに、司法が応えることはありませんでした。」

  ・代理人の三宅弘弁護士は、苦渋の表情でそう語った。

 同社の記事は二審の高等裁判所の説明を1行で報じていますが、産経新聞のネット記事が次のように詳しく報じていました。

 〈「産経 NET」  

   ・日航機墜落記録開示認めず 乗客遺族、再び敗訴

 東京地方裁判所の判決が出て、その後2年かけて東京高等裁判所が控訴を棄却しています。産経の記事は、裁判長の名前まで明記しています。 

 ここからまた、『女性自身』の記事へ戻ります。

  ・同事故は発生直後から、日航による事故原因の説明はなく、運輸省(当時)事故調査委員会による’87年の事故調査報告書で《ボーイング社の修理ミスが原因で後部圧力隔壁が破壊、急減圧が発生し、垂直尾翼が吹き飛ばされたことが原因》とされ、以後の調査は打ち切られていた。

  ・他の遺族も含めて何度も訴訟が準備されたが、刑事事件としての告訴は不起訴処分に終わり、32件あった損害賠償請求はすべて和解となり、真相究明から遠ざかるばかりだった。

 同社の説明から、「日航機墜落事故」に関しては吉備さんだけでなく、多くの関係者が訴訟を起こしていたことが読み取れます。

 裁判は大きく民事裁判と刑事裁判に分かれ、損害賠償が争われるのは民事裁判ですから、32件あったとされる裁判は「民事裁判」ということになります。刑事事件としての告訴は不起訴処分に終わったと説明されていますから、双方合わせるとかなり多くの裁判が起こされていたことが伺えます。

 32件の民事裁判は和解になったと説明されていますが、他のネット記事を読みますと、実情は裁判官による強い和解勧告の結果となっていて、最高裁まで行った吉備さんのケースが特殊例だったことが分かりました。

 一つの飛行機事故に対して、分かっているだけでも32の裁判が起こされ、刑事裁判は全て不起訴という説明ですから、事故原因だけでなく、裁判そのものも異常な状況になっています。

 『女性自身』の記事は、レアーケースとなった吉備さんの裁判に焦点を当てていますので、次回も息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々へ紹介いたします。

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