今回も、『女性自身』の記事の続きを紹介します。
・しかし事故調査報告書には「付録」があり、それが2013 ( 平成25 ) 年に国土交通省ホームページで公開されていたことが、後にわかった。
・その116ページには、事故機の垂直尾翼の部分に「異常外力の着力点」として黒丸がマークされており、報告書で結論された原因「圧力隔壁の破壊」に対して疑問が広がったのだ。
・吉備さんは憤りを隠さない。
「日航や国の対応は当初から辻褄が合わず、おかしな点ばかり。国も日航も、何か隠している気がして、疑問を持ち続けていました。」
「真相を追究するためには、日航が保管しているボイスレコーダー、フライトレコーダーの音声を聞くしかない。」
・股関節に持病があり、車椅子が必要なほどの吉備さんが、齢80にして立ち上がった裁判だったが、2023 ( 令和5 ) 年の控訴審判決の棄却理由を要約すると、
(1)ボイスレコーダー等の内容は、事故調査報告書に添付され公開されているため、開示の必要はない。(編集部註=同報告書で公開されたのはボイスレコーダーの全部分ではなく、抜粋と思われる書き起こしのみで、音声はなし)
(2)かつて吉備さんと日航等とのあいだで成立した和解(前述)は、同事故についてのすべての請求権を消滅させるものだから、ボイスレコーダーの請求権もない
・そして今回、最高裁で上告棄却と上告受理申立の不受理が決定したのである。
・異常外力着力点(前述)に加えて、上野小学校の児童の文集など新証拠が続々見つかり、報告書の矛盾が多く出てきています。
・それなのに、裁判では『報告書に書いてあるからボイスレコーダーの開示は不要』とされてきたのです。
裁判の内容を『女性自身』が詳しく説明していますが、他社がしていないので、勇気のある記事と思えてきました。三流ゴシップ週刊誌と、「ねこ庭」が認識を改めた記事です。
・そもそも「異常外力着力点」という表記が注目されたのは、報告書の付録の存在を指摘した青山透子著『日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす』( 河出書房新社 )が出版された2020年以後であり、吉備さんたちが請求権を放棄したとされる「和解」は、20年以上も前に結ばれていたものである。
・最近になって新しい証拠が、しかも報告書から出てきたわけで、本来、報告書は再検証されてしかるべきなのだが、裁判所は新しい証拠より20年も前に結ばれた取り決めを優先させたということになろう。
・しかしいま、吉備さんは、気丈に前を向こうとしている。
「今月6日に転倒してしまい、主治医から『2週間の安静』と言われていたんです。でも『今日はなんとしても』と起き上がって、みなさまへの報告に上京しました。」
「天国の夫には、今日の時点では『残念な形でした』と報告するしかありません。」
「なんだか、夫に頭をコツンとされたような気もするんですが、できるだけのことを、これからも頑張りたいと思います。そのとき初めて『もういいよ』と言ってくれる気がして・・・」
吉備さんの話はまだ続きますが、大切な部分なのでスペースを十分に取り、次回に紹介いたします。