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文明の衝突 - 10 ( 中国発展の源泉は儒教 ? )

2019-10-21 07:30:34 | 徒然の記
 氏の言うアジアを代表する二国は、日本と中国ですが、本日は中国に関する説明を紹介します。
 
 「共産主義が経済の発展をもたらさず、日本やそれに続く他のアジア諸国で、資本主義が成功したことにより、」「1970 ( 昭和45 ) 年代末になると、中国の指導部は、」「ソビエト・モデルから離れていった。」
 
 「10年後のソ連崩壊は、ソ連から移入されたものが機能しないことを、」「さらに明確に物語った。」「中国は、西欧化に向かうべきか、自国の伝統に回帰すべきかという、選択の岐路に立たされたのである。」
 
 「指導部は、かっての " 体用 " を、」「現代風にアレンジすることに、決めた。」「資本主義を実践しつつ、世界経済と関わる一方、」「他方で、政治的な独裁主義を維持し、マルクス主義に基づく革命の大儀にかえ、」「経済発展の実益をもたらすことにより、政権を正当化し、」「中国文化の伝統を固守するという、選択であった。」
 
 「伝統回帰の動きの中で、民主主義は、レーニン主義と同様に信頼を失い、」「外国から押しつけられたものの一つに、すぎなくなった。」「かって中国の知識人たちは、儒教が中国の後進性の元凶であると、考えた。」
 
 「20世紀末、中国の政治指導者たちは、」「儒教こそが、中国発展の源泉であると、見なしている。」「シンガポールのリー・クワン・ユーも、台湾の李登輝総統も、」「普遍的な中国文化に、統治権の正統性を求めようとしているところは、同じだ。」
 
 マスコミの報道を見ている限りでは、このような中国は、あまり伝わってきませんでした。シンガポールや台湾までが、儒教への回帰をしているとは、初耳です。そういえば、近年の中国は世界の各地に孔子学院を建て、国外の中国人たちを学ばせていますし、他国の大学にも儒教の講座を開かせています。理由はここにあったのかと、理解しました。
 
 「東アジアの成功は、個人主義でなく、」「集団主義に重きを置く、アジア文化の成果という側面が強い。」・・・氏はこう述べたのち、二人の人物の意見を紹介します。
 
 1. シンガポールのリー・クワン・ユー首相
  日本、韓国、台湾、香港シンガポールなどの、東アジアが持つ共同体的価値観と習慣は、西欧に追いつく過程で、より有用な財産であることが分かってきた。
 
 2. マレーシアのマハティール首相
  規律、忠誠心、勤勉を旨(むね)とする日本人と、韓国人の価値観は、それぞれの国の経済的、社会的発展を推し進める原動力として、機能してきた。こうした労働倫理は、集団や国家の方が、個人より大切であるという哲学から、生じたものである。
 
 日本のマスコミは、アジア諸国の政治家の言動について、ほとんど記事にしません。まして中国や韓国となれば、日本批判や攻撃の言葉しか報道しませんので、氏の説明を読みますと、どこの世界の話かと思います。シンガポールやマレーシアの首相が、日本と韓国を同列に語っていると知れると、それだけで拒否反応が生じます。
 
 これは、実に興味深い経験です。アジアの政治家の言葉をほとんど伝えない、日本のマスコミの偏った姿勢を知ると共に、氏に限らず、他国の政治家の目には、日本も韓国も同じように見えているという、信じがたい事実です。
 
 彼らは、中国や韓国・北朝鮮が、いかに日本へ無理難題を言っているのか、私たちが、どれほどの不快感と、嫌悪をこらえているか何も知らないのでしょう。
 
 前の日本の説明に、違和感を覚えたと同じように、今回も氏の叙述は、私の心にまっすぐ届きません。自分が、日本という「井の中のかわず」なのか、氏の著作が微妙なアジアの国々を乱暴にまとめているからなのか、今後の研究課題となりそうです。
 
 と言って、氏の著作を低く評価しているのではありません。私の知らないことを沢山教えてくれますし、意外な説明が多いので感謝しています。
 
 たった60万人の在日のため、あるいは、二重国籍を持つ在日系の政治家のため、日本の伝統や文化が台無しにされていると、私は常々憂えています。日本に憎しみしか持てない、二重国籍の政治家を、国会から追放すべきとも考えています。彼ら手伝いのせいで、日本の世論が二つに割れていると怒りを覚えていました。
 
 氏の著書を読み、世界では多くの国が、もっと深刻な状況にあることを教えられました。意見の対立だけでなく殺傷事件が頻発し、解決の見通しもつかない国がいくつもありました。次回は氏の著書から、この部分を抜き出して紹介し、日本の現状を再確認したいと思います。
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