OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

私の癌治療の記録 その5

2022年04月05日 | 今日このごろ
 それぞれの回、初日に行う血液検査で、白血球の数が基準に満たない時には、抗癌剤治療を延期した。治療の後半に3回そういうことがあった。
 すぐにわかったのは、抗癌剤は毒物であるという現実。白血球の現象以外にも次のような副作用があって、その一部は現在も生活に影響している。主な副作用について記す。
1 脱毛
 すぐに始まった。朝起きると、病院の白い枕カバーに数多くの髪の毛が付いた。だから、入院に際して持ち込むものには粘着剤のゴミ取り(コロコロ)が必須だった。脱毛は、抗癌剤治療期間の中頃に軽減し、現在はあまり影響がない。6年間で髪の毛はかなり薄くなったが、薬のせいではなく年齢によるものだろう。現在私は75歳、父は70歳で他界したが、現在の私よりもずっと薄かった。
2 味覚異常
 これもかなり早い時期に現れたが、終了までに消えた。変な味がするのではなく、非常にうす味に感じるというもの。もともと入った病院の給食は全体としてうす味で(病院食というものはそんなものだという)濃いめの味を好む私には合わなかった。その時にどんな食事が美味しく食べられるかをいろいろ試した。
 一番はカレーライス、二番は酢豚、三番は出汁のよくきいたうどん。これらは前と同じように感じた。これらの共通性は、特徴ある味があって、昔からよく食べているもの、だろうか。思うに、味覚は視覚で補強されているのだろう。これらでも目隠しして食べたら味がわからなかったかもしれない。余談だが、数年前に小学校の同級生で癌治療に携わるS医師と話をしたら、味覚異常の時の食事の話になった瞬間、彼が「カレーライスが良い」と言ったのには驚いた。彼も私と同じ観察結果を得られていたのだ。
 この副作用も途中から軽減し、現在はおいしく食べることができる。
 抗癌剤点滴の入院中は、ほとんど病院の給食を食べなかった。もち込んだパンやマーガリンなどで朝食をとり、昼食・夕食は売店の弁当など、また外出した時は家の食事をとった。

2016.10.27 入院中の朝食 日常の家の朝食とほとんど変わりない。

3 手足のしびれ
 治療の後半に進んだころに、手足にしびれを感じた。これについては入院のときに同じ病棟にいた先輩癌患者に聞かされていたのだが、抗癌剤の変更は最後の数回だけだった。もう少し早く変更すべきだった。しびれは手のひらと足の裏を中心とし、しびれ感、圧感の欠如、冷たいものに触った際のショックなどがあった。抗癌剤治療の終了時からわずかに減少したが、現在もかなり残っている。当初はワイシャツのような小さいボタンをはめるのに時間がかかったが、次第にできるようになった。また、冷たいもの、例えば冷蔵庫から出したばかりの卵とか、には触らないようにしたり、手袋をして扱ったりした。現在はそういうことはしていない。ただし、しびれが軽減したというよりも慣れたと言うことが大きい。一番残っているのは、足の皮膚感覚が鈍くなっていること。サンダルを履いている時に、脱いだつもりでまだ足にぶら下がっていることがある。そのままで段差を踏むとつまずく恐れがあるので注意が必要。また、足裏の平衡感覚が落ちているので、目をつむった時にはふらつく。セーターを脱いだり着たりする時に注意が必要。石が転がっているところを歩くのは危険。大好きな化石採集にはあまり行けない。庭木の剪定などで脚立に登るのはできるだけやめたほうが良い。そうでなくても高齢者の転落事故が多いのだから。いずれも慣れとそのことを意識して行動すれば、大した障害ではなくなってきている。2021年2月に街で転倒したのも、これが原因の一つだろう。
 2016年12月の初旬に、12回目の抗癌剤治療をおこない、計画された回数を終了した。同月20日にCT検査などを受診して、癌の再発が見当たらないことを確認した。

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