OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

姫島へ(その2)

2011年11月10日 | 旅行
姫島へ(その2)

丸石鼻からの帰途、大きな転石の表面に象牙が出ているのを発見。最初は白い転石か珪化木かもしれないと思ったが、象牙特有の構造があるので間違いなさそう。掘り出しを試みたが、非常に風化が進んでいてボロボロである。長さは40センチ弱、直径7センチほどの小型の牙である。採集は失敗といっていいぐらい割れてしまった。


6 象牙化石発見!

写真に見えている側は白くて丈夫そうだが、向こうに進むと薄茶色の風化した泥のような物に変わってしまう。その先は礫層に切られているので、向こうが地層の上位。一部を採集したが、家で長時間乾燥してから処理する必要があり、それでも形が見えるようになるかどうか。
場所から考えて唐戸層かと思われるが転石なのではっきりしない。アケボノゾウの門歯と考えていいのだろう。私自身の象化石の発見は2回目。最初は秋吉台西台の採石場内の裂罅堆積物中から、親指の爪ぐらいの長鼻類エナメル質を見つけただけだから、最初といっても良いぐらい。現在の日本では、瀬戸内海に船を出さない限りそうそう象化石が見つかるものではない。恐竜の方がよほど見つけやすい…..かな?。

歩きにくい丸石の上を戻ってやっと自転車の所にもどる。次はアサギマダラの休息地の訪問。
姫島には5月と10月にアサギマダラがやってくる。渡りをする蝶なので、その中継地となっているのだ。春の方が数が多いそうだ。春と秋とは姫島でも違う場所に集まる。春の休息地は先ほど自転車を停めたあたりだが、秋は途中から東に向かう道の峠にあるトンネルの手前とのこと。分かれ道に立派な看板があって見落とすことはない。春と秋で場所が違うので、看板の赤字の部分は貼り替えられるようになっている。


7 分かれ道の看板。

標高は50メートルあり、途中から自転車を押して坂道を500メートルほど進む。一度下ってすぐまた登ると右側にちょっとした広場があってフジバカマがたくさん植えてある。


8 蝶の休息場。

先客が二人。その回りをアサギマダラが舞っている。近づくと花に止まっていたのもひらひらと離れるが、人を警戒することも少なくまた花に寄る。ずいぶん大きさに違いがある。ちょっと見たところ100匹ぐらいいるだろうか。


9 フジバカマにとまるアサギマダラ。

中には蝶の渡りを研究するためにフェルトペンで数字や記号が記入してあるものもいくつかいる。後で聞いたところでは、ここで記入したものだそうであるが、研究のためとは言えちょっと無粋。


10 マーキング個体。

聞いたところでは、このフジバカマの御花畑は、蝶を呼ぶために植えた物だそうだ、とくに前から集まる場所ではなかったそうだ。後で船着き場近くの一番人家が密集しているところを回ったときに、空き地に数本のフジバカマを植えた場所があったが、そこにもアサギマダラが数頭いた。人為的に休息地を作れば、集まることもあるわけである。

アサギマダラの乱舞にも飽きてきたので、3時過ぎに快適な下りを通って宿へ。宿は集落の北の方にある旅館で、島内に一つしかない信号機のそば。到着して、すぐそば象の化石が展示してある「離島センター」なるものがあることを聞きつけて訪問。島の西端「ス鼻」から昭和30年頃発見されたナウマン象の化石や、近くの海底から網にかかったナウマンゾウ・シガゾウの標本が展示してある。そこにずっと以前に会ったKさんも来ていただいて、標本の補修や展示方法について少々アドバイスをする。この島に3種類もの長鼻類が産するというのは興味深い。


11 展示してあるナウマンゾウの門歯

夕食は名産のクルマエビが出ておいしかった。夜はヒマな時間をつぶす場所がない。島内にはカラオケぐらいしかないそうだ。近くにある温泉にも行かず、もちろんカラオケも行かないで休む。寝つこうと思ったら隣の3人の男性が呑み始めて、ずっと大声で話し続け1時半過ぎまで寝られなかった。旅館タイプはちょっと苦手。

明日は国東半島を回って帰宅の予定。

(つづく)