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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

姫島へ(その1)

2011年11月07日 | 旅行
姫島へ(その1)

10月26日(水)好天を待って大分県の姫島に向かった。目的はステゴドン化石の産出地の見学と、ついでにアサギマダラの休息地の見学。さらに余裕があれば黒曜石の露頭の見学。
アサギマダラの休息を見るには春と秋のそれぞれ2週間ほどがチャンスだし、化石産出地の見学には大潮時でないといけない。さらに好天が必須なのはいうまでもない。それで十年間ぐらい待っていたのだがやっとチャンスを見つけたので、前日に決定した。


1 ソニック5号の小倉駅入線。

小倉から特急で出発。9時17分発のソニック7号のつもりで家を出たが、思ったより早く着いたので、一つ前のソニック5号(8時57分発)に乗る。9時45分に宇佐着。
 宇佐から伊美港まで大分交通のバスに乗るのだが、10分前に出たばかりで次は11時ちょうどの便しかない。1時間以上あるので駅前の喫茶店で時間をつぶす。もう一つ前のソニックは宇佐に停車しないので、逃したバスに乗るためには小倉を8時に出る特急に乗る必要がある。すると宇佐で逃したバスに乗れる……ということは調べてあったが、宇佐の待ち時間は40分以上。潮の時間の関係でそんなに急いでいないので遅い出発で予定を組んだのだ。
11時のバスで出発。豊後高田市を通って国東市に入る。目的地の姫島村を合わせた2市1村は初訪問。大分県の市町村はすべて足を踏み入れたことになる。全国の市は767もあるが、未訪問の市が2つ減って20市(2.6%)になった。20市のうち島にある市が半分なので、残るのは10市で、関東4市、中部3市、近畿・四国・九州それぞれ1市。北海道・東北・中国地方の市は全部訪問したことになる。北陸と近畿の日本海側も訪問済みなので、未訪問市は日本の南岸に偏っている。このように市はずいぶん訪問したが村となると未訪問の方がずっと多く(訪問率37.5%)、しかも交通が不便なところが多いので、大多数はこれからも訪問できそうにない。
豊後高田市をすぎると、バスは国東半島をかたちづくる両子山の山麓をめぐる。侵食の進んだ火山体なので、放射状の谷が海にまで達してそこにせまい平野を作る。指を広げたように多くの尾根が海にまで達しているので、バスは指先の海岸線を回ったり、指にあけたトンネルを通って次の平野に進む。狭い平野ごとに田んぼと小さな漁港がある。


2 小さな平野を抜けるとトンネルに続く坂道へ。

豊後高田市から国東の市街地までの間に15のトンネルを穿って国道(杵築沿海路)が通じている。今日は7つのトンネルをくぐったところの、姫島に連絡するフェリーの乗り場のある伊美港バス停までの1時間の乗車。12時着のはずが少し遅れて到着。


3 第一姫島丸。伊美港で。

伊美港での連絡は良くて、待たずにフェリー「第一姫島丸」に乗船。20分で姫島に着く。とりあえず船着き場前の食堂で昼食。刺し身定食で、魚はおいしいがどういうわけか包丁の切れ味が悪く、刺し身の形に難がある。隣の小さなお土産店で自転車を借りて出発。姫島はずいぶん大きな島で、歩いて見て回るには広すぎる。。
最初の目的地はアケボノゾウの産出地の丸石鼻。姫島は二つの死火山島が洲でつながった形で、洲の部分に主要な町がある。船着き場もそこにあるので、東の部分を除くところを見て回るのには自転車が都合よい。15分ほどで丸石鼻に近い道路の突き当たりに到着。ここから600メートルほど先の丸石鼻まで海岸の石浜を歩く。


4 自転車を置いて丸石鼻へ。


5 丸石鼻へ。名前の由来は足元の丸石か?

予定通りの引き潮で、歩くところは確保されている。雲一つなく、風も弱くて最高の天気。丸石鼻への石浜は、その名の通りこぶし大から30センチほどの丸い礫に覆われている。1メートルを超える岩もたくさん落ちていて非常に歩きにくい。崖が大きく崩れているところもある。右側の崖は唐戸層・川尻礫層・丸石鼻層が順に露出する。こぶし大の礫の中にかつてアケボノゾウの臼歯が発見され、鑑定をした事がある。産出層は唐戸層らしい。また丸石鼻付近で象の足跡化石が最近発見されたが、少し石浜を掘る必要があるとのことで、場所を熟知した人がいないと見学できそうにない。そのあたりを注意しながら進むが、何しろ足元ばかり見ているので見落とした化石もあったかもしれない。結局岬までに、植物化石(炭化木)があっただけで。引き返すことにする。
(つづく)