瑞浪の鰭脚類に関して記している。
1977年の時点で岡崎はこの鰭脚類の属を決定していないが、後の共著を含むいくつかの文章の中で、瑞浪産の哺乳類のリストを掲載し、鰭脚類を「?Neotherium sp. 」や「Neotherium sp.」と記した。たとえば次のものなど。
○ 岡崎美彦. 1982. 化石哺乳類の復元のむつかしさ. 動物と自然. Vol. 12, no. 6: 7-10.
○ 長谷川善和・岡崎美彦・久家直之・甲能直樹. 1988. 哺乳動物化石による富草・瑞浪・一志層群の対比について. in 日本産海生哺乳類化石の研究. 科研費報告書. 1988.3. 15-17.
1984年に、福井県から中新世の鰭脚類が報告された。論文は次のもの。
○ Takeyama, Ken-ichi and Tomowo Ozawa. 1984. A new Miocene otarioid seal from Japan. Proceedings of the Japan Academy, Series B Physical and Biological Sciences. vol. 60, no. 3: 36-39. (中新世のアシカ上科鰭脚類新種)
この論文では頭骨を含む標本を元に新属新種を提唱した。
749 Takeyama and Ozawa, 1984. Fig. 1. Prototaria primigena. holotype.
標本は福井県最西端近くの高浜町から産出した頭部で、頭部以外の骨も伴っているというが、記載はここでは頭部のみである。文中に頭部およびそれ以外の骨の詳しい記載は、準備中であるとしているが、それが出版されたかどうかわからない。
瑞浪から1990年頃に新しい標本が産出し、その中には頭部の標本が含まれていた。それについて最初に報告したのは次の講演である。
○ 甲能直樹. 1990. 中新統瑞浪層群より産出した鰭脚類の形態について. 哺乳類科学. Vol. 30, no. 1: 84-85.(講演要旨)
この要旨によると、甲能はかつてCanidaeとされたものを含めてNeotherium sp. として扱った。しかし論文としては1992 に次の論文で議論した。
○ Kohno, Naoki. 1992. An Early Miocene enariarctine pinniped (Carnivora: Otariidae) from the western North Pacific. Bulletin of the Mizunami Fossil Museum. No.19: 273-292, plates 35-43. (北太平洋西岸からの中新世初期のenariarctine鰭脚類)
この論文では、属の決定を控えて、エナリアークトゥス亜科のものとした。
750 Kohno, 1992. Plate 43.(一部、配置変更)Enariarctine species A.
図は最初の3つの標本と対応が付く部分を取り出したもので、左の二つが左の腓骨、右の6方向からの写真は右の距骨。形態は3標本とは異なるように見える。
のちに、Kohno, 1994 はPrototaria planiceophalaを宮城県から報告した。
○ Kohno, Naoki. 1994. A new Miocene pinniped in the genus Protoraria (Carnivora: Odobenidae) from the Moniwa Formation, Miyagi, Japan. Journal of Vertebrate Paleontology. Vol. 14: 414-426. (宮城県茂庭層からのPrototaria属((Carnivora: Odobenidae) の中新世鰭脚類新種)
これらの関係は次の論文でまとめられている。
○ Kohno, Naoki, Lawrence G. Barnes and Kiyoharu Hirota. 1994 (1995). Miocene fossil pinnipeds of the genera Prototaria and Neotherium (Carnivora; Otariidae; Imagotariinae) in the North Pacific Ocean: Evolution, relationships and distribution. The Island Arc. No. 3: 285-308. (北太平洋のPrototaria 属とNeotherium属(Carnivora; Otariidae; Imagotariinae). その進化、系統、分布)この雑誌は奥付に1994としてあるが、実際の発行は1995年になってしまったので年号が二つ書いてある。
しかし、これらと瑞浪の種類との関係は同じ部位の標本が出ていないのでわからない。年代的にはPrototaria primigena の方が近いようだが、現在の日本近海を見ても、多くの種類の鰭脚類が生息しているのだから、種の決定には至らない。
さらに、近年この地区から新しい標本の報告がされている。
○ 甲能直樹・安藤佑介・楓 達也. 2020. 市道戸狩・月吉線工事現場(瑞浪市明世町)の下部中新統瑞浪層群 明世層より鰭脚類の頭蓋を含む骨格化石の産出. 瑞浪市化石博物館研究報告 No. 47: 125–135.
この論文は、瑞浪市化石博物館のすぐ近くから良好な保存の頭部などの鰭脚類化石産出を報告した。種についてはEnaliarctine gen. et sp. undet.とし、Kohnoが1992年に記載したEnaliarctine species A と同一の種類であるとした。
1977年の時点で岡崎はこの鰭脚類の属を決定していないが、後の共著を含むいくつかの文章の中で、瑞浪産の哺乳類のリストを掲載し、鰭脚類を「?Neotherium sp. 」や「Neotherium sp.」と記した。たとえば次のものなど。
○ 岡崎美彦. 1982. 化石哺乳類の復元のむつかしさ. 動物と自然. Vol. 12, no. 6: 7-10.
○ 長谷川善和・岡崎美彦・久家直之・甲能直樹. 1988. 哺乳動物化石による富草・瑞浪・一志層群の対比について. in 日本産海生哺乳類化石の研究. 科研費報告書. 1988.3. 15-17.
1984年に、福井県から中新世の鰭脚類が報告された。論文は次のもの。
○ Takeyama, Ken-ichi and Tomowo Ozawa. 1984. A new Miocene otarioid seal from Japan. Proceedings of the Japan Academy, Series B Physical and Biological Sciences. vol. 60, no. 3: 36-39. (中新世のアシカ上科鰭脚類新種)
この論文では頭骨を含む標本を元に新属新種を提唱した。

749 Takeyama and Ozawa, 1984. Fig. 1. Prototaria primigena. holotype.
標本は福井県最西端近くの高浜町から産出した頭部で、頭部以外の骨も伴っているというが、記載はここでは頭部のみである。文中に頭部およびそれ以外の骨の詳しい記載は、準備中であるとしているが、それが出版されたかどうかわからない。
瑞浪から1990年頃に新しい標本が産出し、その中には頭部の標本が含まれていた。それについて最初に報告したのは次の講演である。
○ 甲能直樹. 1990. 中新統瑞浪層群より産出した鰭脚類の形態について. 哺乳類科学. Vol. 30, no. 1: 84-85.(講演要旨)
この要旨によると、甲能はかつてCanidaeとされたものを含めてNeotherium sp. として扱った。しかし論文としては1992 に次の論文で議論した。
○ Kohno, Naoki. 1992. An Early Miocene enariarctine pinniped (Carnivora: Otariidae) from the western North Pacific. Bulletin of the Mizunami Fossil Museum. No.19: 273-292, plates 35-43. (北太平洋西岸からの中新世初期のenariarctine鰭脚類)
この論文では、属の決定を控えて、エナリアークトゥス亜科のものとした。

750 Kohno, 1992. Plate 43.(一部、配置変更)Enariarctine species A.
図は最初の3つの標本と対応が付く部分を取り出したもので、左の二つが左の腓骨、右の6方向からの写真は右の距骨。形態は3標本とは異なるように見える。
のちに、Kohno, 1994 はPrototaria planiceophalaを宮城県から報告した。
○ Kohno, Naoki. 1994. A new Miocene pinniped in the genus Protoraria (Carnivora: Odobenidae) from the Moniwa Formation, Miyagi, Japan. Journal of Vertebrate Paleontology. Vol. 14: 414-426. (宮城県茂庭層からのPrototaria属((Carnivora: Odobenidae) の中新世鰭脚類新種)
これらの関係は次の論文でまとめられている。
○ Kohno, Naoki, Lawrence G. Barnes and Kiyoharu Hirota. 1994 (1995). Miocene fossil pinnipeds of the genera Prototaria and Neotherium (Carnivora; Otariidae; Imagotariinae) in the North Pacific Ocean: Evolution, relationships and distribution. The Island Arc. No. 3: 285-308. (北太平洋のPrototaria 属とNeotherium属(Carnivora; Otariidae; Imagotariinae). その進化、系統、分布)この雑誌は奥付に1994としてあるが、実際の発行は1995年になってしまったので年号が二つ書いてある。
しかし、これらと瑞浪の種類との関係は同じ部位の標本が出ていないのでわからない。年代的にはPrototaria primigena の方が近いようだが、現在の日本近海を見ても、多くの種類の鰭脚類が生息しているのだから、種の決定には至らない。
さらに、近年この地区から新しい標本の報告がされている。
○ 甲能直樹・安藤佑介・楓 達也. 2020. 市道戸狩・月吉線工事現場(瑞浪市明世町)の下部中新統瑞浪層群 明世層より鰭脚類の頭蓋を含む骨格化石の産出. 瑞浪市化石博物館研究報告 No. 47: 125–135.
この論文は、瑞浪市化石博物館のすぐ近くから良好な保存の頭部などの鰭脚類化石産出を報告した。種についてはEnaliarctine gen. et sp. undet.とし、Kohnoが1992年に記載したEnaliarctine species A と同一の種類であるとした。