写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

屋形船

2006年04月13日 | 季節・自然・植物
 山口地方は、1昨日の夜から明け方にかけて季節外れの大雨となり、山間部では土砂崩れもあった。

 雨が上がり、日差しが戻った昼過ぎ、久しぶりにハートリーをシャンプーし、風乾をかねて錦帯橋へ散歩に行った。

 錦川は、川幅いっぱいに、まだ薄く濁った水が満々と流れている。橋脚には流木が絡み付き、昨年の台風被害の惨状を思いおこす。

 河川敷には、満開を過ぎた桜の花びらが、少しの風ではらはらと宙に舞う。すっかり花が散った木の枝には、早くも新緑が芽を出し始めている。

 この様を潔いというが、それにしても余りにも栄華の時は短かすぎる。いつものことながらつい、「花の命は短くて……」と、つい言ってみたくなる。

 そんなことを思っていたとき、上流のほうから槌の乾いた音が聞こえてきた。振り向いてみると、台風被害にあった鵜飼い遊覧の屋形船を、上流の橋の下で修理している。

 近づいてみた。2人の老練の船大工が、新しく手摺と屋根を取り付けていた。すぐそばには、真新しい鵜舟が2隻置いてある。

 再起を危ぶまれていた観光鵜飼いは、各方面からの支援を受け、今年も例年通り6月より開催されるように見えた。

 地元に生きていて、いつものことを、いつものように見ることが出来るということは、大変うれしい。

 私の毎日の生活についても、「いつものことを、いつものように」。これがより長く続くよう、身も心もリフレッシュしなければと、わがことを思う。

 しかし、人間は屋形船のように、傷めばすぐ直すというわけにはいかない。ヤガタは……の身ではあるが、今をがんばろう。今日は、落ちがチト苦しい。
    (写真は、リフレッシュ中の「ヤガテ船」)