写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ツバメ飛来

2006年04月04日 | 季節・自然・植物
 午前11時、開設したばかりのエッセイサロンのことで人と会うために、南岩国の図書館へ出向いた。春休みなので、平日ながら老若の来館者は多い。

 昼前には用を終え、車に乗って帰途についた。国道へ出る三叉路に、赤信号で停車した。信号が青に変わり、アクセルを踏んだときであった。

 スマートな黒い物体が、フロントガラスの左上から右下に向かってスーと流れるように飛んでいった。

 紛れもなく、今年はじめてみるツバメであった。そこは、私の家から南に10kmの所。家に帰り、周りを見回してもツバメの姿はどこにも見かけない。

 「南岩国」は、字のとおり「岩国」の南である。ツバメの飛来時期にも、若干の差があるのだろうか。旬のものを「岩国」より一足早く見ることが出来た。

 パソコンの前に座り、気になっていることを調べてみた。明日、4月5日は24節気の「清明」にあたる。初候は「玄鳥至(ツバメきたる)」で、ツバメが南からやってくる頃となっている。

 たまたまであろうが、その前日に当たる今日、私は今年初めてのツバメを見ることが出来た。

 してみると、岩国は日本の季節表現の標準地なのだろうか。暦に記述してある通りに季節が巡ってきている。

 まぁ、そんなに全てがうまくいくとは思わないが、今年は奇しくもツバメはその通りにやってきてくれた。

 地球温暖化が叫ばれている中、古くから伝えられていることを目の当たりにすると、ほっと安心した気持ちになる。

 暦どおりに行けば、来週の初めには、雁が北へ渡って行き、末には、雨の後に虹が出始める頃という。

 雁が飛んでいくと言えば、赤城の山の国定忠治だ。しかし、この時は「あぁ、雁が鳴いて 南の空へ飛んでいかあ」である。

 北に飛んで行こうが、南に飛んで行こうが、それは四季という季節の変わり目。この変わり目をシカとこの目で楽しんでみようと思う。

 「美しい日本に住んでいる我々にゃあ、生涯四季っていう強い味方があったのだあぁ~」ご存知、国定忠治、今生の別れの酒の一席の模写、お時間でございます。
  (写真撮れませんでしたので、ひとさまの写真:photo by kohyuhより)