写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

偵察花見

2006年04月06日 | 旅・スポット・行事
 
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 今年は、三月下旬から四月にかけて、連日寒々とした小雨が降り続いた。今日も、夜半から弱い雨が降っていた。

 午後になると薄日が差し始め、夕方には明るい日差しとなった。数日前、錦帯橋の桜が咲き始めたと聞いていた。

 夕方5時、日はまだ高い。ハートリーとの3人連れで、錦帯橋に出かけた。いつもは無料の河川敷の駐車場も、管理人が立ち200円を徴収する。

 混雑というほどではないが、花見の客がそぞろ歩いている。花見座敷には数組の客がいた。呼び込みの声は高いが、誘われて入る客は少ない。

 「少し寒いけど、今日はここで弁当を食べましょう」と、妻が言う。「お花見弁当1000円」と書いてある机の上に、弁当が3個積んである。

 買い求めて、緋毛氈の座敷に腰を下ろした。巻きずし・いなりずしが入った弁当を、3分咲きの桜と、それを見物している人たちを眺めながらおいしく頂いた。

 真近で見るとまだつぼみが多い。遠目では木の全体が、6分咲きくらいの薄墨の桜色に見える。

 食事を済ませ、橋の袂に歩を進めていると、テレビ中継のカメラに出会った。KRY山口放送の「熱血テレビ」という番組の実況中継をやっていた。

 「桜中継 絶景・岩国錦帯橋」と書いてある。多くのスタッフが実況に奔走している。爛漫の満開時ではなく、3分咲きでの実況というのも珍しい。

 錦帯橋の桜が咲き始めたと聞くと、家にいても落ち着かない。昨年も、弁当を持参しながら4,5回も花見をした。

 今年も、その第1回目の偵察花見を今日無事に終えた。今週末は天気も良いと伝えられている。早くも2回目のことを考えている。

 今年はひとつ、嬉しい立て札を見つけた。「このエリアで、コンロなどの火の取り扱いを禁ず」と書いてある。

 せっかくの桜のほのかな香りが、バーべキュウの強臭で、かき消されるということがなくなった。これはいい。念願叶い、やっと本来の花見が楽しめる。

 さあ皆さん、今年も錦帯橋で会いましょう!西行をまねて…1首
   「願わくば 桜の下で 春会わむ この卯月の 望月のころ」
   (写真は、錦帯橋の「3分咲きの桜」と「テレビ中継」)