まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ「十字軍」運動NEWSLETTER-452-

2009年10月28日 |  マツタケの林地栽培 
岩倉で採れた、今年のマツタケ(宮崎作)




まつたけ復活・里山再生市民

はじめに
 マツタケのシロは複数の遺伝子が関与している.長年シロの発生調査をしていると、このシロは早く出る.あのシロにマツタケが出たらシーズンも終わりだというシロの個性が分かってくる.同じシロでも、こちら側は遅いがあちら側は早く出るといったことも観察される.
アカマツ林林床に数多くの胞子が落下し、発芽すると一次菌糸となる.性的和合性のある一次菌糸同士は接合して二次菌糸となる.空き家のアカマツ細根が周りにあればドンドン感染し菌根となる.それらの菌根がある量になるとシロとなる.こうだとすると、ワンペアの一次菌糸由来の二次菌糸のみから成り立つシロは、むしろまれであろう.
そのために、マツタケのシロは、シロ毎や同じシロであっても、子実体原基形成刺激温度に対する感受性が異なる.今年西日本で、岩手三陸地方によく見られる夏の寒さが、この9月の半ばに1週間ほど訪れた.雨が無く、そのときには、マツタケの発生はなかった.その後、気温が上昇し発生の高温障害が生じ、今年伸びた多くの菌根は死んでしまった.
 しかし、うまくしたもので、感受性の異なる、より低温で刺激を受ける遺伝子を持ったシロから、少ないが今、マツタケが発生している.岩泉町でも10月25日に、大人の腕周りほどの柄を持つマツタケが採れた.

次の開催日は10月31日(土)岩倉に10時です.

 この24日から26日まで、岩泉まつたけ研究所があった岩手県岩泉町に出かけていた.岩手県北に位置する岩泉町にはマツノザイセンチュウ病の汚染がなく樹皮の赤い美しいマツ林が豊富である.そのマツ林を地元と我々まつたけ十字軍運動と協同でマツタケ山づくりをしようという提案があった.地元岩泉商工会のレジェンド開発部会が責任を持って、自炊可能な宿泊場所を提供下さるとのことであった.また、岩手県洋野町大野の小沢さん所有のハウス(かなり大きい)も使用させていただけることになっている.
 まつたけ十字軍運動に、貸していただけるアカマツ林とコナラ林は、合の山地区にある.その写真は、まつたけ十字軍運動ブログのブックマーク中のNikon写真集のアルバム0910岩泉でご覧いただけます.

452号<目次>
はじめに
 シロの温度感受性のこと
 岩泉山人会との協同のこと
作業区と作業内容の紹介
お知らせ 
11月8日(日) 午後11時50分からテレビ朝日系列でまつたけ十字軍運動を放映
11月15日(日) 滋賀県でマツタケ狩り参加者募集
11月22日(日) 京北でマツタケ山づくり作業応援
 
メール便り
 1)米作りの収支報告(三輪)
 2)群馬県太田市のマツタケ道中報告(布村)
 
カンパお願い!
 1)米作りグループから

まつたけ十字軍運動に参加するには
開催予定日 2009年10月―12月
まつたけ十字軍運動とは?
連絡先など

作業区と作業内容の紹介
山づくりエリアや作業内容を変更するときは、事前に連絡下さい.
1)香川山皆伐区も予定どおりに再生が進み、アカマツ幼樹の群落が美しい.斜面の
地掻など補整作業を実施している.マツのザイセンチュウ病による枯損木が周辺に目立っている.伐倒焼却の要あり.

2)澤田山は、この秋にでも、まつたけの発生調査をするつもりであるが、アカマツ林でマツタケの生息地を再生するというエリアとコナラ林を整備するエリアとがある.各整備地ごとにネライを定めて各班ごとに独自に作業を進めている.

第1整備地は、村上班(第1整備区)と阿閉班(第2整備区)で精力的にマツタケ山づくりが行われている.第1整備区は京都府のホンシメジ接種試験が相当前に行われ、そのとき整備もされたが、菌根性のきのこの発生には土壌上の問題があるのかもしれない.補整の手入れが必要な状態になってきている.
 その南側は、やはりアカマツ林帯で、阿閉班の担当で第2整備区と呼んでいる.やがて第1整備区につなげるという.エスケープした檜・杉など大径木の処理が進んでいる.

第2整備地は、ヤマガラの里と新しく愛称がついた.以前から整備を始めているところは「ヤマガラの里A地区」と呼び整備が完了している.その西に当たるところを尾根部(アカマツ林を再生)、傾斜地部(コナラ林にする)など3区に分け、それぞれ生態的特徴を生かした整備を進めている.ここは「ヤマガラの里B地区」と呼ばれる.分からないことなどは前田・小原さんにお尋ね下さい.

第3整備地の作業エリアでは、アカマツ林再生を考え、適切なエリア探しが続いているように見える.どのような林づくりがなされるのか注目をしているところである.

3)玉城山は、昔は、山全体がマツタケの発生に適したアカマツ林であったが、林道が造られたためにその下のエリアからマツタケが消えた.岩泉まつたけ研究所の向林試験林内で、全く同じことを経験している.林道を一つ通すだけのように考えがちだが、周りの環境ががらりと変り水の流れも変化する.
尾根筋には、アカマツ林密度が比較的高く残っているので、榎本班と三品班で上部と下部からマツタケの生活するアカマツ林の再生作業に取り組んでいる.
地表の堆積物を堆肥化し、冬には水田に鋤き込む.マツのザイセンチュウ病害木の伐倒焼却活動が一旦終了したように見えたが、再開している.
ここは、市民によるマツタケ山づくりのお手本として有名になった.今まで、プロによる
手入れで、マツタケ発生の復活は、「有から有は簡単である」と実証されている.
しかし、市民による手入れでマツタケ発生の成果が出たケースはここが日本初の地
である.撒水実験にも取り組むという意欲的作業が見られる.

<お知らせ> 
1)11月8日 午後11時50分から テレビ朝日系列「地球号食堂 エコめし」 にまつたけ十字軍運動の活動が紹介.

2)11月15日(日)滋賀県立大学と地元主催のマツタケ狩り参加者募集.詳細は猫田さんにおたずね下さい.

3)11月22日(日) 京北マツタケ山再生活動応援
 ノコ・ナタ・熊手を持って山づくりをします.迎えのバスが来て昼食が出ます.詳細は決まり次第お知らせしますが、猫田さんにおたずね下さい.

<メール便り>
1)三輪さんから
 今年のまつたけ十字軍運動のお米生産及び販売の結果を報告します。 
玄米30kg入り3袋は田んぼを借りた農家に上納、残りは一部販売した後、今後の昼食用として備蓄する。
  今年の新米の販売状況について
 9月21日 刈り取った米を籾磨りして玄米の状態にしました。参加者有志から200円徴収し、新米を試食しました。当日の作業応援者に精米済みのお米や玄米を200円(5合程度)で販売
 9月25日新米(玄米)の販売状況
   支出 袋代 150円として計上   差引合計  43,600円       
 10月3日新米(玄米)の販売状況     合計 8,500円
 これまでの差し引き合計は  56,800円となります。
 10月21日  籾代、燃料、肥料、籾磨り代として 20000円と謝礼としてビールを渡しました。
      残りの32,220円をマツタケ十字軍に上納いたします。

2)布村公一さんから 松茸道中の報告
 群馬県太田市と埼玉県熊谷市で毎年「松茸道中」という行事が行われています。10月4日(日曜)第20回太田松茸道中が行われました。江戸時代に群馬太田から江戸まで松茸を運んだ「献上松茸」を現代に再現したイベントです(東京までは行きませんが…) 。今回は、太田市からの松茸道中参加が109名だったそうです。
 午後1時30分ごろ、群馬県太田市からの松茸道中のご一行が利根川刀水橋南橋詰に到着。「太田松茸道中歓迎連」と合流したあとは、妻沼聖天山まで歩きました。妻沼聖天山に到着後、「道中安全祈願式」が行われました。
妻沼聖天山の鈴木院主からは、「実際には行きませんが、江戸までの道中の安全祈願と、皆さんのこれからの人生の道中のご祈願をいたします」ということで、ご祈祷がございました。松茸が妻沼聖天山に奉納された。
道中安全祈願式のあとは、記念撮影・松茸のお吸い物が振舞われました。
               
<カンパ! お願い>
1)米作りグループから32220円のカンパを戴きました.
氏名: まつたけ十字軍 代表 吉村文彦 
銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

<まつたけ十字軍運動に参加するには>
下記の1から7を了承の上、参加下さい.また、 “まつたけ十字軍運動とは?”も併せてご理解下さい.尚、初めての方は事前に連絡が必要(連絡先は下記主催者).
1)参加資格は問わない. 参加時間は自由、ただし、コアタイム(昼食時)の参加は必須.
2)事故を起こさないように各自勤めること.傷害保険等は各自加入のこととし、事故の責任は当事者に帰するものとする.

3)服装等:山で軽作業できる服装(運動靴か長靴か地下足袋、雨具、タオルなど).ノコ・ナタを持参が望ましい.
4)降水確率(京都府南部、午前7時)が60%以上の日は、原則的に山づくり作業は
中止.しかし、山や畑にも、「雨の日には雨の、雪の日には雪の景色がある」といって、皆さんは補修や軽作業などされます.
5)持参するもの:昼食は作るので、MY皿と椀と箸、コップなど、料理の持ち帰り容器、飲料水(お茶があるので水筒)など.
6)道具類や備品は、個人購入のものや皆さんのカンパで購入したものです.大切に扱うよう願います.汚れを洗った後、保管場所に戻すこと.また、使用した食器やコップ類は洗って戻すこと.出したゴミ等は各自持ち帰ること.

7)参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.食材費(実費)+消耗品費として現在 400円を徴収.

<活動拠点へのアクセスなど>
8)集合場所:京都バス「岩倉 村松」行き終点「村松」.あるいは現地アカマツ林(京都市左京区岩倉村松町138-20バス停「村松」から北東へ450m徒歩6分).
叡山電鉄「岩倉」駅から現地アカマツ林へ2.3Km(徒歩30分)
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側(40分)
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル 1番、約10分)
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車) 

9)<皆さんの活動の様子を見ることができる>
ブログ画面左下ブックマーク(Bookmark)中のNikonまつたけ復活・里山再生運動を左クリックすると、Nikon Onlinegalleryにはいる.akamatsurinさんのホームとなっている.アルバム一覧からお好きなものを左クリックすれば写真一覧が出てきます.スライドショーなどお楽しみ下さい.写真を印刷したり保存したりできます.

開催予定日 2009年10月―12月
活動場所は岩倉香川山. 活動開始は、午前10時頃.終わりは午後4時頃.
第213回10月31日(土)ブログ報告:吉村
第214回11月07日(土)ブログ報告:榎本
第215回11月13日(金)ブログ報告:宮崎
第216回11月21日(土)ブログ報告:三輪
第217回11月27日(金)ブログ報告:榎本
第218回12月05日(土)ブログ報告:池内
第219回12月11日(金)ブログ報告:宮崎
第220回12月19日(土)ブログ報告:三輪 大忘年会 感謝祭
年末年始で休み
第221回01月09日(土)ブログ報告:榎本

まつたけ十字軍運動とは?
今、1年間に40,000種もの生物が絶滅(約13分に1種)していると推測されている.生き物1種の絶滅は、10種から30種の生き物の絶滅を呼ぶという.
日本で、802種の動物が絶滅危惧種とされ、7000種の維管束植物の24.1%(4種に1種)が絶滅危惧種に挙げられている(2007年).
環境省によれば、絶滅危惧種の50%強に当たる生物の生息地は、人里離れた奥山でなく里地里山と呼ばれる私たちの生活の場である.緑が豊かになって生き物が追われている!
私達の周りにありふれた生き物であったフクジュソウやヒメシャガなど、メダカやチョウ類やニホンウサギなど、またオオタカやイヌワシなどが、消え続けている.マツタケも、京都府では絶滅危惧種に指定されている.
生物の保全・多様性上危機に瀕する里山(アカマツ林)をマツタケ山に戻すことが目的である.私たちのマツタケ山づくりは、山-川-畑・水田(-海)のつながりを重視する.マツタケ山づくりで生まれるバイオマスの利用を、「自然」との共生型すなわち徹底した有機物循環型「農林業」に組み込む.また、我々の成果は、情報として正しく発信し、全国に230万haあるアカマツ林に普及させることを願っている.
近代マツタケ学発祥の地、京都市左京区岩倉を活動拠点として、我々は循環型農林「業」を楽しむ.「楽しむ」ということにおいて、いわゆる農林業的作業と異なる.
時折のイヴェントや開催日のコアタイムに集まることによって、作業の情報などを共有し、互いの知恵や技術を学び、また、里山復活の喜びをともにする.
運動は、食事を作る人、木を伐る人・運ぶ人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、設備を造る人、道具類を整備する人、多機能窯を守る人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人などすべての参加者が、互いに対等で支え合い助け合って維持運営されている.
まつたけ十字軍運動全体は、アリストテレス風に言えば、個の参加者の総和以上の意味を持つ.それ故、参加者はこの運動の全体性を見失わないようにしたい.

主 催 
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学者)  
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305

共 催 
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典
080-6123-4706

香川理化学研究所
代表 香川 晴男
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