のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

去年今年儲けなくとも潰れまい

2012年01月01日 | 農のあれこれ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます

そしてつい「今年は去年より良くしたいものです」と挨拶してしまうのですが
農業にとっては「去年のように今年があり 今年のように来年がある」
ことが大事だと農民・作家の山下そう一さんが説いています
(全国農業新聞 2012.1.1)

「綿を栽培する者より機を織る者が、織る者より布を商う者が豊かである」
「農は工に如かず、工は商に如かず」

前者は5千年前もの古代エジプトで言われていたことで
後者は2千年前に書かれた中国の「史記」にある言葉だそうです
要するに昔から農業は儲からないというわけです

「儲かる農業」ということが盛んに言われていること自体
農業がいかに儲からないかを裏打ちしている
農産物と引き換えで得ているのは「対価」であって「儲け」ではない
といいます

農業では「安定」ということを経済社会では「停滞」というが
違う原理原則に振り回され餌食にされてはたまらない

山下さんは
成長よりも循環 拡大よりも持続 競争よりも共生
勝たないまでも負けない 儲からないまでも潰れない
これが日本の農業の論理であると主張しています

国全体の人口も減り
やはり国全体でやっかいな“無主物”との折り合いも探さねばならない
そんな新しい時代には大事な指針かもしれません


写真は山崎弁栄作の「火伏乃龍」図
今年こそ災いがありませんように