リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

日本でリュートが始まった頃(16)

2023年06月19日 09時00分28秒 | 音楽系
実は年代でいうと60代以降(?)の方か、リュート(古楽)の黎明期に若い時代を過ごした人の何人かにそういった勘違いがまだ残っているかもしれません。少し前に若手の演奏家から聞いた話ですが、留学から帰ってきて地元の愛好家と話をしたらまるで自分(愛好家)の方がその演奏家より上の立場でいろいろ指図してくるので困った、とか、やたらガット弦の優位性を説いて来る人がいて自分の演奏姿勢を述べるもなかなか納得してくれないで困る、というような話です。

プロがガット弦を使うか使わないかはもちろんその奏者の考え方によりますが、件の若手はよりよい演奏を届けるために合成樹脂弦を選択していると私に語っています。

そもそも例えばプロのヴァイオリニストのコンサート後に「あなたはもう少しビブラートを減らした方がいい」って「進言」するようなことを愛好家の方がいいますか?

才能もなく修練もしていないような方にガット、ガットなんて言われる、あるいは逆の場合、合成樹脂、合成樹脂、とか弦の組み合わせなんかをいちいち指摘してくるのはカチンと来る人もいるかも知れませんが、そこは人間ができた件の若手はきちんと対応していました。えらいです。でもそもそもそういうことは演奏家には言わないことです。演奏家は考え抜いた上でのことですから。

私も以前コンサートの終わりに、聴衆の方が私のところに来て、「昔ギターやってたんですか?」「はい、少し」「ギターが弾けないからリュートに転向したんでしょ?」と尋ねる方がいました。その方には何年か後又同じことを尋ねられました。

ギターがうまく弾けないので単なる興味でリュートを始めた人がいたのは事実です。でも多分ギターをろくすっぽ弾けない人は、リュートは更に難しかったはずです。そういうことを聞いてくる輩がいるのは、黎明期にたまたま当たってしまった時代風潮(体制を革新して皆平等に)とリュートの面倒くささが彼らをして勘違いさせてしまったということでしょう。

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2 コメント

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Unknown (やまねこ)
2023-06-19 14:24:24
こんにちは。
大した度胸のある人がいるものですね。
プロ演奏家に、そこまでズケズケ言うアマがいたのですか。
その場でどんな感じで言われたのか雰囲気がわかりませんが、ギターを弾けないからリュートに転向したんだろとか、とんでもない失礼な人ですね。相当なご年配の方でしょうか。
 マスコミやその方面の取材であれやこれや記事にして批評するのが専門の会社の記者でもないアマが、そういう無礼な事を言うとは理解できませんね。プロ奏者にはその人なりの考え、信念があってこそです。

 私もかつては、某奏者に影響されて歴史的とは、歴史的楽器とはなど、仲間にぶったこともありましたが、まあ次元の低いことを言ってしまったものです。(プロ演奏家の方に何か言うなど当然とんでもないことです。)

最近の世の中は大変物騒になってしまいました。どこで自分の言動が恨みを買い、時には反撃されるかわかったものでないです。年齢の上下関係なく、思ったことや意見は仲間や同僚、知人であろうとも胸に一端は仕舞い面と向かっては言わないようにしています。ナーバスな社会ですからね。
どのような事でも、プラス面を評価して前向きな感想、意見を言うようにし、マイナスイオン出まくりオーラを出さないように気をつけています。経営者としてもですね。そうしないと人は自然と離れてしまうものだと思います。気をつけたいと思っています。
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re (nakagawa)
2023-06-19 20:36:29
私はそもそもギターからリュートに転向したというほどのまとまった期間ギターを弾いていませんでしたから、リュートに転向といわれてむしろ何のこと?って驚いたくらいです。
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