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『見事な死』(読書メモ)

文藝春秋編『見事な死』文春文庫

各界の有名人40数名が「どのように死んでいったか」についてまとめた書である。

娘、息子、妻、友人による報告なのだが、心に響いてくるものとそうでないものがあることに気づいた。特に、生前、父親と関係の薄かった息子が、父親の死にざまを目にして、親子の関係性を深めている傾向があるようだ。

最も印象に残ったのは、岡田真澄さんの死について語った息子さん(岡田眞善さん)の記である。ハーフである真澄さんは、とにかく俳優としてのイメージを大事にして、実際には古い軽自動車に乗っていたのに、学校の行事ではベンツを借りてくるなど、見栄を張る人だったらしい。

真澄さんが、とんねるずの番組で「ファンファン大佐」を演じたことから、中学生だった眞善さんはひどいイジメを受ける。その頃から別居→離婚となって「父は死んだ」ことになっていた。

そんな真澄さんがガンで入院したという報告があり病院に行くと、派手なワインレッドのガウンで病院を歩きまわり、ナースに「かっこいいですね」と言われて喜んでいる姿を見る。

「この期に及んでも、自分のイメージを徹底する姿勢には、役者としての凄まじいまでの意地、かっこよさを感じた」(p.115)と感心してしまった眞善さん。

彼は、父と同じ道を歩みたくないという気持ちからラジオの世界に入ったが、いつのまにか俳優になってしまう。

やはり、父親の影響力は大きいのだろう。「死」をもって息子に自らの「生きざま」を教える父親の迫力を感じた。



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思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい

思い煩いは、何もかも神にお任せしなさい。神が、あなたがたのことを心にかけてくださるからです。
(ペトロの手紙Ⅰ・5章7節)

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