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『愛がなんだ』(読書メモ)

角田光代『愛がなんだ』角川文庫

角田さんのエッセイが良かったので、小説も読んでみた。

男を「いけてる男」と「ダサい男」に二分したとしたら、後者に当てはまるマモちゃんを好きになったアラサーOLのテルコ

読み進むごとに、マモちゃん(出版社勤務の20代後半男)の自己中ぶりにイライラがつのり、そんな彼に振り回されながらも、マモちゃんを愛するテルコに「?」を感じてくる(たぶん、たいていの読者はそう感じる)。

しかし、「マイナス部分を好きになる」「相手に好かれなくても構わない」というテルコの恋愛観がわかるにつれて、見方が変わってくる。

ギブ&テイクの愛を「エロス」と呼ぶのに対し、見返りを求めず慈しむ愛を「アガペー」というが、テルコの愛はアガペーなのだ。

一般常識からすれば「歪んだ愛」なのだが、本作を読み「こんな愛し方もあるのか」という軽い衝撃を受けた。



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