goo

自己組織化

自己組織化の理論で有名な今田高俊氏のインタビュー記事を読んだ。印象に残ったのは「外部環境に適応する受動的な変化は第二級の適応であり、第一級の適応は自らの意思で能動的に変化すること」という言葉である。

ところで、自己組織化とは何か?今田氏によると「システムが環境との相互作用を営みつつ、自らの手で自らの構造をつくり変えていく性質の総称」が自己組織化である。

真の自己組織化とは「自分の中に変化の兆しを読み取り、これを契機に新しい構造や秩序を立ち上げること」らしい。この言葉は大切だと思った。個人も組織も自分なりのスタイルができてしまうと安定して、自己を変革することが難しい。しかし、「変化の兆し」はあるはずだ。それを「見て見ぬ振り」をするか「向き合うか」で、大きな違いが生まれる。

今田氏は、自己組織化の条件として次の4点を挙げている。すなわち、①創造的な「個」の営みを優先する、②ゆらぎを秩序の源泉とみなす。③不均衡ないし混沌を排除しない。④コントロール・センターをみとめない、という点。この中で大切だと思ったのは、「個人」の活動を重視しているところ。

自らを変えることのできる組織では、創造的な個人が動きやすい環境を意図的に作り出しているように思える。変化の基点は、やはり個人である。「破壊なくして創造はありえません(p92)」とあるが、組織を創造的に破壊できる人を発掘し、育て、活躍の場を与えることが自己組織化にとって重要になると感じた。

今田氏はフランスの哲学者アンリ・ベルグソンによる「持続とは変化を続けることである」という言葉を引用し、「変化しないで持続することはありえない」と述べている。このとき、変化を促すドライバーが「生き残りのため」なのか、「使命感」なのか、その比重によって変化の質も違ってくると感じた。

出所:今田高俊「自己組織化の条件」Diamond Harvard Business Review, March, 2003, 88-101.
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ひとりひとり... 若手社員の自... »