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美とは何か

ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』(鈴木力衛訳、岩波文庫)を読んで感じたのは「美しさ」。

内容は、孤児となったエリザベートとポールの姉弟と、彼らの友人ジュラールとアガートとの関わりを中心としたストーリー。ちなみに表題に「子供たち」とあるが、最終的に彼らは、ほぼ大人へと成長している。

特殊な環境で生活する彼ら四人の乱れた生活と、歪んだ人間関係が淡々と描かれるのだが、なぜか詩的であり、悲惨なエンディングも美しい

どこか川端康成の小説と通ずるところがあるような気がした。

解説には次のように書いてある。

「一見定型からはみだしたようにみえる斬新なスタイルの根底には、伝統的な美の秩序をめざす張りつめた意識がひそんでいるのを見のがしてはならない。それは、独自の詩的感覚を基調として、作品の完成を高度に磨きあげようとする、いわば古典的な美意識である。ジャン・コクトーの作品の構造の秘密は、そこにあると云うことができよう」(p.133)

「美」とは何か、について考えさせられた。




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