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『ほんまにオレはアホやろか』(読書メモ)

水木しげる著『ほんまにオレはアホやろか』新潮文庫

ゲゲゲの鬼太郎でおなじみの水木しげる氏の自伝である。

水木さんは、子供の頃からマイペース。「こいつあ、アホとちゃうか」と言われながら、勉強はそっちのけで、昆虫や貝殻を集めたり、近所のおばあさんから妖怪や伝説を聞くのに夢中だったらしい。

大人になっても自分のペースを曲げることなく、軍隊に入っても「水木ウェイ」を変えないところがすごい。

しかし、後年、紙芝居や貸本マンガを描くようになると、その日一日を乗り切るのに精いっぱいの毎日が続く。次の言葉が印象的である。

「そのころのぼくをささえていたのは、ただ、自信だけだった。作品の自信ではない。生きることの自信だった。しかし、これには悲壮感はなかった。むしろ「絶対に生かされる」という楽天的な信念だった。」

この本を読んで感じたことが二つある。

一つは、ゲゲゲの鬼太郎をはじめとした妖怪ものの漫画を描くようになったのは、水木さんが40歳近くなってからであること。あれほど妖怪が好きであったのに、それを仕事にするのは、意外にも遅かった

二つ目は、水木さんは、暇ができると美術学校に通っていたこと。現在の武蔵野美術大学の前身である武蔵野美術学校でも学んでいる。どの学校も中退してしまうのだが、常に美術を学び続ける姿勢が現在の水木さんを作っているような気がする。

自分の関心やこだわりを大切にし、学び続ければ、その人にしかできない仕事に巡り合うことができるのかもしれない。
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